C型肝炎治療に貢献するため、私たちにできることを、すべて
ギリアド・サイエンシズ社の主力領域であるC型肝炎治療の企業広告です。名曲「愛の賛歌」を使ったTVCMも印象的でした。
ギリアドは、米国を拠点とする世界第2位の大手バイオ製薬会社であり、バイオテクノロジーを使って、新しい治療薬の開発と商品化を行っています。1987年の創業以来、HIV、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザといった感染症領域が中心事業です。
一番有名な薬は抗インフルエンザ薬「タミフル」でしょうか。大変効果がある薬ですが、異常行動との関連が疑われて話題になりました。また、抗レトロウイルス薬「ツルバダ(Truvada)」が世界で初めてHIV(エイズウイルス)の感染を予防する薬として承認されたことも大きなニュースになりました。
C型肝炎の領域では、経口治療薬「ソバルディ」とその合剤「ハーボニー」を開発し、世界的に支持を広げており、日本でもその存在感は高まっています。
ギリアド・サイエンシズの社名は、古代より治す力があると知られていた木「ギリアドバーム(Balm of Gilead)」に由来したもので、ロゴマークもその木の葉を表現しています。現代のバイオサイエンスによる治す力を駆使して、世界中の患者さんとその家族に笑顔をもたらそうとするギリアド・サイエンシズの企業姿勢を象徴しています。
▼C型肝炎とインターフェロン療法
日本のC型肝炎患者のほとんどは、C型肝炎ウイルス(HCV)が発見される以前に、輸血や献血での注射針の使い回しで感染したと考えられています。予防接種の注射器の使いまわしは、1948年頃に始まり、1988年まで続いていました。そういった経緯で、50〜80歳代の患者が多いのが特徴です。現在では、日常生活でC型肝炎ウイルスに感染するリスクは、ほとんどないと言われています。
C型肝炎の治療といえば、昔はインターフェロン(IFN)療法しか選択肢がありませんでした。しかし、IFN療法は6〜12ヶ月と治療に時間がかかり、治癒率も低く、過酷な副作用が伴う大変なものでした。IFNフリーの「ハーボニー」の承認は、C型肝炎患者にとっては待望の新薬です。「歴史が変わる瞬間がある」というのは、決して大げさなキャッチコピーではないと思います。
日本国内のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は、190〜230万人と言われています。C型肝炎は、血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染することによって起こる炎症性の病気です。C型肝炎ウイルスに感染した人の約70%が、持続感染に移行して、やがてC型慢性肝炎となります。C型肝炎が慢性化すると、感染に伴う炎症が続くことによって、最終的に肝硬変や肝臓癌へと進展してしまいます。
1992年頃から、インターフェロン療法が承認されて、治療が行われましたが、治療が完了してからもウイルスが陰性のまま潜伏するなど、薬が効果的だった割合はわずか数%という悲惨な状況が続きました。
21世紀に入り、インターフェロン療法と抗ウイルス剤のリバビリンとの併用で著効率が約50%に向上。さらに、インターフェロン療法とプロテアーゼ阻害剤の「ソブリアート」を併用することで、約90%まで向上しました(初回治療患者の場合)。しかし、インターフェロン療法を含む治療法では、副作用が高頻度で出現するため、患者にとっては身体的にも精神的にも重い負担となっていました。
そして2015年、ギリアド社からインターフェロンを用いない画期的な新薬「ソバルディ」と「ハーボニー」が発売されました。1989年のC型肝炎ウイルス発見から、苦節26年。C型肝炎診療の新時代の到来です。
▼C型肝炎の診断の流れ
C型慢性肝炎の診断は、血液検査によって行われます。肝機能に持続的な異常が認められる場合は、C型慢性肝炎を疑い、HCV抗体検査を行います。HCV抗体検査は各都道府県または市町村が実施しています。C型慢性肝炎の抗ウイルス治療は、国および自治体から医療費の助成を受けることができます。
HCV抗体検査 | ウイルス感染の有無を判定 |
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HCV RNA検査 | ウイルス感染持続の有無を判定 |
ウイルス量/遺伝子型測定 | 治療方針決定のために、ウイルス量とHCV遺伝子型を判定 |
肝線維化の進展度の判定 | 病気の進展度の予測と発ガンの可能性評価 |
▼癌や血液疾患、炎症疾患へ参入(2018年3月:追記)
ギリアドの主力製品は“肝疾患領域”ですが、2020年以降は、ガンや血液疾患、炎症性疾患などの領域に新規参入する方針です。世界的な開発力を活用し、日本市場のニーズをマーケティングしながら、3〜5年をかけて年間1製品の上市を狙っていく予定です。
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、シャーレとスポイトの写真。スポイトから出た液体で、肝臓のかたちを描いています。シンプルで、とても美しい綺麗な広告です。見ていて気持ちが良いビジュアルですね。
こうした企業広告は、社会貢献活動、文化活動、経営理念などを外へPRしていくことによって“社会的信用を高める”という効果があります。つまり親密度や信頼度を高めて、自分の会社のファンになってもらう、ということです。いわゆるブランディングです。たとえば、人が同じ性能で同じ価格の製品を選ぶ場合、「環境に配慮している」とか「誠実で信頼できる」といった企業のイメージで差をつけるからです。
企業広告は企業のイメージアップを図ることで、結果として自社製品の売上拡大に寄与することを狙っていますが、メリットはそれだけではありません。企業広告の効果は、例えば「あの会社だったら、働いてもいいな」といった優秀な人材の確保や「世間から立派な会社だと思われているし、自分も見合うように頑張らなくちゃ」といった従業員の意識にも充分な効果を発揮すると言われています。
いままでは、製品広告と企業広告は完全に分離した存在でしたが、最近では、製品広告と企業広告を一体としてとらえる発想が強まっています。医薬広告で言うと“ガン領域”“疼痛”などの領域ごとで、企業広告を出すケースです。これらは、企業広告を一歩推し進めて、製品の売上に繋げることを想定しています。製薬企業も商売ですから、やはりいろいろなことを考えて、仕掛けを練っているのです。