メマリー/好循環を創造するためのブランディング

失われる思い、消えゆく記憶の絆。

高齢化が加速するわが国で、もはや社会問題ともいえるアルツハイマー型認知症。患者さんにとって無情にも記憶を奪われていく毎日は、どれほど不安で心細いことでしょうか。アルツハイマー型認知症のさまざまな症状のなかでも、暴言、暴力に象徴される興奮・攻撃性は、患者さん本人の尊厳を損なうだけでなく、家族や介護者にとって大きな負担になるとも言われています。この大きな難題に対し、人々が知恵をしぼり、力を併せ助け合うなかで私たち第一三共にできることは何か。私たちは製薬会社としてこの疾患に対しどのような貢献ができるのかを探し続けています。

▼ブランディングとは?

企業のブランディング広告と製品広告がセットになった抗認知症薬「メマリー」のプロモーションです。

医薬広告のブランディングとは、独立して存在するものではなく、世の中との関わりを示すことで初めて成立するものです。企業の方向性を掲げるだけでなく、社会における製薬会社の役割をきっちりと提示することで、製品の価値が明確になり、市場へ浸透し、消費者へ共有されやすくなります。

ブランディングの最終目的は、単なるイメージ戦略ではなく、“人の心を動かし、市場を動かし、社会を動かして、好循環を創造すること”にあります。利用者の満足度を高めることで、競争に巻き込まれることを減らし、ブランドへの信頼感は、中長期的な収益に繋がっていきます。そして社会的な評判は、新規の優良顧客を生み出しやすくしてくれます。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、「記憶=写真」。バラバラになった写真をテープ(メマリー)で修復する(記憶を取り戻す)、というビジュアルです。モデルが本当の母子のように似ていますね。実際に親子のモデルかもしれません。ふたりにどんな想い出があったのか、ストーリーを思い描きたくなるような温かい写真です。写真の質感、テープのリアリティ、細かいところにまで気を遣った丁寧な仕上りです。

認知症治療薬というデリケートな領域のビジュアルを作ることは、とても難しいことだと思いますが、ディレクション力を感じます。「メマリー」の広告は本当に素晴らしいキービジュアルで、私が20年見てきた中で、最高クラスの医薬広告デザインだと思っています。

アルツハイマーの広告は、女性を使ったものが多い気がします。2012年頃、TVコマーシャルでは女優の樹木希林さんを使って、啓発プロモーションを行なっていました。メマリーのシンボルマーク(4つの細胞)はNMDA受容体を表しています。この受容体が記憶に関係があると言われていますが、アルツハイマー病の実態はまだよく解っていません。

▼メマリーとは?

「メマリー」は、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)を軽減する薬で、NMDA製剤という種類に分類されます。「アリセプト」(ドネペジル)とは全く別の作用機序を持つ薬として開発されました。

「メマリー」は脳神経へのグルタミン酸の悪影響を抑えるのが特徴で、“グルタミン酸仮説”という考えを基に造られた医薬品です。どちらかというと症状の重い患者向きで、中等度〜高度の患者に使用されています(軽度では使用しない)。

▼グルタミン酸仮説とは?

人の記憶には、脳内のグルタミン酸が深く関係していると言われています。“グルタミン酸仮説”とは、グルタミン酸が放出され続けることで神経伝達にノイズが混じり、記憶や習得能力が妨害されてしまう、という考えです。アルツハイマー型認知症の患者の脳内では、タンパク質が過剰に生産されています。この異常な量のタンパク質によってグルタミン酸が常に放出される状態となり、記憶することが困難になります。

グルタミン酸が記憶機能に関わっているのであれば、“グルタミン酸の放出”は悪いことのように思えませんが、実際にはグルタミン酸の放出が続くことで、記憶を創るのに必要な伝達信号も妨害してしまう、ということです。また、グルタミン酸飽和状態が続くと、グルタミン酸放出に関係する細胞が破壊されていきます。これが原因となって、アルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。

▼メマリーの副作用

主な副作用として、ふらつき、よろめきなどの目まいがあります。高齢者は目まいによって転びやすくなりますので、特に注意が必要です。その他、便秘、傾眠(昼間眠くなる)、幻覚、妄想、幻視などが報告されています。パーキンソン病の症状がある患者や、精神科の治療でドーパミン系の向精神薬を使ってる患者が、「メマリー」を併用すると、強い副作用が出ると言われています。

▼アリセプトとの違い

1999年に発売された「アリセプト」はコリンエステラーゼ阻害薬という種類の製剤で、軽度の認知症から使えます。2011年に発売された「メマリー」はNMDA受容体拮抗薬という製剤で、中等度〜高度の患者に使用されています。

「アリセプト」は“コリン仮説”を基に開発された薬で、「メマリー」は“グルタミン酸仮説”を基に開発された薬で、作用機序が異なります。

「アリセプト」の付加効果としては、認知症に伴って起こりやすい不安・抑うつ状態を和らげるという特徴があります。「メマリー」の付加効果としては、認知症に伴って起こりやすい興奮・攻撃性を和らげるという特徴があります。

アリセプト 軽度の患者から使用可能 コリン仮説 不安・抑うつ状態を和らげる
メマリー 中等度〜高度の患者に使用 グルタミン酸仮説 興奮・攻撃性を和らげる

▼認知症治療のこれから

原因がはっきりとは分からず、完治が難しいとされるため、最近では認知症に罹る前の早期発見や認知症予防の研究が非常に活発です。

認知症は進行型の病気ですが、認知症が進行したとしても、過ごし方次第で自宅で生活する事はできますし、工夫すれば旅行へ行くことも出来るかもしれません。薬での治療以外に、周囲の協力やアフターケアの方法によって、QOLを向上出来る疾患だと言われています。

認知症には根治をゴールとした治療法がないことから、診断後の患者への伝え方も難しい問題となっています。最近では、医師が患者会のようなサロンを勧めたり(参加者の方が、不参加者よりも要介護認定率が低いという研究論文があり)、スマートフォンを使った“認知症患者の見守り機器”の紹介といった“社会的処方箋”を出すことで、治療のゴールを改めて考え直す活動が見られています。

取り戻したいのは、穏やかな日常
守りたいのは、記憶の絆


一般名:メマンチン塩酸塩
製品名:メマリー錠5mg,10mg,20mg、メマリーOD錠5mg,10mg,20mg
抗認知症薬/NMDA受容体拮抗薬/NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤
第一三共

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