ダクルインザ・スンベプラ/効能効果追加

C型慢性肝炎に待ち望まれた治療

▼ダクルインザ・スンベプラとは?

「ダクルインザ」「スンベプラ」はC型慢性肝炎のジェノタイプ1型を改善する薬です。ダクルインザ(ダクラタスビル)とスンベプラ(アスナプレビル)と併用することで、C型肝炎ウイルスを駆除します。

「ダクルインザ/スンベプラ」はインターフェロン(IFN)の注射が不要で、飲み薬だけでC型慢性肝炎の治療が出来るという“IFNフリー”製剤として、日本で最初に登場した薬です。「ダクルインザ」単独では効果不十分なので、プロテアーゼ阻害薬の「スンベプラ」と必ず併用します。なお、ジェノタイプ2型には適応がありません。

「ダクルインザ/スンベプラ」は、NS3阻害剤とNS5A阻害剤の組み合わせ治療です。従来のインターフェロン3剤治療と同等か、それを超える治癒率が証明されています。耐性変異が起こらなければ90%以上の治癒率と言われていますが、耐性変異があった場合は、治癒率が半減するという弱点があります。

▼ジェノタイプとは?

C型肝炎治療薬には、“ジェノタイプ1型向け”“ジェノタイプ2型向け”が存在します。ジェノタイプというのは“遺伝子型”のことで、ウイルスの遺伝子(塩基配列)による分類のことです。日本人のC型肝炎患者の70%がジェノタイプ1型だと言われています。

▼C型肝炎とインターフェロン療法

日本のC型肝炎患者のほとんどは、C型肝炎ウイルス(HCV)が発見される以前に、輸血や献血での注射針の使い回しで感染したと考えられています。予防接種の注射器の使いまわしは、1948年頃に始まり、1988年まで続いていました。そういった経緯で、50〜80歳代の患者が多いのが特徴です。現在では、日常生活でC型肝炎ウイルスに感染するリスクは、ほとんどないと言われています。

C型肝炎の治療といえば、昔はインターフェロン(IFN)療法しか選択肢がありませんでした。しかし、IFN療法は6〜12ヶ月と治療に時間がかかり、治癒率も低く、過酷な副作用が伴う大変なものでした。IFNフリーの「ダクルインザ/スンベプラ」の発売で、C型肝炎治療の選択肢が拡がりました。

日本国内のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は、190〜230万人と言われています。C型肝炎は、血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染することによって起こる炎症性の病気です。C型肝炎ウイルスに感染した人の約70%が、持続感染に移行して、やがてC型慢性肝炎となります。C型肝炎が慢性化すると、感染に伴う炎症が続くことによって、最終的に肝硬変や肝臓癌へと進展してしまいます。

1992年頃から、インターフェロン療法が承認されて、治療が行われましたが、治療が完了してからもウイルスが陰性のまま潜伏するなど、薬が効果的だった割合はわずか数%という悲惨な状況が続きました。

21世紀に入り、インターフェロン療法と抗ウイルス剤のリバビリンとの併用で著効率が約50%に向上。さらに、インターフェロン療法とプロテアーゼ阻害剤の「ソブリアート」を併用することで、約90%まで向上しました(初回治療患者の場合)。しかし、インターフェロン療法を含む治療法では、副作用が高頻度で出現するため、患者にとっては身体的にも精神的にも重い負担となっていました。

そして2014年以降、「ダクルインザ/スンベプラ」のようなインターフェロン不用の治療効果の高い薬が次々に出現しました。1989年のC型肝炎ウイルス発見から、苦節26年。C型肝炎診療の新時代の到来です。

▼主なインターフェロン・フリー製剤



▼C型肝炎の診断の流れ

C型慢性肝炎の診断は、血液検査によって行われます。肝機能に持続的な異常が認められる場合は、C型慢性肝炎を疑い、HCV抗体検査を行います。HCV抗体検査は各都道府県または市町村が実施しています。C型慢性肝炎の抗ウイルス治療は、国および自治体から医療費の助成を受けることができます。

HCV抗体検査 ウイルス感染の有無を判定
HCV RNA検査 ウイルス感染持続の有無を判定
ウイルス量/遺伝子型測定 治療方針決定のために、ウイルス量とHCV遺伝子型を判定
肝線維化の進展度の判定 病気の進展度の予測と発ガンの可能性評価

▼広告のキービジュアル

キービジュアルは、医師と対面する笑顔の女性。この薬を待ち望んでいた様子を描いています。モノクロの写真が、ドラマティックな効果を生んでいます。



一般名:ダクラタスビル塩酸塩
製品名:ダクルインザ錠60mg
抗ウイルス剤/NS5A阻害剤/HCV NS5A複製複合体阻害剤
ブリストル・マイヤーズ

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