アブラキサン/ステロイド不要のパクリタキセル注射剤

Abraxane

▼アブラキサンとは?

「アブラキサン」は植物由来製品で、タキサン系と呼ばれる抗癌剤です。細胞の正常機能の維持に重要な役割を果たしている微小管の蛋白重合を促進し、細胞分裂を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。海外では2005年に承認されてから、世界39カ国で承認されている注射剤です。

「アブラキサン」の有効成分“パクリタキセル”は、1997年に「タキソール注射液」として既に発売されている薬で、乳癌の標準的治療薬として学会で推奨されており、非小細胞肺癌などにも幅広く処方されていました。

しかし、“パクリタキセル”という成分は、極端に水に溶けにくいため、既存製剤では溶媒としてポリオキシエチレンヒマシ油や無水エタノールが使用されていました。これらの溶媒に付随する過敏症の問題から、既存製剤では過敏症対策として前処置(ステロイド投与)が不可欠でした。

そこで開発された「アブラキサン」は、アルブミンに従来のパクリタキセルを結合させる“ナノ粒子製剤”にすることで、生理食塩液での懸濁が可能となりました。過敏症予防を目的としたステロイド前投与が不要になったことで、薬剤投与時間が約30分に短縮され、患者の負担軽減が期待できると言われています。

▼アブラキサンの副作用

「アブラキサン」を投与すると、全例に何らかの副作用が発現するので十分な注意が必要です。
「アブラキサン」の主な副作用は、白血球減少・好中球減少・末梢神経障害・脱毛、筋肉痛、リンパ球減少、関節痛、単球減少・発疹などであり、重大な副作用としては、従来製剤と同様に、白血球減少などの骨髄抑制、しびれなど末梢神経障害、麻痺などが認められています。

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▼胃がんに対する新用法・用量を取得:追記2017年8月

2017年8月、「アブラキサン」は、胃がんに対する新たな用法・用量として毎週投与法の承認を取得しました。進行胃がん患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(ABSOLUTE試験)の結果に基づき、既に承認を取得している3週毎投与法に加えて、追加承認されたものです。

なお「アブラキサン」は、2010年7月に乳がん、2013年2月に胃がん、非小細胞肺がん、2014年12月に治癒切除不能な膵がんの効能・効果を取得しています。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、花火。花火を癌(乳がん、胃がん、膵がん)に見立てて表現しています。昔は“がん=不治の病い”というイメージが強い病気でしたが、今日では早期に発見して治療すれば治る病気であり、美しい花火には人生を肯定する前向きなメッセージが込められているように感じます。

公式サイトより

一般名:パクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型)
製品名:アブラキサン点滴静注用100mg
抗悪性腫瘍薬/特定生物由来製品/毒薬
大鵬薬品工業

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