シングレア/アレルギー性鼻炎を伴う喘息治療に

アレルギー性鼻炎を伴う喘息治療に
1日1回1錠のシングレア

▼シングレアとは?

「シングレア」は、新しい作用機序の抗アレルギー薬です。アレルギーという病気は、“ヒスタミン”や“ロイコトリエン”という体内の物質が深く関わっていることが分かっています。「シングレア」は、主に気管支の収縮や鼻みず、鼻づまりなどに影響を与えると言われる“ロイコトリエン”に作用する薬です。もともとは気管支喘息薬でしたが、2008年にアレルギー性鼻炎の効能が追加承認されました。

気管支や鼻の粘膜の細胞には、“ロイコトリエン受容体”と呼ばれる鍵穴があり、そこにロイコトリエン(鍵)がはまることで、アレルギー症状を引き起こします。「シングレア」は、このロイコトリエン受容体にロイコトリエンより先にはまることで、ロイコトリエンの動きを阻害します。

従来のアレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の弱点であった“鼻づまり”に対してもよい効果が期待できるので、花粉症を含めた鼻づまりで困っている患者には「シングレア」と抗ヒスタミン薬を併用することがあります。

▼シングレアの特徴

「シングレア」は、鼻水・鼻づまりなど鼻粘膜のアレルギー症状にも有効ですが、いままでの抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)に較べて、気管支喘息に強い効果を発揮するのが特徴です。軽い喘息の場合は、単独投与でも十分ですが、重い症状の喘息では、吸入ステロイド薬と併用する必要があります。

効果が持続するので、1日1回就寝前の服用で済みます(【シングル・エアー → シングレア】)。普通錠とOD錠、細粒に加え、“チュアブル錠”というお菓子のハイチューのような子供向けの剤形も用意されていて(結構、美味しいらしい)、子供の喘息に良く処方されます。

▼気管支喘息とアレルギー性鼻炎

2009年、日本で気管支喘息患者を対象とした臨床試験が実施され、気管支喘息にアレルギー性鼻炎が合併する頻度が67.3%であることが報告されました(SACRAサーベイ)。そして、気管支喘息とアレルギー性鼻炎が合併すると喘息コントロールが不十分になるリスクが高くなり、患者のQOLが損なわれることが示されました。

アレルギー性鼻炎が気管支喘息に高い割合で合併し、喘息コントロールに大きな影響を及ぼすことは以前から考えられていましたが、アレルギーと喘息のふたつの疾患を合併する患者に向いた薬はありませんでした。

そういった経緯から、アレルギー性鼻炎の効能を持った気管支喘息治療薬「シングレア」は、“アレルギー性鼻炎を伴う喘息治療に”というコンセプトで営業活動を展開しているのです。

▼他のアレルギー薬(抗ヒスタミン薬)

・「アレロック」:眠気高い、効果強い、比較的速く効く、1日2回
・「ジルテック」:眠気やや高い、効果やや強い、1日1回、アルコール注意
・「タリオン」:眠気やや低い、効果やや弱い、1日2回
・「クラリチン」:眠気低い(パイロットも服用可)、効果弱い、1日1回、薬価安い
※効き目や副作用には個人差があります。




▼その他の関連情報




▼シングレアとキプレス

「シングレア」と「キプレス」は、一般名“モンテルカスト”という有効成分が同じ薬です。適応症や用法用量、添加物なども全く同じで製品名が違うだけです。医療用医薬品の世界では良くあることで、“併売品”と呼ばれています。なぜ一物二名称の医薬品が多く存在するのかという理由は、患者にとってのメリットはほとんどなくて、各社のビジネス的な思惑が大きいと言えます(販売経路や領域の得意・不得意など)。なお「シングレア」はMSDから、「キプレス」は杏林製薬から発売されています。

▼気管支喘息の原因解明、新治療薬に期待(2018年3月:追記)

2018年3月、東北大学の研究グループが気管支喘息の原因が“2型自然リンパ球”というリンパ球の活性化であることを発表しました(Journal of Allergy and Clinical Immunology 電子版:2018.2.7.)。気管支喘息を含むアレルギー疾患の新たな治療法開発につながると期待されています。

・気管支喘息(アレルギー性喘息)が起きる新たなメカニズムを発見。
・GITRタンパク質がリンパ球の活性化を介して、気管支喘息を引き起こすことを解明。
・GITRタンパク質を阻害する物質が気管支喘息の新しい治療薬となる

従来のアレルギー疾患の治療で注目されていたのは、アレルギー反応の制御や他の免疫細胞の活性化に関係する免疫細胞【T細胞】でしたが、東北大学はこの免疫細胞の表面に出現する“GITR”というタンパク質が、2型自然リンパ球を活性化することをマウスを使った実験で実証しました。

2型自然リンパ球は、気管支喘息が発生する時に最初に活性化する免疫細胞なので、この細胞が活性化しなければアレルギー反応は起こらないという理論です。

気管支喘息のメカニズムが解明されたことで、気管支喘息を含むアレルギー疾患の新しい治療薬誕生の可能性が高まっています。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、数字の“1”と爽やかな笑顔の女性です。【シングル・エアー → シングレア】ということで、特徴である持続性の“1(1日1回)”が強調されています。気管支喘息治療薬でもあるので、風を感じさせるイメージに仕上げています。

このような表現の場合、写真の力が非常に重要ですが、綺麗な青空を背景に風のかろやかさや風の流れを巧く出しています。風が吹いた時の心地良さと、アレルギー症状が抑制された時の心地良さが重なって、解放感のある気持ちの良いビジュアルが完成しています。

アレルギー関連のキービジュアルは、とにかく“青空”が多いのが特徴です。それはやはり、寛解後の爽快感や清々しい気持ちを表現したいからでしょう。しかし、それは過去の先人たちが長い時間をかけて築き上げてきたものです。高度情報化社会を迎える現代では、新しい価値観やライフスタイルは日々一刻と変わりつつあります。抗アレルギー薬のビジュアルも、製品の説明だけにとどまらず、時代とともに変わっていく必要があるでしょう。

一般名:モンテルカスト
製品名:シングレア錠5mg,10mg、OD錠10mg、チュアブル錠5mg、細粒4mg
気管支喘息治療薬/アレルギー性鼻炎治療薬/ロイコトリエン受容体拮抗剤
MSD

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