ネキシウム/ネキシウムという選択

「ネキシウムという選択」

▼ネキシウムとは?

「ネキシウム」は逆流性食道炎の治療として、代表的なプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。普段胃酸は、侵入してくる“菌”から胃腸を防御する重要な役割を果たしています。しかし、胃壁が弱っている時に胃酸が逆流すると、食道を傷つけたり、胸焼けを起こしたりします。「ネキシウム」は酸分泌抑制の効果があり、胃酸の分泌を強くに抑え、胃酸によって起こる悪影響を軽減します。結果的に、逆流性食道炎や胃潰瘍の状態が良くなり、胃痛や胸焼けも軽減されます。アスピリンや鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)が原因で胃が荒れてしまった場合の痛みにも有効です。PPI製剤は効果も良く、ネキシウムは海外でかなり売れている薬です。世界では2000年に発売。For the Next Millennium(次の千年紀のための)という意味が込められています。

For the Next Millennium → ネキシウム

PPIの先行薬の「オメプラール」の適応である逆流性食道炎に加えて、現場からのニーズが高かった“非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍”“十二指腸潰瘍の再発予防”の効能効果も取得しています。潰瘍出血の経験がある患者の消化器保護などに用いられ、潰瘍出血の再発の抑制効果が広く認められています。PPI製剤の胃酸分泌抑制作用は、H2ブロッカー(ガスターなど)、M1ブロッカー(ガストロゼピンなど)を上回るといわれています。

PPI(プロトンポンプ阻害薬)の他に胃酸の分泌を抑える薬には、H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)、M1ブロッカー(選択的ムスカリン受容体拮抗薬)があります。どちらも逆流性食道炎に効果がありますが、効果としては、PPI>H2ブロッカー>M1ブロッカーの順で強力です。治療の初期はPPI、長期の維持療法にはH2ブロッカーを使うのが一般的です。

ネキシウム(エソメプラゾール)40mg

▼ネキシウム、PPI製剤として初の小児適応へ(追記:2018年1月)

2018年1月、厚生労働省は「ネキシウム」の小児用量と新剤形(懸濁用顆粒分包)について承認しました。再審査期間は4年。

近年、胃酸が関係する病気にかかる子供が増えてきており、アストラゼネカでは、2014年から「ネキシウム」の小児への適応拡大に向けた臨床試験を開始していました。日本では初めて小児適応を持つプロトンポンプ阻害薬(PPI)となります。PPI市場の「タケキャブ」との熾烈なトップ争いにおいて、「ネキシウム」が一歩リードすることになりそうです。

顆粒剤は小児用量の追加に伴い、小児にも飲みやすい剤形として開発されました。小児に用いる際の対象疾患は成人とは異なるので、注意が必要です。なお、顆粒剤は成人も使うことが可能です(成人の場合、全適応)。

胃食道逆流症の場合、第一選択薬はPPI(プロトンポンプ阻害剤)となるので、子供に対してもPPIを処方したいというケースは少なくありません。重度の場合には、体重増加不良、反復性肺炎、喘息などを起こす可能性があるため、日本小児栄養消化器肝臓学会からは、小児適応の開発が熱望されていました。

しかし、成人でも副作用が出ることがある薬ですから、小児へ処方する場合には慎重な検討が必要です。一番起こりやすい副作用としては“下痢”が考えられますが、頭痛やめまい、眠気などの中枢神経系の症状が出る可能性も指摘されています。

▼他のPPI(プロトンポンプ阻害薬)との違い

・オメプラール:一番薬価が安いPPI
タケプロン:OD錠あり。副作用が少ない
パリエット:効果が一番強い。薬価も高い(20mg)
・ネキシウム:効果が速く強い
タケキャブ:タケプロンの改良版(P-CAB)。速効性で持続型



▼広告のキービジュアル

胃の改善を風船でたとえた広告のビジュアルです。不快感からの解放、というイメージでしょうか。非現実的な空間で、はっと目をひきました。ネキシウムのマークは、胃の内部の内壁を表していると思われます(放酸のイメージ?)。ファッション雑誌の広告のように綺麗なデザインですね。2012年、日経BP社の医療部門の広告賞を受賞しました。


一般名:エソメプラゾールマグネシウム水和物
製品名:ネキシウムカプセル10mg,20mg
消化性潰瘍用剤/プロトンポンプ阻害剤/プロトンポンプ・インヒビター/胃腸薬
第一三共
アストラゼネカ

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