アリセプト/世界初の認知症治療薬

今日も、その人の気持で、認知症を考える。
あなたは、いつまでも、あなたなのです。

▼アリセプトとは?

「アリセプト」は、認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症)を軽減する薬です。アルツハイマー病への有効性が認められた日本発で世界初の抗認知症薬です。

ジェネリック医薬品(後発品)が発売されたこともあり、近年の売上は落ちています(2015年:405億円→2016年:295億円)。2011年に発売された新薬の「メマリー」(2016年売上:469億円)に抗認知症薬売上高トップの座を譲って久しいですが、ジェネリック品(ドネペジル)も含めて、広く処方されている薬です。2014年には、アルツハイマーとは別の型の“レビー小体型認知症”が適応追加されました。

「アリセプト」は、認知症の進行具合が“中程度”以下なら、有効性が20~30%あると言われています。認知症の症状を数ヶ月から約1年前の状態まで回復できることもあります。また、中程度以上の高度アルツハイマー病でも、一定の効果が期待できます。

アルツハイマー型認知症を完治させる薬は、未だに開発出来ていません。ですから、「アリセプト」も特効薬ではなく、症状を軽減する対症療法薬という位置づけです。何らかの原因で服用をやめることになれば、以前と同じ状態まで病状が戻ってしまう可能性もあります。

▼アリセプトの作用機序

アルツハイマー病の基本的な障害は、脳内の神経伝達物質である“アセチルコリン”の減少にあると言われています。通常、アセチルコリンは、セチルコリンエステラーゼという酵素によって分解されてしまいます。「アリセプト」は、この酵素を選択的に阻害して、血中のアセチルコリン濃度を高め、結果的に脳内の神経伝達を活発にさせることによって、記憶障害や認知機能障害の症状を緩和させます。

▼コリン仮説とは?

1982年、アルツハイマー型認知症患者の脳内では、アセチルコリンが著しく減少しているという論文が発表されました。アセチルコリンの減少がアルツハイマー病の本質的な原因だ、という説が“コリン仮説”です。「アリセプト」は、この“コリン仮説”を基に日本で開発された世界初のアルツハイマー型認知症治療薬です。

▼豊富なラインアップ

・アリセプト錠3mg,5mg,10mg
・アリセプトD錠3mg,5mg,10mg(OD錠)
・アリセプト細粒0.5%
・アリセプトドライシロップ1%
・アリセプト内服ゼリー3mg,5mg,10mg

「アリセプト」は、認知症という特殊な病状を考慮して、様々な剤形が発売されています。これだけのラインアップが揃っている薬も珍しいと思います。普通の錠剤と水なしでも飲める口腔内崩壊錠(OD錠)、高齢者でも飲み込みやすい工夫がされたゼリータイプやドライシロップ。なお他社からは、経皮吸収型(テープ剤)のアルツハイマー型認知症治療薬が発売されています。

▼アリセプトの副作用

主な副作用は、消化器症状です。吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛などが報告されています。特に初めて服用する際や薬の量を増やす時に副作用が出やすいので、注意が必要です。

重い副作用はまずありませんが、心臓の脈が異常に遅くなったり、胃に潰瘍ができる可能性がなくはありません。心臓病や胃潰瘍を併発または既往のある人など要注意です。

滅多に起こらないとされていますが、注意したいのは筋肉が障害を受ける“横紋筋融解症”という副作用です。手足のしびれや痙攣、力が入らない、運動していないのに筋肉痛、歩行が困難、赤褐色の尿が出るといった徴候が見られたら、医師に相談が必要です。認知症の方は自分では判断出来ない場合もあるので、家族や周囲のサポートが不可欠となります。

▼メマリーとの違い

1999年に発売された「アリセプト」はコリンエステラーゼ阻害薬という種類の製剤で、軽度の認知症から使えます。2011年に発売された「メマリー」はNMDA受容体拮抗薬という製剤で、中等度〜高度の患者に使用されています。

「アリセプト」は“コリン仮説”を基に開発された薬で、「メマリー」は“グルタミン酸仮説”を基に開発された薬で、作用機序が異なります。

「アリセプト」の付加効果としては、認知症に伴って起こりやすい不安・抑うつ状態を和らげるという特徴があります。「メマリー」の付加効果としては、認知症に伴って起こりやすい興奮・攻撃性を和らげるという特徴があります。

▼認知症治療のこれから

原因がはっきりとは分からず、完治が難しいとされるため、最近では認知症に罹る前の早期発見や認知症予防の研究が非常に活発です。

認知症は進行型の病気ですが、認知症が進行したとしても、過ごし方次第で自宅で生活する事はできますし、工夫すれば旅行へ行くことも出来るかもしれません。薬での治療以外に、周囲の協力やアフターケアの方法によって、QOLを向上出来る疾患だと言われています。

認知症には根治をゴールとした治療法がないことから、診断後の患者への伝え方も難しい問題となっています。最近では、医師が患者会のようなサロンを勧めたり(参加者の方が、不参加者よりも要介護認定率が低いという研究論文があり)、スマートフォンを使った“認知症患者の見守り機器”の紹介といった“社会的処方箋”を出すことで、治療のゴールを改めて考え直す活動が見られています。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、高齢者を描いた朴訥なタッチの線画。ビジュアルメインというよりは、キャッチコピーを含めて全体で勝負しているように感じます。余白の使い方が巧みで、見つめ合う高齢者が印象に残るデザインに仕上がっています。

超高齢化社会を迎えるいま、認知症になったらどう生きるか、家族はどうするのかという視点で、私たちに考える機会を提示しています。抗認知症薬のキービジュアルを作るのは、かなり難しいと思いますが、ひとつの方向性を示す秀作です。


一般名:ドネペジル塩酸塩
製品名:アリセプト錠3mg,5mg,10mg、D錠3mg,5mg,10mg、細粒0.5%、ドライシロップ1%、内服ゼリー3mg,5mg,10mg
抗認知症薬/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬/アルツハイマー型認知症治療剤/レビー小体型認知症治療剤
ファイザー
エーザイ

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