アプルウェイ/2型糖尿病治療の新しい選択

強い効果 高い選択性

▼アプルウェイとは?

2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)の薬です。血糖を下げる作用があります。腎近位尿細管で糖の再吸収を抑えることで、余計な糖分を尿として排出させる効果があります。

「アプルウェイ」の特徴は“血中の半減期が短い”ということ。つまり、作用する時間が短いのです。「アプルウェイ」の半減期(約5.4時間)はSGLT2阻害薬の中で最短となっています。半減期が短いことで、朝服用すれば副作用が夜に出にくくなります。

SGLT2阻害剤は、過剰な糖分を尿として排泄しますから、夜間頻尿や不眠という副作用が生じます。このような副作用が、SGLT2阻害薬の中では比較的少なくて済むと言えます。

ちなみに「アプルウェイ」は、別会社から発売されている「デベルザ」という糖尿病治療薬と主成分が全く同じ薬です(1物2名称)。どちらの薬も適応症や用法用量、添加物なども全く同じで製品名が違うだけです。医療用医薬品の世界では良くあることで、“併売品”と呼ばれています。なぜ一物二名称の医薬品が多く存在するのかという理由は、患者にとってのメリットはほとんどなくて、各社のビジネス的な思惑が大きいと言えます(販売経路や領域の得意・不得意など)。

▼糖尿病とは?

糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が、主に自己免疫によって壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。1型糖尿病の患者には、基本的にインスリン注射を打って、治療します。

一方で2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「アプルウェイ」は、2型糖尿病に対して使用する選択的SGLT2阻害剤です。

2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「アプルウェイ」のような薬を併用して、血糖をコントロールします。糖尿病は食事療法、運動療法、薬事療法の3つが基本ですが、ひとつでも手を抜くと血糖値が悪くなってしまいます。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながります。

▼広告のキービジュアル

“選択的”SGLT2阻害薬と呼ばれる新しい糖尿病治療薬ということで、ビジュアルもリンゴを【選択】しています(黄金のリンゴを選択)アプルウェイという製品名にちなんで“リンゴ”のイメージです。憶えやすいですね。ちなみにSGLT2阻害剤は、リンゴの樹皮から抽出された成分(フロリジン)を基に研究されました。そこで、“Apple”と作用機序という意味の“way”を合わせて【アプルウェイ(Apleway)】と命名されました。

▼SGLT2阻害剤とは?

SGLT2阻害剤は、比較的安全で質の高い血糖コントロールが期待できる薬剤です。体重の減少効果が特徴で、日本よりも肥満の多い欧米で注目度が高い薬です。HbA1cを下げるレベルはDPP-4阻害剤と同じようなレベルと言われ、食後血糖値も空腹時血糖も全体的に下げるため、血糖値はインスリンを使った時に近い挙動になります。低血糖を発症するリスクが少ないのもDPP-4阻害剤と同様です。

最も適する糖尿病患者のタイプは“肥満でインスリンの分泌が比較的保たれている患者”ということになります。逆に、痩せている人や高齢者には注意が必要です。

副作用で気をつけなければいけないのは、尿路・生殖器感染症です。排泄される尿が糖分を多く含むようになるので、細菌が繁殖しやすくなります。膀胱炎、尿路感染症、膣カンジダ症といった副作用が現れることがあります。その他の副作用としては、発熱、頻尿、排尿痛、陰部の腫れやかゆみ、脇腹や背中の痛みなどが報告されています。

▼あらためて脚光が当たるSGLT2阻害剤

SGLT2阻害剤については、血糖降下作用や体重減少効果だけでなく、心血管イベントのリスク減少といった複合的な効果が明らかになりつつあります。2015年9月、ストックホルムで行われた「欧州糖尿病学会」において、エンパグリフロジン(ジャディアンスの有効成分)で心血管死亡率は38%も減少したという大規模試験の結果が発表されました。いま、欧米ではあらためてSGLT2阻害剤に脚光が当たっています。

大規模試験の結果でエビデンスが出てきたこともあり、日本糖尿病学会は2016年5月に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するレコメンデーション」の改訂を行いました。改訂の結果、高齢者でも適応可能と考えられる対象患者数が拡大しています。

SGLT2阻害薬は、直接的なインスリン分泌促進作用を持たず、体重減少やインスリン抵抗性の改善も期待できることが特徴です。肥満度が高い欧米では、病態に適しているということで高評価ですが、日本では“DPP-4阻害薬”に押されています。2016年の資料によれば、国内のSGLT2阻害薬の処方率は処方箋ベースで2〜3%程度だということです。日本では、圧倒的なDPP-4阻害薬の勢力に立ちすくんでいる状態ですが、臨床試験結果からの逆転はあるのでしょうか。

▼主なSGLT2阻害剤








一般名:トホグリフロジン
製品名:アプルウェイ錠20mg
糖尿病用剤/選択的SGLT2阻害剤
サノフィ

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