ドルモロール/コソプトのオーソライズド・ジェネリック

β + CAI

▼ドルモロールとは?

「ドルモロール」は、β遮断剤と炭酸脱水酵素阻害剤の主成分をひとつに合わせた点眼液です。緑内障・高眼圧症の患者の眼圧を下げ、視野の悪化を抑制します。

2018年6月、「ドルモロール」は先発品「コソプト配合点眼液」のオーソライズド・ジェネリック(公認の後発品)医薬品として発売されました。参天グループとしては、初のオーソライズド・ジェネリック(AG)となります。なお「コソプト配合点眼液」は、通常の後発品(GE)に参入する他社がいませんでした。

参天製薬の100%子会社である参天アイケアは2016年に設立された新しい会社です。参天アイケアの事業内容は、詳細が明かされていません。「ドルモロール」の販売をきっかけに、参天製薬のAGを製造販売するための会社といって良さそうです。

▼眼圧とは?

まぶたの上にはふっくらとした弾力があります。これは瞳の中に房水と呼ばれる液体が溜まっているからです。この房水が一定の圧力を保ちながら常に循環して眼球を保っています。房水による眼球内の圧力を“眼圧”と呼びます。

しかし、何らかの障害で房水の排出路(隅角の線維柱帯)が詰まったり、房水の流れが悪くなると、眼球内に房水が溜まり、眼圧が上昇します。つまり、房水の流出が悪くなることが眼圧上昇の一番の原因だと考えられています。

「ドルモロール」は、β遮断剤と炭酸脱水酵素阻害剤の薬効によって房水の産生を抑えることで、緑内障患者の眼圧を下げていきます。

▼緑内障とは?

緑内障は、眼圧が高くなることによって、視るための神経が圧迫されて、見える範囲が狭くなったり、視野が部分的に見えなくなったりする病気です。

日本で緑内障患者は、40歳以上で5.0%、20人に1人の割合で存在します。眼圧が正常の人でも、緑内障に罹る場合(正常眼圧緑内障)があり、日本人はこのケースが最も多く、患者の90%は自分が緑内障であることに自覚のない未診断の人たちです。

視力や視野は、一度失ってしまうと、手術でも完全に回復することは出来ません。その為、早期発見と正しい治療によって、病状の進行をできるだけ抑えることが重要です。

▼緑内障の治療薬

緑内障は、基本的にまず薬物療法を行います。最初の治療は点眼治療です。点眼の薬効で眼圧を下げて、視野障害の進行を防ぎます。

まずは眼圧検査や視野検査を行って、その人の病型を分類します。緑内障の治療は長期に亘るため、身体への影響を考慮して様々な点眼薬の中から薬を選んでいきます。

緑内障配合剤は欧米では既に認可されていましたが、日本では2010年に初めて認可されました。配合剤のメリットとしては点眼回数を減らせることと、長期に亘る治療費のコストを抑えることです。患者の服薬アドヒアランス(治療方針の遵守)が上がる、という観点からも処方が増えています。

▼緑内障の点眼剤は主に3つ

緑内障の点眼剤は、眼圧を下げる仕組みが異なる数種類の薬剤が発売されています。主な点眼剤は、PG(プロスタグランジン)製剤、β遮断剤、CAI(炭酸脱水酵素阻害剤)の3つです。

「ドルモロール」は、この3つのうちβ遮断剤と炭酸脱水酵素阻害剤のふたつを配合した点眼薬です。

▼ドルモロールの副作用

「ドルモロール」の主な副作用は、眼痛、眼のかゆみ、充血などです。他の薬との飲み合わせで、予期しない重大な副作用がでることもあるので、何か異変を感じた場合には速やかに医師へ相談してください。

β遮断系薬剤(チモプトール)は全身性の副作用が出現する可能性があります。具体的には、心肺機能に異常が起こることが報告されていますが、自覚症状がない場合もあり、副作用には十分な注意が必要です。

β遮断薬の主な副作用 涙液の分泌減少、それに伴う角膜びらんなど(気管支喘息や不整脈の発作を誘発、血圧下降、徐脈、善玉コレステロールの低下など)
炭酸脱水酵素阻害薬の主な副作用 結膜充血、一時的にかすんで見える、点眼時にしみるなど

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、パズルです。配合剤ということで、“β遮断剤”と“CAI(炭酸脱水酵素阻害剤)”が合体している様子を描いています。人の手のひらの温もりと、青空のさわやかさで“安心感”を感じさせるビジュアルに仕上がっています。

製品名:ドルモロール配合点眼液「センジュ」
一般名:ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩配合点眼液
緑内障・高眼圧症治療剤/炭酸脱水酵素阻害剤/β-遮断剤配合剤
武田薬品
千寿製薬
2018年6月15日、新発売

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