新たなる“N”の選択
▼アテレックとは?
「アテレック」は、交感神経活性を抑制するCa拮抗剤で高血圧の薬です。第2世代の持続性カルシウム拮抗薬のシルニジピン(アテレック)は広く使われている薬で、血管の筋肉をゆるめて血管を広げる作用があります。Ca拮抗薬は、作用するチャネルが複数(L,N,T型)あるのですが、“L型にもN型にも作用する”というのが「アテレック」の特徴です。輸出細動脈を拡張することによる腎臓の保護作用と、心拍数を抑える効果が注目されています。
「アテレック」の効果については、現在も研究が進められており、インスリン抵抗性の改善、尿酸低下作用、尿中アルブミン減少作用など多くの“付加的効果”が報告されています。降圧効果という点では、次世代の降圧薬にやや劣りますが、降圧以外の付加価値が加わることで、活躍の場が広がっているCa拮抗剤のひとつです。
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▼カルシウム拮抗薬とは
Ca拮抗薬は、そもそも狭心症の治療薬として開発されたものでした(心臓に繋がる太い血管“冠血管”の収縮を防ぐ作用)が、身体全体の血管の収縮を防ぐ効果もあることが判ったため、高血圧の治療薬としても使われるようになりました。
Ca拮抗薬の“拮抗”の意味は、Caイオンという物質の働きを邪魔して血管が細くなる動きを邪魔するということです。この働きによって、Caの働きが弱まり、血管の収縮が抑えられて、結果的に血圧が下がることになります。
Ca拮抗薬には“ジヒドロピリジン(DHP)系”と“ベンゾチアゼピン(BTZ)系”の2種類が存在します。「アテレック」は、DHP系のCa拮抗薬です。DHP系のCa拮抗薬は、血管を拡げる効果が高く、高血圧の薬の中で一番降圧効果が高いと言われています。臓器血流保持効果もあり、心臓に病気を抱える人や高齢の患者でも服用が可能です。BTZ系は、冠動脈の拡張作用が強く,血圧をあまり下げないので、正常血圧の狭心症によく用いられます。冠血管だけでなく、心臓の筋肉にも作用して洞性興奮や房室伝導を抑制するので、高血圧で頻脈傾向の患者に効果的と言われています。なお、心臓に障害のある患者には、BTZ系は使用できません。
▼主なカルシウム拮抗薬
系統 | 降圧力 | 心臓の病 | 作用部位 | その他 |
---|---|---|---|---|
DHP系 | 最も高い | 使用可 | N(Nifedipin) | 副作用、相互作用少ない |
BTZ系 | 穏やか | 使用不可 | D(Diltiazem) | 頻脈の患者に効果的 |
▼配合剤も登場
高血圧症は世界で最も患者数が多い疾患であり、国内では約4300万人いると言われています。降圧剤の売上げは、全医薬品の中でもトップクラスです。高血圧治療のガイドラインでは食生活の改善とともに薬物治療がメインとなっており、最近は作用機序の異なる薬剤を組み合わせた(高血圧の原因が複数存在するので)併用療法が推奨されていて、年々使用頻度が高まっています。
「アテレック」の配合剤である「アテディオ」は、2つの有効成分を合わせた高血圧症の合剤です。1つは、ARBことアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のバルサルタン(ディオバン)。“アンジオテンシンⅡ”という物質をおさえることにより、血管を広げ血圧を下げます。2つめは、持続性カルシウム拮抗薬のシルニジピン(アテレック)です。ふたつとも広く使われている薬です。血管の筋肉をゆるめて血管を広げる作用があります。また、心臓の収縮をおさえ心臓を休ませます。安全性が高く、副作用も少ないので、高齢者へも使いやすい薬剤です。
▼広告のキービジュアル
今回は20mg錠の新発売のお報せ広告です。高血圧症治療では、作用機序が異なる薬を使った併用療法が広く行われており、様々な種類の薬剤を服用していることが多いため、患者の服用錠数が多いという現実があります。20mg錠を新たにラインナップに加えることで、使い勝手を良くして、患者さんのQOL向上へ繋げていく考えです。薬局は在庫が大変になると思いますが・・・・。
広告のキービジュアルは、巨大な「N」のビルが威風堂々とそびえ立っています。忙しく通勤する人々は、日本人の3人に1人が高血圧になっている社会の象徴的イメージでしょうか。
一般名:シルニジピン
製品名:アテレック錠5,10,20
降圧剤/持続性Ca拮抗降圧剤
持田製薬