エーザイ/スローガンを徹底している企業

患者様の想いを見つめて、薬は生まれる。
ヒューマン・ヘルスケア企業 エーザイ

顕微鏡を覗く日も、薬をお届けする日も、見つめています。病気とたたかう人の、言葉にできない痛みや不安、生きることへの希望。私たちは、医師のように普段からお会いすることはできませんが、そのぶん、患者様の想いにまっすぐ向き合っていたいと思います。治療を続けるその人を、勇気づける存在であるために。病気を見つめるだけではなく、想いを見つけて、薬は生まれる。「ヒューマン・ヘルスケア」。それが、私たちの原点です。

▼エーザイとは?

エーザイ株式会社は、医療用医薬品を中心に研究開発、製造販売などの事業をグローバルに進めている製薬メーカーです。

社員数は世界合わせて1万名を超え、連結売上収益は5,391億円(2016年度)です。国内では、医療用医薬品とともに薬局・薬店で販売されている「チョコラBB」などでも知名度があります。しかし、国内での一般用医薬品の売上は全体のほんの数パーセントで、医療用医薬品が全体の90%以上を占めている企業です。

研究者を大切にする社風があり、世界初のアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」やプロトンポンプ阻害剤「パリエット」といった画期的な製品の開発に貢献した社員へ、合計で1億円を支給したことで話題となりました。

▼エーザイの特徴

エーザイの重点領域は、ニューロロジー(神経領域)とオンコロジー(がん領域)の二本柱です。十分な治療法が確立していない病気が多く存在する“神経領域”と“がん領域”に研究開発費を集中的に投入し、有用性の高い新薬を生み出すために研究を続けています。

神経領域では、主に認知症とてんかんの2つに注力しています。認知症については、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」という財産を活かし、新しいアルツハイマー型認知症治療薬を開発するために研究を重ねています。

がん領域としては、1986年からの新薬の研究に着手しています。これまでの研究により、微小管ダイナミクス阻害剤「ハラヴェン」を乳がんの治療薬として世界で発売しています。また、2015年にはマルチキナーゼ阻害剤「レンビマ」を米国、欧州、日本で発売しました(約10年ぶりの新薬で、一次治療薬の主流になる可能性あり)。現在も複数のがんに関する治療薬の研究が進められています。

▼製薬会社のブランド

企業広告には、社会貢献活動、文化活動、経営理念などを外へPRしていくことによって“社会的信用を高める”という効果があります。機械メーカーの村田製作所が、盆と正月に実家へ帰省する社員が家族に認められるためにTVコマーシャルを流した、というのはあまりにも有名な逸話です。

企業のスローガンは「ヒューマン・ヘルスケア」で、頭文字のhhcはフローレンス・ナイチンゲール(1820~1910年)さんの直筆文字を使用しています。この企業スローガンをエーザイは長年大事にしており、2005年には「ヒューマン・ヘルスケア」という企業理念そのものを会社の定款にまで盛り込みました。企業のキャッチコピーを、ここまで徹底的に浸透させることはなかなか珍しいことです。

製薬会社のブランドとは、ユーザーの立場から考えれば、実際に使用した製品、広報活動、広告などを通じて、その人の中で構築されるイメージの総体です。

一方、製薬会社にとってみれば、ブランドとは事業内容そのもののことを指す場合が多いです。ブランドとは、企業理念や存在意義を凝縮したものであり、社会との接点です。ブランドは、決して漠然としたイメージ戦略ではなく、製薬企業の社会的価値の総体を指します。

社会にとって有意義なブランドであれば、そこに関わる人は、そのブランドを応援してくれます。長期的な視点で、付加価値を安定的に出し続けるためには、ブランドという仕組みを活用する必要があるのです。

▼行動が企業のイメージを定着させる

では、どのようにして企業のイメージは定着していくのでしょうか?
大ヒット映画『バットマン・ビギンズ』の名科白にこういう言葉があります。

「人間は中身ではなく、行動で決まる」

製薬企業の多くは、その社会的責任を果たすために、CSR(corporate social responsibility)というものに取り組んでいます。例えば、森林再生プロジェクトや社会福祉への貢献、アンメットメディカルニーズに応えるといった活動です。しかし、口先だけなら誰にでも出来ます。結局、世間の人々に「この製薬企業は本当に社会に貢献しているなあ」と感じてもらえなければ成功とは言えません。

▼どうしたら、信じてもらえるのか?

企業のイメージを定着させるには、企業の人柄に合った活動を行っているかどうかで決まります。つまり、企業イメージを反映した行動をとることが重要なのです。人々が抱く企業イメージとかけ離れた行動を取ると、人は必ず違和感を覚えます。

例えば、敵対的買収を繰り返して大きくなっているような会社が「弱者にやさしい社会の実現を目指します!」と言っても、偽善的に映ってしまいます。製薬企業は、自分たちのイメージを分析して、ユーザーの反応を想定した上で企業活動を展開していかなくてはなりません。

これを逆手に取れば、その製薬企業らしい活動をしっかり続けてさえいれば、それが世間に定着して高い評価へ繋がっていく、ということになります。

エーザイのように終始一貫して、その製薬企業らしい行動をコツコツと続けることが、将来的な企業イメージの定着に繋がり、ブランディングの成功につながるというわけです。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、エーザイのシンボルマーク(赤は動脈を、青は静脈を示しています)から瞳を覗かせている女性研究者です。“人間を見つめるエーザイ”というコンセプトが上手く表現されています。

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