ビソノテープ/ビソノテープ2mg、新規格発売

ゆるやかに吸収、穏やかに降圧。

▼ビソノテープとは?

「ビソノテープ」は、高血圧症の薬です。降圧剤には珍しい“テープ型”の医薬品です。経皮からゆるやかに有効成分を吸収することで、心臓を休ませて血圧を穏やかに下げる薬です(本態性高血圧症治療薬)。4mgと8mgの2規格があり、通常成人には8mgを1日1回、胸部か上腕部または背中に貼付します。

β遮断薬の貼付薬は、世界でも例がなく、臨床現場でどのように使われているのかよく分かりませんが、「心不全や周術期の心拍数の安定化に使えないか」という意見があるようです。今後の効能追加が期待されます。

▼β遮断薬:ベータブロッカーとは?

β1(ベータ)遮断薬とは、心臓を興奮させる交感神経のβ受容体を遮断する薬剤です。ストレスなどによる交感神経系の興奮は、ノルアドレナリン(神経伝達物質)がβ受容体に結合することによって、心臓や血管へ伝わります。

β遮断薬は、β受容体に結合して、このノルアドレナリンの結合を防ぐことによって心臓の心拍数を減らします。その結果として、血圧が下がるという仕組みです。

β受容体にはβ1、β2、β3の3種類が存在しますが、心臓にはβ1が多く、血管にはβ2が多く存在しています。β遮断薬には、こういった微妙に異なる受容体を選択的に遮断して、効果を高める工夫が施されています。

▼心保護を目的とした降圧薬

β遮断薬(ベータブロッカー)は、長い間高血圧治療の第一選択薬のひとつとして、カルシウム(Ca)拮抗薬やARB、ACE阻害薬、利尿薬と共に活躍してきましたが、2014年からは日本高血圧学会のガイドラインにおいて、第一選択薬から外されています

β遮断薬は高血圧治療の第一選択薬ではなくなりましたが、心不全や頻脈、狭心症、心筋梗塞後の患者にとっては、主要な降圧薬と言えます。現在、β遮断薬は“心保護を目的とした降圧薬”という位置付けとなっています。

▼ビソノテープの副作用

承認時の時点で、副作用が報告されたのは789例中29.5%で、主な副作用は以下のとおりです。

・そう痒感:56例(7.1%)
・皮膚炎:29例(3.7%)
・紅斑:17例(2.2%) ※皮膚表面が発赤する状態

重大な副作用としては、心不全、完全房室ブロック、高度徐脈、洞不全症候群が発現することがあります(頻度不明)。なお、市販直後調査(病院・診療所3,056施設)で報告された副作用は15件で、器官別では心臓障害が11件と最も多く、その主な副作用は徐脈の9件でした。

▼ビソノテープ2mg、新発売(追記:2019年6月)

2019年6月、アステラス製薬は、経皮吸収型・β1遮断剤「ビソノテープ」の新規格「ビソノテープ2mg」を発売しました。

「ビソノテープ」は、もともと2013年に“高血圧の薬”として発売された薬剤で、今回の「ビソノテープ2mg」は【頻脈性心房細動】の専用規格として承認された剤型です(2019年1月、承認取得)。薬価は1枚あたり59.40円(2019年現在)。

▼心房細動とは?

心房細動は、不整脈の一種です。心臓は4つの部屋に分かれています。そのうちの「心房」と呼ばれる上部2つの部屋で生じた異常によって起こる不整脈です。

心房細動が起こると、どきどきしたり胸が苦しくなったり、心臓が痙攣のように不規則に震え、結果として、脈が不規則(速くなったり遅くなったり)になってしまいます。心房細動は高齢になるほど発生率が高くなり、女性よりも男性の割合が多いのが特徴です。国内では約70万人が心房細動を抱えていると推測されています。

心房細動自体が命に関わることはほとんどありませんが、心拍数が高い状態が続くと、心臓の機能が低下し、心不全を引き起こす可能性もあります。また、心房細動が起こると、心房の中の血液の流れるスピードが低下し、血液が上手く流れなくなってしまいます(血液が心房の中で固まりやすく血栓ができやすい状態になる)。

そこで形成された血栓が流れて、脳の血管に達して脳で詰まってしまうと、脳梗塞を引き起こします。ちなみに、脳梗塞の15%が心房細動による血栓が原因と言われています。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、パラグライダーを操ってゆっくりと降下する姿を描いています。パラグライダー(パラシュート)というのは、医薬広告では古くから使い古されているアイテムですが、“テープ剤”の特徴が出ていますし、ゆるやかに下げるという作用機序を上手く説明しています。2014年9月1日より、投薬期間制限が解除されました。

一般名:ビソプロロール
製品名:ビソノテープ4mg,8mg
降圧剤/β遮断剤/経皮吸収型・β1遮断剤/テープ剤
アステラス製薬
2013年9月発売

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