第一三共エスファ/オーソライズド・ジェネリック

第一三共エスファがお勧めする
オーソライズド・ジェネリック(AG)医薬品

▼広告のキービジュアル

主に一般の人がターゲットの第一三共エスファの広告です。“安い薬”というイメージだけが先行して、世間的にあまり認知されていないAG(オーソライズド・ジェネリック)について解説しています。医療用医薬品は、医師の処方が必要なため、製薬会社が消費者へ直接訴求していく機会があまりありません。そのため、このようなwebサイトへ誘導する仕組みの広告でプロモーションを行っています。

右下に配置された“情報不足による安全性問題を解消させるためのツール”「患者指導箋」の充実が目を惹きます。ジェネリック品でも品質的にしっかりした物があるということを訴えて、安心感を与えてシェアを拡げていく狙いです。

▼オーソライズド・ジェネリックとは?

【オーソライズドジェネリック】“AG”とは、特許が切れる前に先発品メーカーがオーソライズ(公認)したジェネリック医薬品のことです。特許満了後に発売される他社のジェネリック製品に対抗するものとされています。ただし、独占権は180日なのでAGの寿命は1年程度、大きな売り上げがある品目でないと収支が合わないと言われています。

薬価が公定価格である日本では、米国と同様の仕組みでAGを持つことには無理があるので流行らないと言われていたのですが、蓋を開けてみれば絶好調。ジェネリック製品はAGの独り勝ちと云える状況です。

▼なぜAGの独り勝ちなのか

AGの独り勝ちという結果には、いろいろな要素が関係しているとは思いますが、大きな理由のひとつに「ジェネリックを信用していない医療従事者」が結構たくさん存在するということが挙げられます。また、患者の中にもジェネリック医薬品に不安を持つ人がいます。ジェネリックがどういう医薬品なのか、きちんと浸透していないようです。

広告にも書いてありますが、AGは【原薬・添加物・製造方法まで全て同じ】です。裏を返せば、一般的なジェネリック医薬品は、添加物や製造方法が先発品とは違う製品ということになります。料理で例えれば、“同じカレーでも作り方や隠し味が違う”ということになります。このポイントが、日本でのAG躍進のひとつの理由だと思います。

▼普及率80%を目指して

ジェネリック医薬品は、医療財政を守るという観点からも、普及が期待されています。政府は、2020年までにジェネリック医薬品の普及率を現在の65%→80%にまで高めるとしています。実際、欧米先進国の普及率は高く、アメリカで90%、ドイツで80%の普及率となっていますので無謀な数字ではありません。海外でのジェネリック医薬品が普及している要因にAGの存在があるといわれています。日本でのAGの販売は、まだそれほど多くありませんが、AGの浸透が、ジェネリック普及の後押しになるかもしれません。

▼AGのヒットで変化する状況

主力製品の特許が切れる日本の新薬系の製薬会社は軒並み苦戦していましたが、AGのヒットで状況が変化してきました。先発品の関連会社や子会社が名前を変えてオーソライズドジェネリックを発売して稼ぐという現象です。

米国では、別会社が販売権を買って販売するのが主流のAGですが、日本ではほとんどが【実質的な子会社へ長期収載品を譲渡して対価を受け取っている】というパターンです。ルールの網目をくぐって上手く商売したな、という印象です。

2018年の薬価改訂で、医薬品メーカー全体では7000億円以上の売上げが減少する、と試算されています。今後の環境の変化に応じて、大手製薬メーカーと言えども変わっていかなければ、生き残っていけません。環境の大きな変化は、新しい市場が生まれるビジネスチャンスと捉えることも出来るのです。

長期収載品やジェネリックといった“オフ・パテント・ドラッグ(特許期間を満了した製品)”を本社から切り離すことによって、コストを抑えながらも、市場を掌握していきたいという狙いが覗えます。

▼第一三共エスファとは

第一三共エスファは、ジェネリック医薬品を中心とした医薬品の製造販売を行う第一三共の子会社です。ファイザーの“エスタブリッシュ医薬品”に対抗してか、自社後発医薬品のことを“プレミアムジェネリック”と呼んでいます。このようなブランド戦略は、かつてはバッグや化粧品、衣類といった華やかな業界の考え方でしたが、競争における重要な優位資産として医療用医薬品の世界にも拡がり始めています。


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