エカード/Hybrid ARB

Hybrid ARB

2010年4月1日より投薬期間制限が解除されます。

▼エカードとは?

「エカード」は「ブロプレス」(カンデサルタン)の降圧配合錠で、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)と呼ばれる成分とチアジド系降圧利尿薬のふたつの成分を合わせて作った高血圧症治療薬です。

成分の1つは、ARBと呼ばれるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のカンデサルタン(製品名:ブロプレス)です。血圧が上がる原因のひとつ“アンジオテンシンⅡ”という物質を抑制する効果があります。アンジオテンシンⅡを抑制することで身体の血管が拡張し、更に水分や電解質のバランスが調整されることで、血圧が下がっていきます。心臓や腎臓などを保護するという特徴があるので、心臓に不安がある人や腎機能障害を持った人にも適した降圧剤です。

もうひとつは、昔から使用されているチアジド系降圧利尿薬のヒドロクロロチアジド。身体の余計な水分を尿として排出し、血圧を下げます。利尿剤は安価で、単独でも血圧を下げますが、他の降圧剤と併用することで効果を高めるという特徴があります。チアジド系の利尿薬は、特に塩分摂取が多い患者に使われています。

塩分摂取量の多い患者では、ARBやACE阻害薬が効きにくい場合があるので、そういうケースでは、まずチアジド系利尿薬が処方されています。最近出番は少ないのですが、大規模臨床試験で有効性が証明されている優良薬です。副作用も少なく、併用薬として優れています。

新しい成分と古い成分が同時に作用することで、相乗効果で血圧が下がるようになります。同時に、心臓や腎臓の負担が軽くなる効果も期待できます。日常的に血圧をコントロールすることは、脳卒中、心臓病、腎臓病のリスクを減らすことになり、寿命の伸びにつながっていきます。

▼ARB+利尿剤

“ARB+利尿剤”の配合剤は、一般的に第一選択薬(ファーストチョイス)とはせず、他の降圧薬で効果不十分な場合に使用することになっています。ARB+利尿薬の配合剤には、他に「プレミネント」「イルトラ」「コディオ」「ミコンビ(ミカトリオ)」などがあります。




▼ブロプレスファミリーとは?

「エカード」は「ブロプレス」(カンデサルタン)の配合錠で、「ユニシア」を含めたこの3製品は“ブロプレス・ファミリー”と呼ばれています。2015年度の売上は、ファミリー合計で585億円ありましたが、2016年度は後発品(ジェネリック)や薬価改定の影響で、148億円にまで落ち込んでいます(前年比−74.7%)。

ブロプレス・ファミリー 2015年度売上:585億円 2016年度売上:148億円
アジルバ・ファミリー 2015年度売上:590億円 2016年度売上:669億円

近年ではブロプレス・ファミリー(カンデサルタン)はその役目を終え、同じARBの“アジルバ・ファミリー”へとシフトしつつあります。なお、2015年度のアジルバ・ファミリー全体の売上は590億円、2016年度の売上は669億円と増加しています。

▼ブロプレスとは?

「ブロプレス」はARB(A-Ⅱ拮抗剤)と呼ばれる降圧剤です(国内2番目のARB)。血圧を上げる「アンジオテンシンII(ARB)」の抑制作用があります。血管が拡がり、心臓や腎臓の負担を軽くする効果も期待できます。高血圧、腎実質性高血圧に加えて、適応に【慢性心不全】があるのが特徴です。高血圧の治療に使用されていますが、心不全や腎臓の病気にも有効と考えられています。

いわゆるブロックバスターと呼ばれる大型製品で、2010年に限って言えば、すべての医薬品の中で日本で一番売れた薬となりました(2位は同じARBのディオバン)。ジェネリック(後発品)も各社から豊富に出ています。

▼ユニシアとは?

「ユニシア」は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)を配合した高血圧症治療薬です。

“ARB+Ca拮抗薬”の組み合わせは、日本で頻繁に使われている組み合わせで、相乗効果で強い降圧が期待できます。ただし、最初から使うのではなく、単剤服用で十分な効果が得られない場合に用いられています。

▼高血圧症の現在

高血圧症は世界で最も患者数が多い疾患であり、国内では約4300万人いると言われています。高血圧治療のガイドラインでは食生活の改善とともに薬物治療がメインとなっており、最近は作用機序の異なる薬剤を組み合わせた(高血圧の原因が複数存在するので)併用療法が推奨されていて、年々使用頻度が高まっています。日常的に血圧をコントロールすることは、将来的なリスク(脳卒中、心臓病、腎臓病など)を減らすことへ繋がります。

▼エカードの副作用

「エカード」の主な副作用は、倦怠感、めまい、頻尿、頭痛です。重い副作用はほとんでありません。

また、血液成分の異常が報告されています。どうしても血液検査で引っかかりやすいのは尿酸値の上昇です。カリウム値は上がることも下がることも、どちらもあります。血糖値は上がる傾向にありますが、糖尿病を併発している患者は、低血糖に注意しましょう。

腎機能が低下している患者は、服薬を始めたばかりの頃は、腎臓の数値が一時的に悪化するケースがあります。そのような時は、定期的に血液検査を受けて、高カリウム血症を予防する必要があります。極稀に、肝臓の機能が悪化する恐れがあります。心配な人は、定期的に肝機能検査を受診しましょう。

主な副作用 倦怠感、めまい、頻尿、頭痛
深刻な副作用 過度の血圧低下、ショック・アナフィラキシー、血管浮腫、腎臓の重い症状、肝臓の重い症状、高カリウム血症、低ナトリウム血症、血液成分の異常、間質性肺炎、横紋筋融解症、急性近視、閉塞隅角緑内障
その他の副作用 立ちくらみ、腎機能値の異常、低カリウム血症、高カルシウム血症、血糖値の上昇、尿酸値の上昇、痛風の発作、肝機能値の異常、発疹、光線過敏症

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、銀のカード。中央に「ブロプレス」のイメージを引き継いだダイヤモンドが刻まれています。

ビジュアルの“1/4 HCTZ”という表示は、利尿薬のヒドロクロロチアジドの含量(6.25mg)を表しています。これは通常量の1/4で、副作用が出にくい量とされています。

  

一般名:カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド
製品名:エカード配合錠LD, エカード配合錠HD
降圧剤/ARB・利尿薬配合剤/持続性アンジオテンシンII受容体拮抗薬/利尿薬配合剤
武田薬品工業

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