炎症性腸疾患/アンメットメディカルニーズ

想いはひとつ。

▼アンメットメディカルニーズとは

炎症性腸疾患(IBD)の啓発広告です。キャッチコピーに使われている“アンメットメディカルニーズ”とは、いまだ有効な治療方法がない“満たされていない医療”ニーズのことです。患者や医療従事者から待望されているのにもかかわらず、治療法や薬がないことを指します。マーケティングの世界では“消費者の期待する製品と現状の製品の力の差”と考えられ、アンメット・ニーズとも呼ばれています。

今後10〜20年における製薬企業の成長キーワードは、以下の5点と言われています。

・アンメットメディカルニーズ(UMNs)の新薬
・予防薬
・低価格な薬
・高齢者の薬
・新興国への進出

▼アンメットメディカルニーズの例

例として、胃潰瘍と炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)で考えてみます。
胃潰瘍は、一般的な標準薬で安全に治療できることが確立されており、消費者のニーズはほぼ満たされています。今後は、価格の引き下げや飲みやすさ、管理のしやすさなどが期待されてきます。
潰瘍性大腸炎は原因が特定されていないということもあって、標準薬の治療では消費者のニーズが満たされていません。そういった場合、はじめに有効性の高い医薬品が求められます。そして次に、より安全性の高い医薬品が求められるようになります。医薬業界では、このようなアンメットメディカルニーズを念頭に医薬品の開発が行われています。

アンメットメディカルニーズの例
疾患 標準薬の治療  消費者ニーズ 方向性
胃潰瘍 満足 ・服薬のしやすさ
・価格の引き下げ
・治療日数の短縮
潰瘍性大腸炎 不満 ・有効性の高い薬
・併用効果が高い薬
・副作用が少ない薬

▼アンメットメディカルニーズの課題

アンメットメディカルニーズ(UMNs)は、様々な業界で広く使われている言葉ですが、医薬品業界ではこれを数値として評価する共通の物差しがないところがボトルネックとなっています。例えば、深刻な病ではない重症度の低い疾患では、患者が望む声が強くてもアンメットメディカルニーズが低い、と評価されることがあります。アンケート調査などで、おおよその傾向を掴むことはできますが、数値的にニーズを知るには課題が残っています。

▼潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の病気で、重症の場合、厚生労働省より特定疾患に指定されています。安倍首相が罹ったことで一般的な認知度も上がりました。急激な痛みや下痢・血便が心配で、思うように外出が出来なかったり、消化の良い物を食べるように食生活に気を使ったり、日常的なストレスも溜まる深刻な病です。特定疾患に認定されるには、年に一回大腸内視鏡検査を行う必要がありますが、検査自体もかなりの痛みを伴います。日本での罹患数は約16万人と言われ、完治が難しいため長年苦しんでいる患者が多いのが現状です。難病とはいっても、癌のような死に至る病ではありません。糖尿病のような慢性の病気です。

▼広告のキービジュアル

要するに、潰瘍性大腸炎の薬リアルダのプロモーションなのですが、承認前なので、製品名が出せないわけです。映画でいうところのティザー広告に近いですね。カラーイメージには、しっかりとリアルダのイメージカラー(黄緑)を使っています。疾患自体の認知度を上げながら需要の掘り起こしを経て、結果的に自分たちの薬を売っていこう、というプロモーションです。

心理学で「ティザー効果」という用語があります。対象に少しずつ接することでいつの間にか親しくなる、という心理状態のことです。この広告もそういった効果を狙っています。

▼医薬品の広告計画

通常、医薬広告の世界では【ティザー広告(製品名なし】」→【発売準備中(薬価未収載)】→【新発売(薬価収載)】→【投薬期間制限解除】→【記事広告など】→【1周年】→【規格追加、適応追加など】→…という流れが一般的です。なぜかというと、広告計画を立案するのには年間の総予算があり、新製品の上市の場合は、出稿時期など一年間の流れがあらかじめ決まっているからです。

効果的な広告効果を得るためには、媒体(専門誌や学会誌、webやダイレクトメールなど)のメディアミックスを考慮しながら、出稿時期や露出度、コストを調整していきます。


製品名:リアルダ錠1200mg
一般名:メサラジン・フィルムコーティング錠
潰瘍性大腸炎治療剤
持田製薬

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