エフィエント/新たな扉が開かれる

▼エフィエントとは?

「エフィエント」は、血を固まりにくくして、血栓を防ぐ抗血栓薬です。第3世代のチエノピリジン系抗血小板薬(ADP受容体拮抗薬)と呼ばれています。適応は【経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患(急性冠症候群、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞)】として承認されています。安定した血小板凝集抑制作用を発揮し、血小板凝集抑制作用の発現が早いことが特徴の薬です。

▼経皮的冠動脈形成術とは?

経皮的冠動脈形成術とは、狭くなった動脈(冠動脈狭窄)をバルーンやステントで血管の内側から拡げて補強する手術のことです。世界で広く行われている治療法ですが、経皮的冠動脈形成術には治療した箇所が再び狭窄(再狭容)になりやすい、という問題がありました。

しかし、2000年代前半に薬剤溶出性ステントが登場したことで、経皮的冠動脈形成術の問題であった再狭窄が激減しました。さらに術後の血栓性イベントの予防のために、血小板凝集を確実に抑制することが求められ、2種類の抗血小板薬を併用する“抗血小板療法”が登場することになりました。

▼2剤併用が抗血小板療法の基本

日本循環器病学会のガイドラインでは、PCIが適用される虚血性心疾(狭心症や心筋梗塞)について、抗血小板療法が推奨されています。具体的な抗血小板薬としては、アスピリン、チクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)などが用いられています。

手術でステントを使用した場合には、アスピリンとチエノピリジン系との2剤併用の抗血小板療法が基本であり、アスピリンとチクロピジン(パナルジン)の併用、もしくはアスピリンとクロピドグレル(プラビックス)の併用が推奨されています。

しかし、チクロピジン(パナルジン)は稀に肝機能の重篤な副作用が報告されていることから、近年はクロピドグレル(プラビックス)との併用が多く使われるようになっていました。一方、クロピドグレル(プラビックス)は重篤な副作用の発現は少ないのですが、効果の発現に時間がかかるという課題がありました(抗血小板療法では、投与開始1~2日目の早い段階でステント血栓症が発生する可能性が高い)。

「エフィエント」は、そのような第2世代のチエノピリジン系薬の課題を改善するために開発された抗血小板薬です。「エフィエント」の主成分プラスグレルは、生体内で活性代謝物に変換された後、血小板膜上のアデノシン二リン酸(ADP)受容体P2Y12を選択的かつ非可逆的に阻害することで、血小板凝集を抑制します。

「エフィエント」は、中間体の生成率が高く、肝臓での代謝回数が少ないことから、少量でかつ迅速な効果発現が期待できると期待されています。

▼プラビックスとエフィエントの違い

動脈の血栓の予防には、血液が固まるのを抑える必要があります。方法として、血小板の機能を抑制するというやり方と、血管内の状態を改善するというやり方の2種類があります。「プラビックス」も「エフィエント」も、血小板を抑制して、血を固まりにくくする薬です。有効性としては、「プラビックス」も「エフィエント」もほぼ同等でほとんど差はありません。

プラビックス 効果発現が遅い、遺伝子多型の影響を受けやすい、脳・心臓・末梢に適応あり
エフィエント 効果発現が早い、遺伝子多型の影響を受けにくい、心疾患にしか適応がない

「エフィエント」は「プラビックス」に比べて個人差が少なく(遺伝子多型の影響を受けにくい)、抗血小板作用がすぐに発現するというメリットがあります。しかし、出血に関する副作用については、「エフィエント」のほうが「プラビックス」よりも多く発生しています。

また、「エフィエント」の適応は心疾患しかありませんが、「プラビックス」は脳・心臓・末梢に適応を持っています。

▼エフィエントの副作用

「エフィエント」の主な副作用は、皮下出血や鼻血です。頻度は低いですが、血尿、血管穿刺部位血腫、皮下血腫なども報告されています。

重篤な副作用の発現率は、同系統の薬剤「チクロピジン(パナルジン)」よりも低いですが、出血、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、過敏症などに注意する必要があります。特に高齢者には慎重な投与が求められています。

▼広告のキービジュアル

「エフィエント」の広告です。まだ承認前で、製品名が出ていません。いわゆる“予告編”みたいなものです。

広告のビジュアルは、重厚な扉の先に新しい世界が待っている・・・、というイメージです。扉が重そうな分、期待感が高まる広告です。


商品名:エフィエント錠3.75mg
主成分:プラスグレル塩酸塩(Prasugrel hydrochloride)
抗血小板剤/ADP受容体拮抗薬

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