プラルエント/PCSK9の発見は、期待へ

PCSK9の発見は、期待へ

▼プラルエントとは?

「プラルエント」は、高コレステロール血症治療剤です。簡単に云うと、LDLコレステロールを大幅に下げる注射剤です。肝臓にあるLDLコレステロールの入口を守り、LDLコレステロールの肝臓への取り込みを増やします。PCSK9とは、肝臓でつくられ、血液の中に入って、コレステロールの量を調節するタンパク質のことです。

LDLを下げる既存薬としては主流がスタチンであり、「クレストール」や、「リバロ」、「リピトール」が一般的です。スタチン系で効果が不十分な場合に、「ゼチーア」や「エパデール」を併用するのが、現在のオーソドックスな治療方法。それでも下がらないケースで、このPCSK9阻害剤を使用します。




▼効果抜群も苦戦?

生活習慣病の薬としては、圧倒的に高い薬価ですが、効果は抜群です。しかし、市場ではかなり苦戦しているようです。理由としては、以下の点が考えられます。

■対象となる患者が少ない(LDLコレステロール100mg/dL以下、というガイドラインを達成できない人がほとんどいない)
■薬価が高い(他の薬で充分と考える医師が多い)
■心血管系のイベントが比例して下がると喧伝できない(PCSK9阻害剤で主要評価項目でイベントに差が出たものがない)
■新薬の高額薬価投与の2週間の規制がある(2週間ごとに来院させる必要はないと考える医師が多い)
■注射剤が敬遠されている(他の飲み薬で充分と考える医師が多い)

というわけで、期待の新薬として「ハーボニー」や「ソバルディ」のように爆発的に売れるのは、今のところなかなか厳しい状況のようです。

▼遺伝子組換え技術とは?

「プラルエント」でも使われている遺伝子組換え技術は、インスリンやインターフェロンや成長ホルモンなど、バイオ医薬品には欠かせない技術となっています。近年では、食物の遺伝子を改変して、医薬品として利用しようと研究が進められています。ひょっとして「食べ物だけど血圧を下げる」というような“美味しい医薬品”が出来るかもしれません。

▼心血管イベントの発現リスクを低下(2018年3月:追記)

2018年3月、急性冠症候群の発症後の患者を対象とした臨床試験(Odyssey Outcomes試験)で、「プラルエント」(アリロクマブ)が主要心血管イベント(MACE)の発現リスクを有意に低下した、と米国心臓学会議が発表しました。

試験は日本などで実施され、平均で2.8年間、最長で5年間治療されました。その結果、「プラルエント」によって、主要心血管イベント全体のリスクは約15%低下。死亡リスクの低下も確認されました。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、CGで描かれたヒーローのキャラクターです。なかなかカッコイイですね。「Y」の字のようなマークは、LDL受容体を表しているのかな、と思います。ヒーローである「プラルエント」がPCSK9を退治する、というイメージでしょうか。


製品名:プラルエント皮下注75mg、150mg ペン/シリンジ
一般名:アリロクマブ製剤(遺伝子組換え)Alirocumab
高コレステロール血症治療剤、完全ヒト型抗PCSK9モノクローナル抗体
サノフィ

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