ゼチーア/小腸吸収阻害型の高脂血症治療薬

いま、高コレステロール血症治療に
“吸収阻害”という選択

▼ゼチーアとは?

「ゼチーア」は、小腸吸収型に分類される脂質異常症(高脂血症)の薬です。食べ物に含まれるコレステロールを吸収されないようにする薬です。

日常的に血液中のコレステロールを低下させておけば、心筋梗塞などの心血管系疾患のリスクを軽減することが可能です。高コレステロール血症とは、血液中のコレステロール過多の状態のことです。自覚症状がない場合が多く、気がつかないうちに動脈硬化が進むと、狭心症、心筋梗塞、脳卒中へと繋がっていく病気です。

食べ物に含まれるコレステロールは、NPC1L1というタンパク質を使って小腸で体内に吸収されます。「ゼチーア」は、このNPC1L1を動かなくする効果があり、結果としてコレステロール値が下がるというわけです。高脂血症の治療薬としては「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)」が有名ですが、ゼチーアはスタチン系とは全く異なる作用機序でコレステロール値を下げます。スタチン系と併用することでより高い改善効果を得ることも可能です。

コレステロールは、【食べ物として身体に入ってくるもの】【肝臓で合成されるもの】の2種類があり、どちらも主に小腸で吸収されるという性質があります。「ゼチーア」は、小腸でコレステロールの吸収を抑える薬です。

コレステロールは、大きく2種類に分類されます。健康診断で耳にする機会も多いと思いますが、悪玉とされるLDLコレステロール、もう一つは善玉と呼ばれるHDLコレステロールです。LDLはコレステロールを肝臓から全身へ運ぶ役割を担っているのですが、多すぎると血管内壁に入り、動脈硬化を進行させます。善玉と呼ばれるHDLは、全身の組織から余計なコレステロールを回収し、肝臓へ戻してくれます。HDLコレステロールが少なすぎるのも良くないので、脂質異常症(高脂血症)の判定基準とされています。

コレステロール吸収と脳・心血管疾患の関連性を検討したDEBATE研究において、LDLコレステロール値が同じレベルであっても、吸収亢進群は非亢進群に較べて、脳・心血管疾患のリスクが高いということが明らかになっています。

そのため、脳・心血管疾患予防の観点から脂質異常症治療を行うにあたっては、吸収阻害を考慮して臨むことが求められています。コレステロール吸収を阻害する「ゼチーア」は、スタチン系との併用療法によって、より効率的な脂質管理が期待されています。

▼主な高脂血症治療薬

フィブラート系 中性脂肪を下げる効果が強いので、中性脂肪が高い患者に使用されることが多い。善玉(HDL)コレステロールを上げる効果もあり。
スタチン系 悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果が強い。善玉コレステロールを上げる効果は弱い。
レンジ系 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。
プロブコール 悪玉コレステロールを下げる効果あり。
ニコチン酸 善玉コレステロールを上げる効果あり。悪玉コレステロールを下げる効果は弱い。
小腸吸収型 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。
PCSK9 悪玉コレステロールを強力に下げる。重度の患者に使用。注射剤。

▼ゼチーア+リピトールの配合錠(追記:2018年4月)

「ゼチーア」と「リピトール」の配合剤「アトーゼット配合錠」(一般名:エゼチミブ/アトルバスタチン)が、2018年4月23日にバイエル薬品とMSDから発売となりました。

「アトーゼット配合錠」の適応は【高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症】。薬価はLD、HDともに177.00円となりました。発売3年目のピーク時での予測投与患者数は64万人で、販売予測は277億円を見込んでいます。なお「ゼチーア」単独の売上高は約573億円(2018年)。

また、中医協は「ゼチーア」と「リピトール」の配合錠「アトーゼット配合錠」を“14日間の処方日数制限の対象外”とすることを決定しています。「ゼチーア」と「リピトール」のそれぞれの使用実績に加えて、両剤の併用でも1年以上の臨床実績データがあるためです。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、地球(日本)に降り立とうとしている未確認飛行物体。新しい高脂血症治療薬が日本上陸、というイメージでしょうか。SF映画のような壮大なスケールを感じます。


一般名:エゼチミブ
製品名:ゼチーア錠10mg
高脂血症用剤/小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
バイエル
MSD

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