2010年4月から、政府の後発医薬品使用促進策の一環として、医師が処方箋の【変更不可】欄にサインしない限り、薬剤師は患者の同意を得た上で、剤形や規格の異なるジェネリック(後発品医薬品)へ変更して調剤出来るようになりました。さらに2016年より“ジェネリック医薬品の銘柄を指定したうえで【変更不可】とする場合には、処方箋に理由を記載しなければならない”という規定が新たに設けられました。このような政府の促進策や診療報酬改訂などの影響で、ジェネリックのシェアは年々増加傾向となっています。
ジェネリック医薬品を選ぶポイント
そのような中、薬剤師は何を重視してジェネリックを選んでいるのでしょうか?
ジェネリック医薬品を選ぶポイントとして、以下のような意見が挙げられています。
・取扱い品目が多い
・品質が信頼できる
・先発より剤形や味が工夫されている
・自社の臨床データがある
・供給が安定している
・その後発品メーカーと付き合いがある
いろいろな意見があると思いますが、ジェネリックの選択が薬剤師の活躍の場となった今、現場での“使いやすさ”という要素も重要なポイントのひとつです。
包装の工夫で、他社と差別化を図る
ジェネリックメーカーはシェア拡大のために、薬の味や剤形、錠剤の印字だけでなく、パッケージにも独自のアイディアを加えて、差別化を図ろうとしています。具体的には、含量表示の分かりやすさや在庫管理のしやすさ、再注文のしやすさ、といった工夫です。
先発メーカーが面倒臭がってやりたがらないアイディアを積極的に取り入れることで、薬局での採用を拡大していく狙いです。日本人はこのような細かい創意工夫が得意なようで、デザイン優先で細かい配慮がない海外の包装と較べると、その熱意は驚異的です。
ジェネリックを選ぶという“目利き力”
製薬会社にとってジェネリックは、もはや純粋に薬としての質で勝負する段階は終わり、保管のしやすさ、調剤のしやすさ、管理のしやすさなどで競っていくフェーズへ突入しています。薬剤師も先発品の薬価差益で儲かる時代が終わり、最適な薬剤を数多くのジェネリックの中から選ぶ・・・というプロの“目利き力”で商売する時代が来ているのかもしれません。ジェネリック促進の政策がいつまで続くのか分かりませんが、薬についての正しい知識を持って、良質な薬剤を安全に安く提供することが、これからの薬剤師に求められています。
情報伝達カードとは
情報伝達カードには、製品名、含量、製造番号、使用期限、バーコードなどが記載されています。ハサミを使わずに個装箱からカードを切り離して、自由に使うことが出来るというアイディアです。これを一番初めに考えた人は、偉いですね。ちなみに業界で名称の統一がされておらず、「情報カード」と呼んだり、「伝達カード」と呼んだり、各社でバラバラです。好評なので、先発品の包装にも“逆輸入”されつつあります。
調剤薬局では、切り取ってPTPシートと輪ゴムで束ねて保管したり、薬品棚のインデックス・ラベルとして使用しています。【来月発注】と書かれたダンボールに使い切った薬の情報カードを入れることで、在庫管理として利用している薬剤師もいます(この方法だと発注忘れがなく、バーコードを読み取るだけなので注文時の手間が省けるそうです)。