▼ジェムザールとは?
「ジェムザール(ゲムシタビン)」は、“ピリミジン拮抗薬(代謝拮抗剤)”に分類される分類される抗癌剤です。
癌細胞には、細胞分裂を繰り返しながら無限に増殖する性質があり、癌細胞の遺伝子であるDNAを合成しながら、細胞分裂を活発に繰り返しています。
「ジェムザール」は、癌細胞の増殖に必要な物質とよく似た構造をしているため、癌細胞のDNAの中に入り込みやすく、細胞分裂に必要なDNAの合成を阻害して、癌の分裂や増殖を抑える効果を発揮します。
「ジェムザール」の作用機序は、同じピリミジン拮抗薬である「シタラビン」と似ていますが、「ジェムザール」は「シタラビン」と異なり、細胞周期に関係なく作用するため、「シタラビン」が使えない固形癌によく使われている製剤です。
【ゲムシタビンの適応癌】
非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫
「ジェムザール」は、非小細胞肺がん、膵がん、胆道がん、尿路上皮がん、乳がん、卵巣がん及び悪性リンパ腫に対して適応が認められています。「ジェムザール」は、上記の癌に対して、癌細胞の増殖や進展を抑える目的で用いられます。
また、「ジェムザール」は膵癌において、癌による痛みや全身状態を改善することが確認されています。
▼ジェムザールと膵癌
膵癌には、1990年前半まで有効な治療法が確立していませんでしたが、1999年に抗悪性腫瘍剤「ジェムザール」が発売され(※)、膵癌に対して優れた治療効果を示し、膵癌に対する癌化学療法は大きく前進しました。
※発売当時の適応症は非小細胞肺癌。2001年に膵癌の追加適応取得
2010年代まで、国内では主として「ジェムザール」と「ティーエスワン」の2つの薬が膵癌の治療に使われてきました。
その後、海外で「ジェムザール」単剤よりも治療効果が高い方法が報告され、日本でも、「ジェムザール」に「タルセバ(エルロチニブ)」を併用する治療(2011年)、4種類の抗癌剤を併用するFOLFIRINOX療法(2013年)、「ジェムザール」に「アブラキサン」を併用する治療(2014年)が続々と認可されてゆきました。これらの併用療法によって、膵癌に対する治療法は近年大きく進歩しています。
抗がん剤による治療は、通常、複数の薬剤を投与する【多剤併用療法】が行われています。しかし、膵癌に対する「ジェムザール」のように、癌の種類によっては、1種類の抗がん剤で治療を行うこともあります。【多剤併用療法】では、副作用が少なくて、なおかつ効果が高い薬剤の組み合わせが選択されています。
▼ジェムザールの副作用
「ジェムザール」の主な副作用は、骨髄抑制(白血球や血小板の減少)。その他に、吐気、嘔吐、脱毛、全身倦怠感といった副作用が報告されていますが、症状は比較的軽いです。
副作用には、自分で気がつく症状(自覚症状あり)と、検査を受けなければ分からない症状(自覚症状なし)があります。多くの抗がん剤と同様に「ジェムザール」も、癌細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えますので、身体に少しでも異常を感じたら、すぐに医師に相談してください。
主な副作用 | 骨髄抑制(白血球や血小板の減少) |
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その他の副作用 | 吐気、嘔吐、脱毛、全身倦怠感 |
重大な副作用 | 間質性肺炎、アナフィラキシー、心筋梗塞、うっ血性心不全、肺水腫、気管支痙攣、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、腎不全、溶血性尿毒症症候群、皮膚障害、肝機能障害、黄疸、白質脳症 |
▼ジェムザールの関連薬
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、狼とDNAが極めて近い犬、アラスカンマラミュート。アラスカンマラミュートは体力のある大型犬で、力強さの象徴です。アラスカ北西部ので生活していた犬で、北極のそり犬としては最古の犬種と言われています(別ビジュアルで、犬橇も確認できます)。
キービジュアルには“がん患者によりそうパートナー”、“がん患者を助ける存在”という意味が込められているような気がします。
一般名:ゲムシタビン
製品名:ジェムザール 注射用200mg, 注射用1g
退社拮抗性抗悪性腫瘍剤/ピリミジン拮抗薬/代謝拮抗剤
日本イーライ・リリー