ジレニア/国内初、多発性硬化症の経口薬

▼ジレニアとは?

「ジレニア」は、注射剤が主だった多発性硬化症治療薬の中で、国内で初めての飲み薬(経口薬)です。多発性硬化症という病気は、脳や脊髄の神経細胞が破壊され、神経の伝達が上手くいかなくなる病気です。自己免疫疾患のひとつと考えられていますが、まだ詳しい原因が良く解っていません。日本では特定疾患に指定されている難病です。

「ジレニア」の有効成分“フィンゴリモド(fingolimod)”は、京都大学によって、冬虫夏草(蛾の仲間の幼虫に寄生するキノコ)の成分を基に発見されました。「ジレニア」は既存の治療薬とは異なる新しい作用機序で、自己反応性リンパ球の中枢神経系への浸潤を阻止し、その結果として、多発性硬化症における神経炎症を抑制します。

「ジレニア」は、米国では成人の再発性多発性硬化症(RMS)の第一選択薬として承認されています。日本国内では、臨床試験と市販後調査を合わせて、約15万5000人の患者に用いられている薬です。

多発性硬化症治療薬の市場規模は約2兆円と言われ、患者は世界中に約230万人いると試算されています。「ジレニア」は、発売後の5年間で年間3000億円を売り上げるグローバル製品へと成長しています。

2016年、ノバルティスは海外で実施されたACROSS試験において「ジレニア」を8〜10年継続投与した患者の約60%が身体障害の進行が減少したと発表しました。長期の治療持続性の有益性を示すひとつの結果と言えます。

▼多発性硬化症とは?

多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の炎症性脱髄性障害を主な症状とする自己免疫疾患です。若い成人に多く発生する病気です。具体的な症状として、手や足のしびれや硬直、排尿や排便障害、視力の低下、歩行困難などを生じます。そして多くの場合、再発と寛解を繰り返す再発性・多発性の病気です。

▼多発性硬化症のタイプ

多発性硬化症(MS)にはいくつかのタイプ(病型分類)が存在します。

再発寛解型 急速または徐々に神経症候が出現し、再発と寛解を繰り返すタイプ。病状の持続進行はない。
二次性進行型 再発寛解型の後に、長期にわたり持続的進行を示すタイプ。
一次性進行型/th>

初期段階から持続進行し、一過性の軽度改善や急性増悪が重なるタイプ。

▼多発性硬化症の治療法

治療法としては、急性期にステロイド薬などが使用されます。対症療法としては痙縮の改善にはバクロフェン、排尿障害には抗コリン薬などが使用されています。

多発性硬化症の再発予防や身体的障害の進行予防には、インターフェロン注射製剤やナタリズマブ注射製剤、グラチラマー酢酸塩、そして「ジレニア」(内服製剤フィンゴリモド塩酸塩)が使用されています。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、買い物帰りの笑顔の女性。手前でOKサインを出しているのはパートナーでしょうか。OKの輪がジレニアのカプセルで繋がれています。早めの予防で、寛解後の日常を表現しています。

何気ない日常風景ですが、背景の緑や石畳が美しく、気持ちよくまとまっています。特に“OKサイン”の手のアップがアイキャッチとして、視線を集めることに成功しています。強烈なインパクトはありませんが、伝えたいことをしっかりと伝達しながら印象も残す、優等生的な広告です。

一般名:フィンゴリモド塩酸塩
製品名:ジレニアカプセル0.5mg
多発性硬化症治療剤/免疫調整剤
ノバルティスファーマ

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