リンヴォック/関節リウマチ、4番目のJAK阻害薬

ひとつ上の期待へ

▼リンヴォックとは?

「リンヴォック」は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤に分類される関節リウマチの薬です。これまでにJAK阻害薬として「ゼルヤンツ」「オルミエント」「スマイラフ」の3製品が販売され、治療の選択肢は広がっていますが、関節リウマチは、依然として多くの患者が治療目標である寛解または低疾患活動性を達成できていません。そのため、有効性と安全性を有する新しい治療薬が常に求められています。

「リンヴォック」は関節リウマチ治療に対する4番目のJAK阻害薬で、特にJAK-1を選択的に阻害する薬剤です。JAK-1に選択性を持つことで、他に影響を与えにくいため、副作用を少なくできると考えられています。

●JAK-1を選択的に阻害するJAK阻害薬
●注射薬ではなく1日1回の経口薬
●既存治療で効果不十分な関節リウマチに高い効果
●重篤な感染症や悪性腫瘍の発現に注意

関節リウマチの治療には通常、痛みを抑えるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド、抗リウマチ薬(DMARD:ディーマード)が使用されます。これらの薬を使用しても状況が改善されない場合、生物化学的製剤(レミケードなど)やJAK阻害剤(リンヴォックなど)が使用されます。生物学的製剤は【細胞外】で作用するのに対し、JAK阻害剤(リンヴォック)は【細胞内】で作用する薬剤です。

国内における関節リウマチ治療では、まず免疫抑制薬である「リウマトレックス」(メトトレキサート)を使い、その次に生物化学的製剤、最後にJAK阻害剤というケースが多いです。しかし、海外では生物化学的製剤とJAK阻害剤が同等の格付けとなっていて、今後は日本国内でもJAK阻害剤の処方が普及していくと言われています。「リンヴォック」のピーク時の売上高は、283億円と予測されています。

▼JAK阻害薬の比較

ゼルヤンツ 1日2回 JAK-1とJAK-3を阻害 併用注意薬が多い
オルミエント 1日1回 JAK-1とJAK-2を阻害 プロベネシドとの併用に注意
スマイラフ 1日1回 JAK-1とJAK-3を阻害 併用注意薬なし
リンヴォック 1日1回 JAK-1を阻害 CYP3Aを強く阻害・誘導する薬に注意

※上記JAK阻害薬には、優先順位は明確に定められていません。今後データを積み重ねていけば、JAK阻害薬の使い分けも検討されるでしょう。

▼関節リウマチ(RA)とは?

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)は、関節滑膜の破壊を特徴とする慢性の全身性炎症疾患です。自己免疫の異常によって起こると考えられています。自己免疫がおかしくなると、自分の身体の組織を敵と思い込み、自身の免疫機能が攻撃してしまうのです。関節リウマチの主な症状としては、深刻な痛みや腫れを伴います。国内には約70万人の関節リウマチ患者がいると言われています。

それまでの関節リウマチの治療には対症療法しかなく、痛みや腫れに対して、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬で痛みを和らげることしか出来ませんでした。抗リウマチ薬も開発されましたが、関節破壊の進行を抑制出来たのは一部の患者だけという結果でした。近年は“生物学的製剤”の登場で、既存の抗リウマチ薬が効かなかった患者に対して、寛解あるいは低疾患活動性の達成まで可能になっています。

関節リウマチは基本的に、免疫抑制薬の「リウマトレックス」や生物学的製剤の「レミケード」などでの早期寛解を目指す治療が行われていますが、既存の治療では十分な効果が得られない場合も多く、常に新たな治療選択肢が必要とされています。

▼リンヴォックの作用機序

関節リウマチは、サイトカイン(TNFαやIL-6、IL-2など)と呼ばれる物質の作用によって、関節内に炎症反応が引き起こされると考えられています。

サイトカインが各受容体に結合して刺激が核へ伝えられるのですが、各受容体にはヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介して痛みの信号が核へと届けられます。JAKにはJAK-1、JAK-2、JAK-3の3つがありますが、特に関節リウマチに関係する受容体はJAK-1が深く関与していることが判っています。

「リンヴォック」はJAK1を選択的に阻害する薬剤です。「リンヴォック」がJAK-1を阻害することで、サイトカインによる刺激が核に伝わるのを断絶して、炎症を抑え、結果的に関節リウマチの進行を抑制すると考えられています。

▼リンヴォックの副作用

主な副作用は、感染症、消化管穿孔、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害、間質性肺炎、静脈血栓塞栓症が報告されています。既存のJAK阻害薬と同じ様に、まれに結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤で致命的な感染症が起こる可能性もあるため、注意が必要です。

【禁忌】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、重篤な感染症(敗血症等)の患者、活動性結核の患者、重度の肝機能障害を有する患者、好中球数が1000/mm3未満の患者、リンパ球数が500/mm3未満の患者、ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者、妊婦または妊娠している可能性のある女性

▼リウマチの治療

リウマチの治療方法は大きくふたつに分類できます。
【1】:痛みをとりのぞく薬(非ステロイド性鎮痛薬、ステロイド)
【2】:炎症をブロックしてリウマチ自体を抑える薬(抗リウマチ薬)

抗リウマチ薬は大きく4つに分類できます。
【1】免疫調整薬:リマチル、アザルフィジン、シオゾール他
【2】免疫抑制薬:ブレディニン、リウマトレックス他
【3】生物学的製剤:レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ他
【4】JAK阻害薬:ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック

関節リウマチ治療薬は、売上の伸長が著しく、特に「ヒュミラ」、「アクテムラ」、「シンポニー」、「オレンシア皮下注」は二桁成長しています(2016年現在)。なお「ヒュミラ」は、世界での売上が5年連続の1位で、年商160億ドルを超えている驚異的なブロックバスターです。

▼関節リウマチに関連する薬





▼アッヴィ、グローバルな研究開発型の医薬品企業

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、ダンスフロアで踊る女性のイラスト(関節リウマチは、30〜50歳代の女性に多い病気)。関節の痛みを忘れて踊れることで、笑顔を見せています。コンセプトは“関節の動き”。これは、海外版のビジュアルを日本向けとして馴染むようにアレンジしたものです。

日本版のキービジュアル

基となった海外版のキービジュアルは、木と木の間をワイヤーロープの滑車で駆け巡る“ジップライン”。“治療目標に挑戦する”というテーマを具現化したビジュアルになっています。

日本版よりも躍動的でインパクトがありますが、これは医療従事者向けというよりは、一般消費者も意識した過激な作りです。メディアを使って直接消費者へ医療用医薬品の宣伝を出来るのは、世界中で米国とニュージーランドだけなので、様々な規制で縛られた日本市場向けとは、キービジュアルの方向性はかなり異なっています。

海外版のキービジュアル。日本版よりも過激です。

キャッチコピーの【ひとつ上の〜】という言葉は、他のJAK阻害薬と比べ物にならないほど、多くの臨床試験を行ってるという自信の表れです。また、成分名である“ウパダシチニブ:Upadacitinib”の【UP】でもあります。この【上の〜】という言葉には、自社製品である世界一売れている「ヒュミラ(Adalimumab)」の上をいく(超える)という意味も込められています(UP+Ada〜=Upadacitinib)。

このキャッチコピーの良いところは、簡潔で短いこと。そして、難しい言葉を使っていないこと。広告のキャッチコピーというものは、第一印象で好感を抱いてもらう必要があるので、シンプルな言葉が効果的です。医薬品の広告は、その性質上、説明口調になりがちですが、「リンヴォック」のキャッチコピーはその点が潔いですね。

※アダリムマブ(ヒュミラ)を超える(UP)ということで、ウパダシチニブ(リンヴォック)と命名されました。

販売名:リンヴォック錠7.5mg、15mg
一般名:ウパダシチニブ水和物錠
関節リウマチ治療薬/ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
発売準備中
アッヴィ

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