ダブルチェーンドメインによる優れた降圧
▼オルメテックとは?
「オルメテック」は、ARBと呼ばれる降圧剤です(国内4番目のARB)。血圧を上げる「アンジオテンシンII(ARB)」の抑制作用があります。血管が拡がり、心臓や腎臓の負担を軽くする効果も期待できます。高血圧の治療に使用されていますが、心不全や腎臓の病気にも有効と考えられています。いわゆるブロックバスターと呼ばれる薬で、たくさん売れている大型製品です。
ARBが登場するまで頻繁に使われていた“ACE阻害剤”に多い「咳」の副作用が改善されています。そのほかの副作用も比較的少なく、長期的な維持療法に適しています。効果に持続性があるので、基本的に1日1回の服用で済む薬です。また、少量の利尿薬との併用で降圧効果が高まると言われています。ARBは降圧剤の中でも人気の高い、主流の薬です。
▼オルメテックの匂い
ちなみに、オルメテックの錠剤は、わずかにヨーグルトのような香りを感じることがあります。これは、オルメテックに含まれる“ジアセチル”と呼ばれる物質の匂いの成分がヨーグルトと非常に似た構造だからです。ジアセチルは、ビールやワインなどにも含まれる安全な物質で、有効性や品質には全く問題ありません。
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、CGで作られたブルーの星。すっかりイメージが浸透していると思います。コンピュータ・グラフィックの技術が年々進化していることから、オルメテックの星も年々豪華でカッコ良くなっています。チェーンの質感もリアリティがありますね。
▼カシオペアとWチェーン
シンボルの星は星座の「カシオペア」をイメージしています。よく見ると、背景にカシオペア座が確認できますね。オルメサルタンの特徴が“ダブルチェーンドメイン”ということで、「W」の形をしている星座のカシオペアをシンボルとして使っているわけです。こういう風に広告に隠された意味を見つけると、絵画の秘密を解いたみたいで楽しくなります。
オルメサルタンは化学構造上、側鎖にカルボキシル基とヒドロキシル基を有しています。この2つのチェーン(Wチェーン)が強力に受容体に結合して、降圧効果をもたらすと考えられています。
▼オルメテック・ファミリーとARB市場
オルメテックファミリーとは、「オルメテック」の単剤と配合剤(レザルタス)を含めた総称です。ARBの中では、アジルバファミリー、ミカルディスファミリーに次いで国内で三番目の売上高をあげています。オルメテックファミリーの売上高は、2015年度が921億円、2016年度が869億円、2017年度が614億円と年々落ちていますが、これはARB市場全体に言えることです。ARB市場が完全に冷え切る前に、各社とも次の“ブロックバスター”の発掘に必死となっています。主戦場は高血圧領域から糖尿病領域、特にDPP-4阻害薬へ移りつつあるようです。
▼主なARB系降圧薬
・ニューロタン(一般名:ロサルタン):世界初のARB。尿酸低下作用あり
・ディオバン(一般名:バルサルタン):ARBの中で薬価が一番安い
・オルメテック(一般名:オルメサルタン):心臓腎臓など臓器保護作用あり。ARBのエース的存在
・ミカルディス(一般名:テルミサルタン):血中半減期がARB最長。24時間持続的に効く
・アジルバ(一般名:アジルサルタン):2013年承認最新ARB。降圧効果最強
一般名:オルメサルタン メドキソミル
製品名:オルメテック錠5mg,10mg,20mg,40mg、OD錠10mg,20mg,40mg
降圧剤/A-II拮抗剤(ARB)/高親和性 AT1レセプターブロッカー
第一三共製薬