点滴静注用のインフルエンザ治療薬であり、確実に血中へ移行します。
1回の点滴静注でA型B型インフルエンザに有効性が期待できます。
小児適応拡大!
▼ラピアクタとは?
「ラピアクタ」は、「タミフル」「リレンザ」に次ぐ三番目の抗インフルエンザウイルス薬です。米国からの導入品ですが、日本人で約1,000例の治験を実施し、世界に先駆けて開発した準国産の新薬です(ただし、「タミフル」や「リレンザ」と作用機序が同じノイラミニダーゼ阻害薬)。
A型・B型インフルエンザウイルス感染症が適応で(C型には効果はありません)、「タミフル」の耐性例にも効果が得られています。約15分の点滴静注1回で十分な効果が得られます。
「ラピアクタ」は、インフルエンザウイルスの表面に存在する“ノイラミニダーゼ”という酵素を阻害する薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)です。ウイルスの増殖を促進させるノイラミニダーゼをブロックすることで、ウイルスの増殖を阻止してインフルエンザの発現や悪化を抑えます。
▼ラピアクタの特徴
「ラピアクタ」の特徴は、1回の投与で強力な抑制効果を持っていることです。「ラピアクタ」は「イナビル」や「タミフル」と同じノイラミニダーゼ阻害薬であり、同様の作用機序ですが、酵素の阻害個所が3つと多いため、より強力なインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が期待できます(標準使用300mg単回投与の場合、「タミフル」1日2カプセル5日間投与の約1.8倍)。
また、抗インフルエンザ薬の中で唯一の点滴薬(注射薬)なので、経口剤が服用出来ない状態の患者(衰弱した高齢者や喘息の人など)にも投与できるというメリットもあります。
▼異例の緊急収載
2010年1月、厚生労働省は「ラピアクタ」を薬価基準に緊急収載しました。通常承認には1年〜2年かかりますが、新型インフルエンザの流行が懸念されたため、異例のスピード承認となりました。薬価は点滴用バイアル150mgが3,117円、点滴用バッグ300mgが5,792円(2010年当時)。新薬ですが、既存薬と同じ作用機序ということで、限定的な薬価算定となりました。一年後には、治験データに基づいて小児適応が追加されました。
▼インフルエンザ薬の動向
日本では、インフルエンザウイルス感染症の治療として、「タミフル」(オセルタミビルリン)に代表される“ノイラミニダーゼ阻害薬”が広く処方されています。ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスの複製に欠かせないノイラミニダーゼという酵素を阻害することで、感染細胞内の新たなウイルスが細胞外に遊離するのを阻害し、ウイルスの増殖を抑制します。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、2000年頃から、飲み薬の「タミフル」と吸入剤の「リレンザ」(ザナミビル)が使われてきました。2010年には、単回点滴静注で効果を発揮する「ラピアクタ」(ペラミビル)が発売され、十年振りに選択肢が広がりました。
「イナビル」(ラニナミビル)は、既存の3製品に次ぐ第四のノイラミニダーゼ阻害薬です。吸入剤としては、「リレンザ」続く2番目の薬となります。
▼ラピアクタの副作用
「ラピアクタ」の主な副作用は、下痢、嘔吐、蛋白尿・好中球減少などの検査値の異常です。臨床試験では、成人で24.7%、小児で29.1%の割合で何らかの副作用が報告されています。
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、「!」エクスクラメーションマーク。一筆描きの線画イラストで、薬の特徴である“1回投与”を表現しています。
なお、「ラピアクタ」はこのキービジュアルで、2011年「第17回日経BP広告賞」最優秀医療広告賞を受賞しています。
一般名:ペラミビル水和物注射液
製品名:ラピアクタ 点滴用バッグ300mg、点滴用バイアル150mg
抗ウイルス剤/抗インフルエンザウイルス薬/ノイラミニダーゼ阻害薬
シオノギ製薬