飲みやすさを考えた
エビリファイの2つの剤形
双極性障害にDSSという新しいアプローチ
▼エビリファイとは?
「エビリファイ」は統合失調症の治療薬です。新しい系統の非定型抗精神病薬(第3世代抗精神病薬)です。ドパミン系神経を安定させる調整薬で、DSS(ドパミン・システム・スタビライザー)と呼ばれています。脳内のドパミンが過剰な場合は、その働きを抑制し、逆に不足している場合は働きを補ってくれる薬剤です。
統合失調症に加え、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対する効能を新たに取得しています。
※双極性障害は、躁うつ病とも呼ばれる疾患で、症状として躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。
副作用も少ないことから、従来の薬に成り代わって、かなり売れている薬です(2010年度の世界売上は約4,000億円)。ジェネリック対策もあってか、近年は剤形がどんどん増えています。剤形の選択肢が増えることは、服用する患者さんにとっては良いことですね。
▼双極性障害の躁症状の“第一選択薬”
「エビリファイ」は、脳内でドパミンが大量に放出されている場合には抑制的に作用し、ドパミンが少量しか放出されていない場合には刺激的に作用します。脳内のドパミン神経を安定させるという仕組みです。
ドパミンの異常によって起こると考えられている統合失調症の陽性、陰性症状を改善する一方、眠気や体重増加などをきたしにくいため、長期間に亘って継続服用が可能な薬です。
双極性障害の躁症状に対しては、統合失調症に対する作用機序と同じように、ドパミン神経を抑制することでその効果を示すと考えられています。海外での使用実績や臨床試験報告をもとに、各種ガイドラインにおいて双極性障害の躁症状の“第一選択薬”として推奨されています。
エビリファイジェネリック15mg
エビリファイジェネリック20mg
エビリファイジェネリック30mg
2015年:エビリファイの売上高 | 356億円 |
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2016年:エビリファイの売上高 | 317億円 |
「エビリファイ」は、統合失調症の陽と陰の両方の症状に効果が期待できる薬剤です。情動安定化作用や再発予防効果が期待でき、また過鎮静を起こし難いので、長期の維持療法に適しています。速効的な効果が弱いので、改善効果よりも副作用が先に出てしまうケースも見られます。その為、深刻な不安や興奮、混乱状態の急性症状には不向きと言われています。
従来の抗精神病薬に比べ、震え、身体の強張り、生理不順、眠気、過鎮静、体重増加などの副作用が比較的少ないです。その一方で、じっとできない、そわそわしてしまうという副作用の頻度が高く、また血糖値が高くなるという特別な副作用も報告されています。
▼その他の統合失調症治療薬
▼その他の非定型抗精神病薬
▼エビリファイとジェイゾロフトの配合錠(追記:2017年8月)
2017年7月末、うつ病の治療薬として、抗精神病薬の「エビリファイ」とセロトニン再取り込み阻害薬の「ジェイゾロフト」との配合錠の承認申請が行われました(製品名は未定)。製造販売元の大塚製薬によると、「ジェイゾロフト(セルトラリン)」で十分な効果が得られない患者に対して、薬の錠数が増えない状態で、抗うつ改善効果の増強療法が可能になるということです。
「エビリファイ(アリピプラゾール)」と「ジェイゾロフト(セルトラリン)」を併用している患者にとっても、錠剤の数が減ることでQOLの向上に繋がると考えられています。将来的な市場としては、国内だけでなくアジアも視野に入れているということです。
「ジェイゾロフト(セルトラリン)」は2015年12月にジェネリック医薬品が発売。「エビリファイ(アリピプラゾール)」は2017年6月にジェネリック医薬品が発売されています。
▼注意喚起が追加(追記:2018年1月)
2018年1月、厚生労働省が抗精神病薬「エビリファイ」に対して、添付文書の改訂を指示しました。具体的には、「エビリファイ」の【重要な基本的注意】に“病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食”といった【衝動制御障害】に関する注意喚起を追加するという内容です。この内容は、後発医薬品(ジェネリック)にも同様に適用されます。
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、新しい2つの剤形です。薬の形のことを「剤形」と呼びます。
同じ成分の薬でも、用途に応じてさまざまな剤形が発売されています。剤形が異なることで、いろいろなシチュエーションで、様々な患者に薬を届けることが可能になります。
例えば、散剤は胃腸で分散しやすく、効き目も早く現れます。OD錠は高齢者でも飲みやすく、水なしで服用できるように工夫されています。内用液は、薬効成分が液体に溶けている状態ですので、スムーズに吸収されて即効性が期待できます。
特に精神病の場合、患者自身が自らすすんで薬を服用することが難しいケースもあります。そういった場合に、水無で服用出来たり、液体で飲みやすい剤形があるということは、非常に大きなメリットとなるのです。
一般名:アリピプラゾール
製品名:エビリファイ錠1mg,3mg,6mg,12mg、OD錠3mg,6mg,12mg,24mg、散1%、内用液0.1%(1,3,6,12mL)
統合失調症治療薬/非定型抗精神病薬(DSS)/抗精神病薬/神経系用剤
大塚製薬
OD錠 発売準備中