企業広告に隠された利点

皆さんは、企業広告というものをどのくらい気にかけていますか?
正直に云って、あまり気にしていない方がほとんどではないかと思います。私も以前はまったく意識して見ていませんでした。
製品の広告と違って、それで物が売れるわけでもないし、会社は企業広告を出すことで何か得をすることがあるのでしょうか。

実は、こうした企業広告は、社会貢献活動、文化活動、経営理念などを外へPRしていくことによって“社会的信用を高める”という効果があります。つまり親密度や信頼度を高めて、自分の会社のファンになってもらう、ということです。いわゆるブランディングです。たとえば、人が同じ性能で同じ価格の製品を選ぶ場合、「環境に配慮している」とか「誠実で信頼できる」といった企業のイメージで差をつけるからです。

企業広告は企業のイメージアップを図ることで、結果として自社製品の売上拡大に寄与することを狙っていますが、メリットはそれだけではありません。企業広告の効果は、例えば「あの会社だったら、働いてもいいな」といった優秀な人材の確保や「世間から立派な会社だと思われているし、自分も見合うように頑張らなくちゃ」といった従業員の意識にも充分な効果を発揮すると言われています。

いままでは、製品広告と企業広告は完全に分離した存在でしたが、最近では、製品広告と企業広告を一体としてとらえる発想が強まっています。医薬広告で言うと“C型肝炎”“疼痛”などの領域ごとで、企業広告を出すケースです。これらは、企業広告を一歩推し進めて、製品の売上に繋げることを想定しています。製薬企業も商売ですから、やはりいろいろなことを考えて、仕掛けを練っているのです。

医薬品広告では、ファイザー社の企業広告が面白いです。「エスタブリッシュ医薬品」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
【Establish】とは、設立する、創立する、打ち立てる、といった意味の言葉です。「エスタブリッシュ医薬品」という言葉は、ファイザー社がブランディングの一環として作り出した造語です。

ファイザーはホームページで、エスタブリッシュ医薬品を以下のように解説しています。

エスタブリッシュ医薬品とは、「大切に、長く使われていく標準的な治療薬」です。
長期の臨床使用経験に基づき効果と安全性の評価が確立されており、今後も長く使われていく標準的な治療薬です。特許期間が満了した「長期収載品」と「後発医薬品」が含まれ、標準治療に必須の医薬品として重要な役割を担っています。

要約すると、医薬品というのは、長く使われれば使われるほど、有効性や安全性についてのデータが蓄積されて、安心感・信頼感が高まっていきますよ、ということです。これって、言われてみれば当たり前のことで、どの企業も同じような気持ちで取り組んでいることだと思うのですが、それを最初に【言葉】としてパッケージ化して、目に見えるカタチにしたというところが高度なマーケティング戦略なのです。

日本の後発医薬品のシェアはまだ低い状態ですが、政府が「平成32年度末までにシェア80%以上」という目標を掲げている以上、ジェネリックに対する優遇措置や促進のための施策は、今後もまだまだ続くものと考えられます。

ファイザーは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)対策として、自社の長期収載品とジェネリックのことを「エスタブリッシュ医薬品」と呼んで、主力製品の“ブランド化”を打ち立てているわけです(他社も「アドバンスジェネリック」や「プレミアムジェネリック」などと呼んで追従しています)。

最終的に同じ成分の薬が(添加物の違いなど、厳密に言うと全く同じではありませんが)横並びになった時点で、どこで争うかというと、それは【ブランド力】になってくると思います。つまり、何らかの「付加価値」です。機能や性能が同じなら、多くの人はブランド力のあるメーカーの製品を欲しいと思うでしょう。そうした観点から生まれたのが、「エスタブリッシュ医薬品」なのです。非常に巧い戦略だなあ、と感心します。

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