フェノフィブラート/初のジェネリック登場

フェノフィブラート錠、初のジェネリック
ついに登場

▼初のジェネリックを1社単独発売

「フェノフィブラート」は、フィブラート系と呼ばれる高脂血症治療剤「リピディル」のジェネリック(後発医薬品)です。

武田テバファーマは、2018年冬の戦略として、20社以上が競合するオルメテック」(オルメサルタン)のジェネリックには参戦せず、戦略的に「フェノフィブラート」の後発品を選択してきました。

オルメテック」(オルメサルタン)よりも処方数は圧倒的に少ないですが、「フェノフィブラート」のジェネリックについては、同時に発売する競合他社が存在しないため、今のところ“武田テバファーマ”の独占状態です。なお、薬価は先発品の約58%となっています。

フェノフィブラート錠53.3mg「武田テバ」 16.7円
リピディル錠53.3mg(先発品) 28.4円
フェノフィブラート錠80mg「武田テバ」 21.8円
リピディル錠80mg(先発品) 37円

▼フェノフィブラートとは?

「フェノフィブラート」は、第2世代フィブラート系の高脂血症治療剤です。フィブラート系は、中性脂肪を低下させる作用が強いので、中性脂肪が多いタイプ(高トリグリセリド血症)に向いていると言われています。コレステロールだけが高い高脂血症には、ファーストチョイスされません。

「フェノフィブラート」は、相互作用が少ないことが特徴です。代謝酵素の影響を受けないため、“スタチン系”以外の薬で併用禁忌とされている薬はありません(スタチン系と併用すると横紋筋融解症を起こす危険がある)。高脂血症治療薬以外にも、複数の薬を併用している人にとっては、相互作用が起きにくい「フェノフィブラート」は使い勝手の良い薬だと言えます。

▼フェノフィブラートの特徴

1日1回投与のフィブラート系高脂血症治療剤
トリグリセライド低下作用、HDLコレステロール上昇作用を有する
コレステロールも低下させるフィブラート系高脂血症治療剤
高尿酸血症・糖尿病合併例の血清脂質も改善

▼パルモディアとフェノフィブラートの違い

「パルモディア」と「フェノフィブラート」は、どちらも“フィブラート系”の高脂血症治療薬です。「フェノフィブラート」は“腎排泄型”ですが、「パルモディア」はフィブラート系で初めての“肝代謝型”で、薬の成分は糞として排泄されます。そのため、肝機能検査値を悪化させないと言われています。

2017年7月に承認された「パルモディア」は、比較的に副作用が少ないのが特徴です。2011年3月に承認された「フェノフィブラート」は、代謝酵素が関係する相互作用が少ないのが特徴の薬です。

“フィブラート系”の高脂血症治療薬は、肝機能に関係する副作用に注意が必要です。「フェノフィブラート」は、肝機能障害があるケースでは禁忌となっており、使用することができません。新しい薬の「パルモディア」は、軽度の肝機能障害であれば用量を少しずつ調節しながら使用することができます。

▼主な高脂血症治療薬

フィブラート系 中性脂肪を下げる効果が強いので、中性脂肪が高い患者に使用されることが多い。善玉(HDL)コレステロールを上げる効果もあり。
スタチン系 悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果が強い。善玉コレステロールを上げる効果は弱い。
レンジ系 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。
プロブコール 悪玉コレステロールを下げる効果あり。
ニコチン酸 善玉コレステロールを上げる効果あり。悪玉コレステロールを下げる効果は弱い。
小腸吸収型 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。
PCSK9 悪玉コレステロールを強力に下げる。重度の患者に使用。注射剤。

▼フィブラート系 高脂血症治療薬



▼フェノフィブラートの副作用

主な重い副作用は、横紋筋融解症、手足のしびれ・けいれん、肝臓の症状、膵炎、吐き気などです。特に注意したいのは、筋肉が障害を受ける「横紋筋融解症」。発症はまれですが、腎臓の悪い人や高齢者には特別な注意が必要です。他のスタチン系コレステロール低下剤と併用すると起きやすいと云われています。

▼武田テバファーマとは?

武田テバファーマは、武田薬品工業と世界的なジェネリックメーカーのテバ・グループが2016年4月1日に設立した合弁会社です。主にジェネリック医薬品を取り扱っていますが、武田薬品から継承した特許の切れた長期収載品も取り扱っています。

2018年の薬価改訂で、医薬品メーカー全体では7000億円以上の売上げが減少する、と試算されています。今後の環境の変化に応じて、大手製薬メーカーと言えども変わっていかなければ、生き残っていけません。環境の大きな変化は、新しい市場が生まれるビジネスチャンスと捉えることも出来るのです。

長期収載品やジェネリックといった“オフ・パテント・ドラッグ(特許期間を満了した製品)”を本社から切り離すことによって、コストを抑えながらも、市場を掌握していきたいというタケダの狙いが覗えます。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、シンプルに錠剤そのもの。錠剤のレーザー印字やPTPシートの工夫(ピッチコントロール、規格の視認性)を前面に出した後発品(ジェネリック)らしい広告です。

背景の黒いイメージは、先発品である「リピディル」のイメージです。一方、赤のイメージは武田テバファーマのコーポレートカラーです。

“赤と黒”という色彩は、カジノのルーレットの盤面にも使われている伝統的な配色です。赤と黒のコントラストによって、印象的なビジュアルに仕上がっています。

一般名:フェノフィブラート
製品名:フェノフィブラート錠53.3mg、80mg「武田テバ」
フィブラート系/高脂血症治療剤
発売準備中(2018年1月26日発売)
武田薬品工業
武田テバファーマ

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