ガーダシル/世界シェア80%のHPVワクチン

日本の女性へ、ひとつ先の、広がる未来を。

▼医薬品の広告計画

承認前なので製品名が出ていませんが、子宮頸癌予防ワクチンの「ガーダシル」のティザー広告です。いわゆる予告編です。

「ティザー効果」というのは、映画のプロモーションなどで頻繁に使われている心理学の手法で、対象に少しずつ接することでいつの間にか親しくなる、という心理状態のことです。「ガーダシル」のビジュアルもそういった効果を狙っています。

通常、医薬広告の世界では【ティザー広告(製品名なし】」→【発売準備中(薬価未収載)】→【新発売(薬価収載)】→【投薬期間制限解除】→【記事広告など】→【1周年】→【規格追加、適応追加など】→…という流れが一般的です。なぜかというと、広告計画を立案するのには年間の総予算があり、新製品の上市の場合は、出稿時期など一年間の流れがあらかじめ決まっているからです。

効果的な広告効果を得るためには、媒体(専門誌や学会誌、webやダイレクトメールなど)のメディアミックスを考慮しながら、出稿時期や露出度、コストを調整していきます。

▼ガーダシルとは?

「ガーダシル」は、HPV(ヒトパピローマウイルス)6、11、16および18型の感染に起因する以下の疾患の予防です。

・子宮頸癌、子宮頸部上皮内腫瘍、上皮内腺癌
・外陰上皮内腫瘍、腟上皮内腫瘍
・尖圭コンジローマ

「ガーダシル」は、世界で約80%のシェアを持っているHPVワクチンです。競合品に「サーバリックス」が存在します。子宮頸癌の原因であるHPV16型、HPV18型の感染を予防します。また、HPVが関与する尖圭コンジローマや肛門癌、膣癌、外陰部癌なども予防することが出来るため、国によっては男性への投与が認められています。

▼ガーダシルの作用機序

「ガーダシル」は、遺伝子組み換え技術によって創られた酵母を基に設計されています。HPV(ヒトパピローマウイルス)のウイルス粒子に酷似したタンパク質ですが、ウイルス由来のDNAを含まないため、細胞への感染能力と増殖能力はありません。その為、「ガーダシル」自体ではHPVに関連した病気の原因にはなりません。

▼子宮頸がんとは?

子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできる癌で、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症する病気です。子宮頸がんは、発症初期は自覚症状をほとんど感じないため、発見が遅れてしまいがちな病気です。がんが進行すると不正出血や性交時の出血が見られるようになります。

癌の進行が手遅れになると、手術で子宮を全摘出する場合もあり、妊娠・出産の可能性を失うことになり、女性にとって精神的にも肉体的にも大きな負担となります。

癌が転移しているケースでは、子宮だけではなく、周囲の卵巣やリンパ節などまわりの臓器もいっしょに摘出しなければならず、様々な後遺症を残すこともあります。

子宮頸がんは、女性にとっては乳がんに次いで多い癌で、特に妊娠・出産年代の20代~30代の女性に多く見られる病気です。国内では、毎年約1万5千人が発生し、約3,500人が亡くなっています。

▼サーバリックスとガーダシルの違い

サーバリックス HPV16型18型(高リスク型) 【効能効果】子宮頸がん(扁平上皮細胞がん、腺がん)、その前駆病変(子宮頚部上皮内腫瘍2,3)
ガーダシル HPV16型18型(高リスク型)、HPV6型11型(低リスク型) 【効能効果】子宮頸がん(扁平上皮細胞がん、腺がん)、その前駆病変(子宮頚部上皮内腫瘍1,2,3、上皮内腺がん)、外陰上皮内腫瘍1,2,3、膣上皮内腫瘍1,2,3、尖圭コンジローマ

子宮頸がんワクチンは「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類から、希望のワクチンを選択できます。どちらも公費で接種できますが、どちらかのワクチンを接種すると、途中から別のワクチンへ変更する事はできません。

▼副反応の問題

2016年、「ガーダシル」や「サーバリックス」などの子宮頸がんワクチンの接種により、全身の痛みや記憶障害などの健康被害を受けたとして、全国の女性が国と製薬会社を相手に集団訴訟を起こし社会問題となりました。

厚生労働省は、2013年に小学6年生〜高校1年生を対象に予防接種法に基づく定期接種としましたが、体調不良の報告が相次いだため、2013年6月に積極的勧奨の中止を発表しました。厚生労働省は「因果関係は否定できない」としていますが、詳細な原因は今も分からないままです。

一方で世界保健機関(WHO)や関連学会はワクチン接種を強く推奨。「子宮頸がんワクチンを導入したオーストラリアや米国などの海外では、子宮頸がんの前段階の発生が約半分に減っており、有効性は明らか」と再開を求める声も高まっています。

ワクチンの接種と副反応被害の因果関係を巡っては、国と被害を訴えている原告側で真っ向から対立しており、現在も法廷で争われています。


▼副反応とは?

副反応(ふくはんのう)とは、ワクチン接種に伴う免疫の付与以外の反応のことです。一般的な治療薬の副作用とは異なり、ワクチンの場合は投与した物質の化学的作用を期待しているわけではなく、投与した外来物質に対する生体反応(免疫)を期待して投与するので“副反応”と呼びます。

▼ノーベル賞受賞の本庶教授、子宮頸がんワクチン問題に警鐘

2018年ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授は、ノーベル賞後の記者会見で子宮頸がんワクチンの問題についてコメントしました。

本庶氏は、「子宮頸がんワクチンの副反応というのは一切証明されていない。様々な調査をやっているが、因果関係があるという結果は得られていない。厚労省からの【積極的接種】勧奨から外されて以来、接種率は70%から1%以下になってしまった。世界で日本だけ若い女性の子宮頸がんの罹患率が増えている」と警鐘を鳴らしました。

本庶氏によれば、「科学では『ある』ものは証明できるが、『ない』ということは証明できない。『証明できない』ということは、科学的見地では、子宮頸がんワクチンが危険だとは言えないという意味だ」と述べ、予防医療の重要性を訴えました。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、緑のリボン。癌の予防ということで、乳がんのピンクリボンの代わりに“グリーンリボン”がイメージアイテムとなっています。

製品名:ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ
一般名:ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
ウイルスワクチン類/4価HPVワクチン/薬価基準:適用外
組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
MSD

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