不眠と伴ううつ病気に
私は、デジレルをお奨めします。
現在、うつ病の薬物治療はSSRI等を中心に行われています。うつ病が改善されれば、その症状の一つである不眠も改善されます。それでも不眠が改善されない場合は、抗うつ効果に加えて徐波睡眠増加作用のあるデジレルのような抗うつ剤の追加投与をお奨めします。徐波睡眠が減少し、熟眠障害で悩むうつ病患者も多いからです。(東京女子医科大学 医学部精神医学教室 主任教授 石郷岡 純先生)
▼デジレルとは?
「デジレル」は、うつ病・うつ状態の治療薬です。精神賦活(精神の抑制状態を改善させる)作用に加え、抗不安作用も持ち合わせています。つまり、憂鬱な気持ちを緩和し、生きる意欲を高めるという薬です。不安感を伴う比較的症状の軽いうつ状態に適しています。
また主な副作用である“深い眠り”を逆手に取って、不眠を伴ううつ病に向いているとされています(徐波睡眠増加作用)。三環系、四環系抗うつ剤で多くみられた副作用(口渇や便秘)はかなり軽減されています。
うつ病の原因は、脳内の神経伝達系(セロトニン、ノルアドレナリン系)が大きく関わっていると言われています。そのため抗うつ剤は、作用する神経伝達系によって、三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAと呼ばれる5つの種類に大きく分類されます(発売された順番は、古いものから【三環系→四環系→SSRI→SNRI→NaSSA」】)。
1991年に発売された「デジレル」は、三環系や四環系の抗うつ剤に属さない“鎮静系”と呼ばれる抗うつ剤として登場しました。種類としては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に近いタイプの薬です。
▼デジレルの特徴
・抗うつ効果は弱め
・不眠症を伴ううつ病・うつ状態に効果的
・副作用は比較的少ない
「デジレル」は、抗うつ効果はマイルドなものの、眠りを深くする作用(徐波睡眠増加作用)に優れているので、不眠症を伴ううつ病患者に重宝されています。後年、SSRI、SNRI、NaSSAといった選択性の高い抗うつ剤が登場するまでは頻繁に使用されていました。
最近の抗うつ剤は、SSRI、SNRI、NaSSAなどの新しいタイプの薬が主流となっており、「デジレル」は抗うつ剤というよりは、睡眠薬としての役割が期待されて使われることが多くなっています。
▼系統別の主な抗うつ剤
三環系 | アモキサン、ノリトレン、トリプタノール、アナフラニール、アンプリット |
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四環系 | ルジオミール、テシプール、テトラミド |
SSRI | デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ |
SNRI | トレドミン、サインバルタ、イフェクサー |
NaSSA | リフレックス、レメロン |
※どんな薬でもそうですが、必ずしも新しい抗うつ剤の方が効くというわけではありません。特にうつ病は、薬との相性に個人差が大きいと言われています。
▼デジレルの副作用
「デジレル」の主な副作用は、口渇、眠気、めまい、立ちくらみ、便秘などです。その他には、手の震え、かすみ目、尿が出にくい、動悸などが報告されています。
主な副作用 | 口渇、吐き気、食欲不振、便秘、眠気、倦怠感、めまい、ふらつき、立ちくらみ、目のかすみ、尿が出にくい |
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その他の副作用 | 目のかすみ、尿が出にくい、低血圧、動機、頻脈、不整脈、手の震え、発疹、かゆみ |
深刻な副作用 | 悪性症候群、セロトニン症候群、重い不整脈、せん妄、陰茎・陰核の持続性勃起、麻痺性イレウス、血液成分異常 |
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、畑道を散歩する医師と患者。青空と緑を使った気持ちの良い色調で、前向きな勇気を与えています。うつ病で悩んでいる患者を応援するような雰囲気に仕上がっています。
副作用の“深い眠り”を逆手に取った「不眠を伴ううつ病にお奨めです」という新しい視点を加えることで、ターゲットの好奇心を刺激しています。
うつ病の薬の広告は、ひと昔前までは深刻で暗〜いものが多かったのですが、薬自体がマイルドになっていくに連れ、ビジュアルもそれに合わせて明るくなってきました。
一般名:トラゾドン塩酸塩
製品名:デジレル錠25,50
神経系用剤/抗うつ剤
ファイザー
1991年発売