ルパフィン/PAFとヒスタミン2つを抑えるDUAL作用

DUAL and STRONG

▼ルパフィンとは?

「ルパフィン」は、第2世代の抗ヒスタミン剤(ヒスタミンH1受容体拮抗剤)で、アレルギーの症状をおさえる薬です。比較的速効型で、持続性も長いほうです。1日1回服用で、服用後すぐに効果があらわれ、24時間効果が持続します。「ルパフィン」は、主にくしゃみ・鼻水に効果が高いのが特徴です。

また、「ルパフィン」の適応には“皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒”があり、皮膚科領域では、蕁麻疹に対して有効性が高く、主要治療薬のひとつとなっています。アトピー性皮膚炎に対しては、そう痒(かゆみ)の軽減を期待して処方されます。

第2世代の特徴は、第1世代に多く見られる余計な作用が減少しているところです。このため、口の渇きや排尿障害などの副作用が少なくなっています。ただし「ルパフィン」は、従来の抗ヒスタミン剤より高い効果を示す傾向にある一方、2010年以降に発売された「ビラノア」「デザレックス」「ザイザル」に比べると、眠気や口渇といった副作用が多いようです。

▼2つを抑えるDUAL作用(抗PAFと抗ヒスタミン)

花粉症の場合、体内に花粉が入ると、ヒスタミンなどの成分が分泌されて、くしゃみや鼻水などのアレルギー反応が起こります。しかし、最近、炎症に関わる別の成分“血小板活性化因子(PAF)”もアレルギー症状の原因であるということが解ってきました。「ルパフィン」は、ヒスタミンとPAFの両方を抑える作用があります。

「ルパフィン」の有効成分“ルパタジン”は、世界60ヵ国以上で販売されている実績があり、抗ヒスタミン作用に加え、抗PAF(platelet activating factor:血小板活性化因子)作用を有し、「クラリチン」、「ジルテック」、「エバステル」と同等の有効性を持つと言われています。

ヒスタミンは、アレルギー症状の原因となる化学伝達物質として広く知られていますが、PAFも血管拡張や血管透過性の亢進、知覚神経刺激、白血球の活性化などを誘導することで、くしゃみ・鼻水、鼻閉などの症状を引き起こすなど、アレルギーの疾患に深く関係しています。

「ルパフィン」は、この2つの化学伝達物質を抑える、DUAL作用(抗PAF作用と抗ヒスタミン作用)によって強力な効果を発揮し、アレルギー性疾患における症状を抑制します。

実は、第2世代の抗ヒスタミン薬で、抗PAF作用があるのは「ルパフィン」だけではありません。「ルパフィン」のように“PAF”を押し出してはいませんが、抗PAF作用を有するアレルギー薬は以前から存在していました。

【抗PAF作用を有する主な第2世代抗ヒスタミン薬】
アレジオン、アゼプチン、タリオン、アレロック、ルパフィン

第2世代の抗ヒスタミン薬は、既に9種類も存在し、飽和状態です。後から発売する薬には、それなりの個性がないと生き残っていくのは難しいと思います。また、新しい薬には“投薬期間制限間”という縛りがあり、発売後1年間は14日分しか処方できないということもデメリットです。

【第2世代の抗ヒスタミン薬】
ザイザル、ジルテック、アレロック、エバステル、クラリチン、アレグラ、タリオン、アレジオン、ビラノア

▼ルパフィンとタリオン

「ルパフィン」も「タリオン」も、どちらも第2世代の抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)です。「ルパフィン」はもともとスペインの製薬会社が世界60ヵ国で販売している抗アレルギー薬で、日本では帝國製薬が単独で開発を進めていました。しかし、自社だけでは営業力が弱いということもあり、承認取得後にアレルギー疾患領域に強い田辺三菱製薬と協力関係を結ぶことになりました。

この共同の販売促進活動では「ルパフィン」の他、田辺三菱が2000年から製造販売している「タリオン」も共同でプロモーション活動を行っていく計画です。ふたつの治療選択肢を用意することで、患者の症状やライフスタイルに合わせた提案が出来ると期待されています。

田辺三菱製薬の思惑としては、背景に「タリオン」の特許切れが関係していると思われます。「タリオン」のパテントクリフ(ジェネリックの進出によって売上が激減すること)を最小限に抑えるための戦略のひとつです。

▼ルパフィンの注意点

「ルパフィン」を服用中は、車の運転や危険を伴う機械の操作はしてはいけないと決められています。また、薬を飲む際にグレープフルーツジュースを飲むと、「ルパフィン」の効果が強くなり過ぎる可能性があるので、避けてください。代表的な抗アレルギー薬「アレグラ(フェキソフェナジン)」には、こうした使用上の注意がないため、切り替えの際には注意が必要です。

▼アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の比較

アレルギー性疾患に対する治療薬には作用機序の異なる多くの製剤が出ていますが、抗ヒスタミン薬の選択でポイントとなるのは、【作用時間】(1日1回投与か1日2回か)と【インペアード・パフォーマンス】(非鎮静性かどうか)という点です。近年は、眠気などの中枢神経抑制作用を軽減した【非鎮静性】で長時間作用型である第2世代抗ヒスタミンH1受容体拮抗薬の使用頻度が高くなっています。

非鎮静性 脳内受容体占拠率:10%以下
軽度鎮静性 脳内受容体占拠率:10〜50%
鎮静性 脳内受容体占拠率:50%以上

※インペアード・パフォーマンス:抗ヒスタミン薬の副作用で、集中力や判断力、作業能率が低下すること。10%以下であれば【非鎮静性】に属し、インペアード・パフォーマンスは起こりにくい。

アレロック 眠気高い、効果強い、比較的速く効く、1日2回、軽度鎮静性
ジルテック 眠気やや高い、効果やや強い、1日1回、アルコール注意、軽度鎮静性
タリオン 眠気やや低い、効果やや弱い、1日2回、非鎮静性
デザレックス 眠気低い、効果弱い、1日1回食事に関係なく服用可、非鎮静性
クラリチン 眠気低い(パイロットも服用可)、効果弱い、1日1回、薬価安い、非鎮静性
アレグラ 眠気低い(運転OK)、効果弱い、1日2回、非鎮静性

※効き目や副作用には個人差があります。

▼主な抗ヒスタミン薬






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▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、何度目かのブームとなっている“ゴジラ”です。ここでは力強さの象徴となっています。

同じアレルギー治療薬の「タリオン」もキービジュアルに“ゴジラ”を使用していますが、ふたつの製品で同じモチーフを使うというのは、非常に珍しいケースです。両製品の相乗効果を狙っています(タリオンにも抗PAF作用あり)。

背景に流れる2つ(DUAL)の流星は、抗PAF作用と抗ヒスタミン作用を表していますが、「タリオン」と「ルパフィン」、それから田辺三菱製薬と帝國製薬の共同販促という意図も感じます。

芸能人やキャラクターを使ったキービジュアルは、俗に“権利物”と呼ばれています。その製品が達成したいイメージに合った芸能人やキャラクターを起用することで、外部の力を借りてブランド構築を行うという【ブランド・アソシエーション】と呼ばれるマーケティング戦略です。

ブランドイメージを構築するのに、海外の場合、その企業が持っている理念や製品が持っているビジョンを表現することが多いのに対し、日本では、ブランドイメージに芸能人やキャラクターを起用する手法が多いです(製薬の世界は少ない方ですが)。これは、世界的に見ても特異な現象です。

一般名:ルパタジン フマル酸塩
製品名:ルパフィン錠10mg
抗ヒスタミン薬/アレルギー性疾患治療剤
新発売
田辺三菱
帝國製薬

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