ティーエスワン/世界初、抗がん剤のOD錠

▼ティーエスワンとは?

「ティーエスワン」は、テガフール、ギメラシル、オテラシルの3成分から成る配合薬の抗がん剤です。胃がん、直腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、膵がん、胆道がん、再発の乳がんなどに処方されますが、特に消化器系の癌(胃がん等)に高い有効性を示します。1999年に国内で承認を受け、現在では胃がんの標準治療薬となっています。年間売上が約400億円に上る大型製品です。

「ティーエスワン」は、細胞の遺伝情報を持つ核酸の合成を妨げて、がん細胞増殖を抑えます。胃がんや大腸がん(結腸・直腸がん)など消化器系の癌に広く用いられ、乳癌や肺癌などに対する適応もあります。また、手術後の補助療法として、再発予防として使われたりもしています。

通常28日間(4週間)毎日続けて服用し、その後14日間(2週間)休薬します。患者の状態や副作用の状況を考慮しながら、このサイクルを繰り返します。

▼世界初、抗がん剤の口腔内崩壊錠

「ティーエスワン」は、世界初となる抗がん剤の口腔内崩壊錠(OD錠)です。水なしでも口の中の唾液だけで薬が崩壊するので、カプセルの服用が困難、水分摂取制限があるといった、様々な患者の要望に応えるために開発されました。

抗がん剤成分を確実に内包する有核型口腔内崩壊錠という構造で、抗がん剤成分の飛散防止と速やかな崩壊性を両立した剤形となっています。このような特殊な構造は、先発品メーカーの後発品(ジェネリック)対策となりうる戦略です。

また、癌の治療は休薬期間を挟んで継続して行うので、患者の状態に応じて、OD錠、カプセル、顆粒と3つの剤形選択が可能となることは、治療の継続性が向上し、より質の高い治療へ結びつくきっかけとなりえます。

▼後出しAGで市場奪還(追記:2018年8月)

「ティーエスワン」の後発品(ジェネリック)は、2013年6月に既に発売されていますが、それから4年後の2017年6月に「ティーエスワン」のオーソライズド・ジェネリック(AG)が発売となりました。

そもそも癌領域では、添加物や製造法の違うジェネリック医薬品への切り替えは進みにくいと言われています。「ティーエスワン」の後発品も、品質の良い原薬の調達や成分を均一に混合する難しさといった製造上の問題があり、AG発売への期待が高まっていました。

大鵬薬品の公認ジェネリックである「ティーエスワンAG」は、後発品登場から4年後と出遅れたのにもかかわらず、発売以降急激に売上を伸ばし、後発品内でシェア80%を達成するまでになりました。「ティーエスワンAG」の成功で、“後出しAG”が市場で巻き返しを図る一手として、今後もさまざまな領域へ拡がっていきそうです。

▼飲みあわせに注意する薬

フッ化ピリミジン系抗がん剤(5-FU、フルツロン、ゼローダ、フトラフールなど)、フッ化ピリミジン系抗真菌剤(アンコチル)

「ティーエスワン」には、絶対に同時に使用してはいけない薬や注射液があります(併用禁忌薬)。併用した場合、体内の薬の濃度(血中濃度)が過剰になり、口内炎、下痢、白血球減少などの副作用が強く発現することがあります。

ワルファリン(抗血液凝固薬) 皮下出血、歯肉出血など、出血しやすくなる
フェニトイン(てんかん薬) 吐き気、眼振、運動障害などが発現するおそれ
ロンサーフ(抗がん剤) 重篤な骨髄抑制の副作用が発現するおそれ

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、世界初の抗がん剤での口腔内崩壊錠ということで、層になっている錠剤の絵柄です。これは、ティーエスワンOD錠の特徴のひとつである“有核型口腔内崩壊錠”という構造を表しています。

錠剤からは、光の蝶が飛び立っています。蝶は「腸」の比喩でしょうか。PTPシートが個性的なデザインですね。これなら取り違えの心配がなさそうです。

▼有核型口腔内崩壊錠とは?
十分な強度を保ちながら崩壊性のある外殻により、抗がん剤成分を核に内包することで、抗がん剤成分の飛散防止と口の中での速やかな崩壊性を両立させた錠剤

一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
製品名:ティーエスワン配合カプセルT20,25、OD錠T20,25、顆粒T20,25
代謝拮抗剤/配合剤/抗がん剤
大鵬薬品

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