タミフル/世界初、抗インフルエンザウイルス経口薬

▼タミフルとは?

「タミフル」は、ノイラミニダーゼ阻害剤と呼ばれるインフルエンザ・ウイルスに直接作用する世界初の経口薬(飲み薬)です(「ラピアクタ」や「リレンザ」と作用機序は同じです)。

A型・B型インフルエンザウイルス感染症が適応で(C型には効果はありません)、2009年に流行した新型インフルエンザ“A/H1N1”にも効果を発揮します。インフルエンザ感染の初期段階に使用することで、その後の症状の軽減と、回復期間が1~2日早くなるとされています。主に治療に用いますが、高齢者にはインフルエンザの予防薬としても処方されています。

▼タミフルの特徴

【1】 ウイルスに直接作用する世界初の飲み薬
【2】 吸入が上手くできない子供にも、服用しやすい(ドライシロップ)
【3】 豚由来の新型インフルエンザ(A/H1N1)にも有効

「タミフル」は、インフルエンザ・ウイルスに直接作用する世界初の経口剤です。子供でも飲みやすいドライシロップも用意されています(同時期発売の類似薬の「リレンザ」は吸入式なので、吸入が上手にできないちいさなお子様には使いにくいと言われています)。服薬のしやすさからか、2001年の発売当初からインフルエンザ治療の代表的な薬となりました。

▼タミフルの注意点

「タミフル」が原因なのか、たしかなことは不明ですが、十代の若者を中心に“異常行動(突然走り出す、窓から飛び降りる)”による重大な事故事例が社会問題となりました。症例数が少なく、決定的な根拠はないものの、厚労省の調査において、タミフル服用時の異常行動が他の薬に較べて、約1.5倍と高い傾向であることが発表されました。若い患者への投与は、引き続き注意が必要です。

▼リレンザ、タミフル、ラピアクタ、イナビルの違い

主なインフルエンザ治療薬としては、リレンザ(吸入)、タミフル(経口)、ラピアクタ(点滴)、イナビル(吸入)などがあります。吸入式、飲み薬、点滴と製品によって、特徴があり、患者に合わせて使い分けられています。

タミフル 飲み薬 1日2回、5日間
ゾフルーザ 飲み薬(従来薬と異なる機序) 1回だけ
リレンザ 吸入式 1日2回、5日間
イナビル 吸入式 1回だけ
ラピアクタ 点滴 1回だけ


▼インフルエンザ薬の動向

日本では、インフルエンザウイルス感染症の治療として、「タミフル」(オセルタミビルリン)に代表される“ノイラミニダーゼ阻害薬”が広く処方されています。ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスの複製に欠かせないノイラミニダーゼという酵素を阻害することで、感染細胞内の新たなウイルスが細胞外に遊離するのを阻害し、ウイルスの増殖を抑制します。

ノイラミニダーゼ阻害薬は、2000年頃から、飲み薬の「タミフル」と吸入剤の「リレンザ」(ザナミビル)が使われてきました。2010年には、単回点滴静注で効果を発揮する「ラピアクタ」(ペラミビル)が発売され、十年振りに選択肢が広がりました。

「イナビル」(ラニナミビル)は、既存の3製品に次ぐ第四のノイラミニダーゼ阻害薬です。吸入剤としては、「リレンザ」続く2番目の薬となります。

▼タミフルの副作用

「タミフル」の主な副作用は、吐き気、腹痛、下痢などです。重い副作用はほとんどありません。少ない割合ですが、肝障害や皮膚障害、出血性大腸炎などが報告されています。その他には、肝障害、倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるといった症状があらわれる場合があります。

「タミフル」との因果関係ははっきりしませんが、「タミフル」を服用したインフルエンザ患者において、異常行動などの精神症状、神経症状が報告されています。妄言、唐突に笑う、突然泣き出す、恐怖に怯える、何かに襲われるような危機感を感じて、外に飛び出してしまう、興奮して窓から飛び降りようとする、といった症状です。発熱から二日以内に多いと言われ、発熱初期の段階では特に注意が必要です。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、スノーボード。歯車のような雪の結晶を、インフルエンザ・ウイルスに見立てています。インフルエンザが治って、雪滑りを愉しんでいるというビジュアルです。ちいさな子供がカッコ良く滑っていますが、これは子供でも飲みやすい“ドライシロップ”がある、ということをアピールしています。

一般名:オセルタミビル リン酸塩
製品名:タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%
抗ウイルス剤/抗インフルエンザウイルス薬/ノイラミニダーゼ阻害薬
中外製薬

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