イナビル/4番目のノイラミニダーゼ阻害薬

イナビルは1回完結。
純国産の吸入剤、イナビル登場。1回の投与で、イナビルによる治療は完結です。

▼イナビルとは?

「イナビル」は、インフルエンザウイルスの増殖をおさえる薬です。インフルエンザA型とB型に効果があります(C型には効果はありません)。

「イナビル」の有効成分“ラニナミビル”は、体内に吸入されたあと、加水分解によって活性代謝物へ変換されます。この活性代謝物が、ウイルスの増殖箇所である気道や肺に長時間留まることで、ウイルスの増殖を抑制します。長期間に亘って体内に留まるので、一回の吸入で治療が完結するというのが「イナビル」最大の特徴です。

臨床試験では、成人を対象とした季節性のインフルエンザ感染症に対するオセルタミビルとの二重盲検比較試験で非劣性が確認され、特にウイルス消失率は「タミフル」(オセルタミビルリン)より有意に優れていると報告されています。

「タミフル」(オセルタミビルリン)が、1日2回5日間継続して錠剤を服用する必要があることを考えれば、「イナビル」が一度の吸引(念の為2回吸う)で済むことは大きなメリットです。

▼工夫されているイナビルの吸入器

私も「イナビル」を使用したことがありますが、粉末状の吸入薬で専用の吸入器を用いて口から吸い込むのですが、上手く吸うのはなかなか難しいです。その為、念を入れて2回吸入するように吸入器が工夫されています。

「イナビル」の吸入器には、20mgのラニナミビルがふたつに分かれて10mgずつ充填されています。吸入器の胴体部分をずらし、右側にずれた状態と左側にずれた状態で1回ずつ吸入するという仕組みです。

「イナビル」の吸入操作は若干複雑ですが、基本的に薬剤師や医師の眼の前で行うため、特別に難しいことはありません。一度の吸入で終了するため、薬の飲み忘れや患者の自己判断による服用中止ということがなくなります。

▼インフルエンザ薬の動向

日本では、インフルエンザウイルス感染症の治療として、「タミフル」(オセルタミビルリン)に代表される“ノイラミニダーゼ阻害薬”が広く処方されています。ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスの複製に欠かせないノイラミニダーゼという酵素を阻害することで、感染細胞内の新たなウイルスが細胞外に遊離するのを阻害し、ウイルスの増殖を抑制します。

ノイラミニダーゼ阻害薬は、2000年頃から、飲み薬の「タミフル」と吸入剤の「リレンザ」(ザナミビル)が使われてきました。2010年には、単回点滴静注で効果を発揮する「ラピアクタ」(ペラミビル)が発売され、十年振りに選択肢が広がりました。

「イナビル」(ラニナミビル)は、既存の3製品に次ぐ第四のノイラミニダーゼ阻害薬です。吸入剤としては、「リレンザ」続く2番目の薬となります。

▼イナビルの副作用

「イナビル」は臨床試験において、約10%に何らかの副作用が認められています。主な副作用は、下痢(4.7%)、悪心(0.8%)、ALT上昇(0.8%)、胃腸炎(0.7%)です。

▼吸入薬としての注意

同種の吸入薬「リレンザ」(ザナミビル)で、海外の気管支喘息患者に使用した際に気管支攣縮の報告があるため、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に対して「イナビル」を処方する場合は、注意が必要です。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、シャボン玉のような球体で表現したQOL写真。インフルエンザというよりは、アレルギーの薬のような優しい印象を受けます。あまりシリアスになり過ぎないように、親しみやすい仕上がりになっています。

子供の写真を効果的に使うことで、小児にも使えるということをさりげなくアピールしています(小児を対象とした季節性インフルエンザ感染症に対する「タミフル」との二重盲検比較試験で優越性が確認されています)。

製薬メーカーの仕事は“薬を売って終わり”ではありません。安全性情報や服薬指導の提供など、治療を継続するための環境の整備も重要な仕事です。第一三共は「インフルニュース」という情報サイトを立ち上げ、継続的にインフルエンザの情報を発信することで、「イナビル」のブランド力を高めようとしています。

一般名:ラニナミビル オクタン酸エステル水和物
製品名:イナビル吸入粉末剤20mg
抗ウイルス剤/吸入粉末剤/長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤
第一三共

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