スイニー/メトホルミンとの配合剤申請へ

▼スイニーとは?

「スイニー」は国内6番目の選択的DPP-4阻害剤で、2型糖尿病治療薬です。三和化学は、糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル」を柱に糖尿病周辺を重点領域に展開しており、「スイニー」もそのひとつです。
DPP-4阻害薬は、従来のインスリン分泌促進薬とは作用機序が異なります。HbA1c値が低下し、血糖コントロールが改善されます。

▼糖尿病とは?

糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は遺伝性の疾患で(遺伝なので痩せている人や若い人もなります)、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。インスリン注射を打って、治療します。

一方で2型糖尿病は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「スイニー」は、2型糖尿病に対して使用する薬です。2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「スイニー」のような2型糖尿病治療薬が処方されます。つまり基本は食事+運動で、ダメなら投薬ということです。

「スイニー」は“中性脂肪やLDLコレステロールを下げる”ことが特徴です。また、薬価が安いということもメリットのひとつです。

▼スイニーはDPP-4阻害薬

「スイニー」は2型糖尿病治療薬の中でもDPP-4阻害薬という種類の薬ですが、DPP-4阻害薬は種類が豊富で、“どのDPP−4を使ってもHbA1cの低下作用にほとんど違いはない”という米国の学会発表もあり、医師も選択に迷うのではないでしょうか。後から発売される薬は、それなりの個性がないと生き残っていくのが難しいのかな、と思います。各製薬会社も、パッケージやPTPシートを工夫したり、製品の情報提供など、あらゆるところで少しでも他社と差別化出来るように奮闘しているという状況です。

▼主なDPP-4治療薬の特徴
トラゼンタ】:胆汁排泄型、腎機能に関係なく使用可
テネリア】:胆汁・腎排泄型、半減期が24時間と長い、日本発
【スイニー】:腎排泄型、中性脂肪やLDLコレステロールを下げる効果
オングリザ】:腎排泄型、解離半減期が長く、効果が持続する
マリゼブ】:腎排泄型、週1回で他のDPP-4阻害剤と同等の効果




▼スイニーとメトホルミンの配合剤(追記:2017年11月)

2017年11月、「スイニー」を製造販売する三和化学研究所は、「スイニー」+メトホルミン塩酸塩の配合錠の承認申請を行いました。“メトホルミン”は、いわゆるビグアナイド系の糖尿病治療剤で、肝臓で糖が作られるのを抑制したり、末梢組織で糖を取り込むなど、複数の作用によって血糖値を下げる薬です。

「スイニー」とメトホルミンの組み合わせは、それぞれ異なる作用機序を併せ持つ配合であり、2種類の薬をひとつにすることで、患者の服薬アドヒアランスを向上して、より良い血糖コントロールが得られると期待されています。

▼重大な副作用に急性膵炎が追加(追記:2018年4月)

2018年3月、厚労省は一部のDPP-4阻害薬について添付文書の改訂を指示しました。改訂の対象とされたDPP-4阻害薬は、「スイニー」、「テネリア」、「カナリア」、「トラゼンタ」で、重大な副作用に【急性膵炎】が追加されました。経口する糖尿病薬の中で、副作用に急性膵炎の記載があるのはDPP-4阻害薬だけで、注意が必要です。

2018年3月末現在で、重大な副作用に【急性膵炎】が記載されていないDPP-4阻害薬は、「マリゼブ」と「ザファテック」のみとなりました。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、絵本の世界のような美しいシャチのイラストです。小舟に乗ったおじさんと一緒に島(おそらくランゲルハンス島)を目指しています。シャチは非常に知能が高い生き物で、芸を覚えるのはイルカよりも優秀だということです。広告のビジュアルは、“ベストパートナー”といったイメージでしょうか。糖尿病の薬は、海のイメージが多いですね。


一般名:アナグリプチン
製品名:スイニー錠100mg
糖尿病用剤/選択的DPP-4阻害剤
三和化学研究所

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