VTE/術後静脈血栓塞栓症の対策に薬物的予防法

どんなリスクも見逃さない。それが私のスタンス。

▼VTEとは?

【VTE】とは、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)の略で、静脈血栓塞栓症(VTE)は、「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」の総称です。

人は怪我で出血しても、しばらくすると血が傷口で固まって、自然に止血されます。この血液が固まることを“血液凝固”と呼びます。基本的に、血液は血管の中では凝固しないで、さらさらの状態で流れています。
しかし、血管が損傷したり、血流が悪くなったりすると、血液自体が固まりやすくなり、血管の中で血栓ができるおそれがあります。

手や脚の静脈に血栓ができることを“深部静脈血栓症”といい、固まった血栓が血管の中を流れていき、肺の動脈が詰まる病気を“肺塞栓症”といいます。「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」は、一連の流れの病気なので、総称として【静脈血栓塞栓症】(VTE)と呼ばれています。

▼術後VTEの対策に、薬物的予防法という選択肢

【静脈血栓塞栓症】(VTE)の予防のために、弾性ストッキングの装着や間欠的空気圧迫法(IPC)による理学的予防法が実施されています。しかし、【VTE】は血流の停滞だけではなく、血管内皮障害や血液凝固能亢進によっても発症することがあります。

より確実なVTE予防を可能にするためには、従来の理学的予防法に加え、薬物的予防法という選択肢があることを知ってください。

▼広告のキービジュアル

薬の製品名はなく、静脈血栓塞栓症(VTE)の疾患啓発広告というスタイルですが、血液凝固阻止剤「クレキサン」のプロモーションです。疾患自体の認知度を上げながら、需要の掘り起こしを経て、結果的に自分たちの薬を売っていこう、という仕組みです。

広告のビジュアルは、手塚治虫先生の傑作漫画「ブラックジャック」。ブラックジャックは名医で知名度も高いことから、医薬広告の世界では何十年もの間、人気のキャラクターです(医師免許ないですが……)。

作者の手塚先生自身が、医者(医学博士)ということもあり、「鉄腕アトム(パリエット)」や「ジャングル大帝(アイミクス)」など、手塚キャラは、手塚先生亡き後も医薬広告の世界で愛され続けています。

▼クレキサンとは?

「クレキサン」は、サノフィ・アベンティスが2008年に発売した血液凝固阻止剤です。

「クレキサン」は、日本初の低分子ヘパリン製剤として、静脈血栓塞栓症(VTE)の予防という適応を取得しました。静脈・動脈血管での血栓形成を阻害することによって、急性・慢性の静脈血栓症と動脈血栓症の発症を抑制する効果があります。

「クレキサン」は、世界では1987年から発売されている実績のある薬で、VTE予防の世界的な標準薬として、世界の抗凝固薬市場の中ではトップの売上高を記録しています。

▼その他の血液凝固阻止剤




▼疾患啓発広告とは?

疾患啓発広告は、一般ユーザーの“口コミ”も期待されています。いわゆる“バズ(buzz)”です。バズとは蜂がブーンと唸るようなざわついた状態のことから名付けられました。

それまで、処方箋医薬品広告のターゲットは医師や薬剤師に限られていたわけですが、製薬会社も“一般ユーザーを含めたマーケティングの重要性”にようやく気づき始めました。インターネット全盛の世の中では、企業のサイトが一般ユーザーのblogなどに検索順位が負けることがあるからです。

このような口コミを利用した戦略を【バイラル・マーケティング】と呼びます。医療用医薬品業界も、単なる販売志向からマーケティング志向へと転換しつつあるのかもしれません。

※バイラル・マーケティング:製品やサービスを最終消費者に口コミで宣伝してもらい、需要を拡大するマーケティング戦略。“バイラル”とは“感染”という意味から名付けられました。

一般名:エノキサパリンナトリウム
製品名:クレキサン皮下注キット2000IU
血液凝固阻止剤/低分子ヘパリン製剤
サノフィ・アベンティス

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