▼新薬への布石
IL4/13抗体「デュピルマブ」/アトピー性皮膚炎
サノフィの企業広告です。アトピー性皮膚炎の新治療薬「デュピルマブ」(IL4/13抗体)発売のための布石として掲載されました。アトピー性皮膚炎についての記事広告がセットでした。
▼アトビー抗体医薬、2018年春発売へ(追記:2018年1月)
サノフィは、国内初のアトピー性皮膚炎(AD)に対する抗体医薬品「デュピクセント皮下注(一般名:デュピルマブ)」(遺伝子組換)を2018年春に発売すると発表しました。
「デュピクセント」は、抗体医薬のため価格が高くなる可能性があり、「最適使用促進ガイドライン」が策定されることになっています。価格を上回る効果が期待できるのかが、成功への鍵となりそうです。
従来のアトピー性皮膚炎(AD)治療は、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などによる治療しかありませんでしたが、中等〜重症の患者には充分な効果が得られない場合もあり、製薬企業は抗体医薬でアトピーの新薬開発を進めてきました。そうして、2018年1月に承認された待望の新薬が「デュピクセント」です。
「デュピクセント」は、遺伝子組み換え技術によって誕生した“完全ヒト型モノクローナル抗体”で、アトピー性皮膚炎の原因に深く関わっていると考えられている“IL-4”と“IL-13”の両方の分子を阻害することで効果を発揮します。アレルギー炎症、皮膚バリア機能、そう痒感の3つを改善出来ると期待されています。
適応は“既存の治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者”で、基本的にステロイド外用剤やタクロリムス軟膏の治療にプラスして用います。なお、今回は成人患者が対象で、小児は対象に含まれていません。順調に行けば、4月に薬価収載され、2018年5月に発売される予定です。
▼企業広告とは?
企業広告は、社会貢献活動、文化活動、経営理念などを外へPRしていくことによって“社会的信用を高める”という効果があります。つまり親密度や信頼度を高めて、自分の会社のファンになってもらう、ということです。いわゆるブランディングの一環です。たとえば、人が同じ性能で同じ価格の製品を選ぶ場合、「環境に配慮している」とか「誠実で信頼できる」などといった企業のイメージで差をつけるからです。
企業広告は、企業のイメージアップを図ることで、結果として、自社製品の売上拡大に寄与することを狙っていますが、メリットはそれだけではありません。企業広告の効果は、例えば「あの会社だったら、働いてもいいな」といった優秀な人材の確保や「世間から立派な会社だと思われているし、自分も見合うように頑張らなくちゃ」といった従業員の意識にも充分な効果を発揮すると言われています。
いままでは、製品広告と企業広告は完全に分離して存在していましたが、最近では、製品広告と企業広告を一体としてとらえる発想が強まっています。医薬広告で言うと“C型肝炎”“疼痛”などの領域ごとで、企業広告を打ってくるケースです。これらは、企業広告を一歩推し進めて、製品の売上に繋げることを想定しています。製薬企業も商売ですから、やはりいろいろなことを考えて、仕掛けを練っているのです。
▼キードクター
戸倉新樹(浜松医科大学皮膚科学講座 教授)
椛島健治(京都大学医学研究科皮膚科学教室 教授)