セルベックス/代表的な胃炎・胃潰瘍治療薬

▼セルベックスとは?

「セルベックス」は、胃の粘膜を丈夫にする胃薬で、胃炎や胃潰瘍の治療に処方されます。

【効能】
・胃潰瘍
・次の疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
・急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

「セルベックス」の主成分“テプレノン”は、胃酸に対する【防御因子増強】効果を持っています。胃炎や胃潰瘍の治療に広く使用されており、胃炎・胃潰瘍の分野では、頻繁に処方されている薬剤のひとつです。胃内部の荒れを緩和する目的で、強い作用の薬(鎮痛剤など)と一緒に処方されることも多いです。

「セルベックス」は、効き目は強くありませんが、その分副作用も少なく、安全性の高い薬です。副作用はほとんどありませんが、極稀に肝機能異常が表れる場合があります。

主な副作用 倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色
その他の副作用 肝機能異常

▼パリエットとは?

「パリエット」は、逆流性食道炎などの消化器疾患治療薬として1997年に発売されたプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。昔は胃潰瘍で手術するということもよくあったのですが、PPI製剤という強力な胃酸抑制薬が登場してから、胃の摘出手術は激減しています。

普段胃酸は、侵入してくる“菌”から胃腸を防御する重要な役割を果たしています。しかし、胃壁が弱っている時に胃酸が逆流すると、食道を傷つけたり、胸焼けを起こしたりします。「パリエット」には強力な酸分泌抑制の効果があり、胃酸の分泌を強くに抑え、胃酸によって起こる悪影響を軽減します。結果的に、逆流性食道炎や胃潰瘍の状態が良くなり、胃痛や胸焼けも軽減されます。アスピリンや鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)が原因で胃が荒れてしまった場合の痛みにも有効です。

PPIの他に胃酸の分泌を抑える薬には、H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)、M1ブロッカー(選択的ムスカリン受容体拮抗薬)があります。どちらも逆流性食道炎に効果がありますが、効果としては、PPI>H2ブロッカー>M1ブロッカーの順で強力です。治療の初期はPPI、長期の維持療法にはH2ブロッカーを使うのが一般的です。個人差もありますが、PPI製剤の中では「パリエット」が一番胃酸分泌抑制効果が強い薬と言われています。また、他の薬との相互作用(飲み合わせ)がないという特徴があり、広く使用されています。

▼他のPPI(プロトンポンプインヒビター)との違い

オメプラール 一番薬価が安いPPI
タケプロン OD錠あり。副作用が少ない
パリエット 効果が一番強い。薬価も高い(20mg)
ネキシウム 効果が速く強い
タケキャブ タケプロンの改良版。速効性で持続型

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、手塚治虫先生の鉄腕アトム(パリエット)と妹のウランちゃん(セルベックス)。「パリエット」をお兄ちゃん、「セルベックス」を妹に見立てて、ファミリーとして相乗効果を狙ったビジュアルです。

エーザイは50年以上前から消化器領域の医薬品の開発を手掛けており、1997年に発売された「パリエット」は世界的な製品にまで成長しました。「パリエット」と「セルベックス」合わせて、最盛期で1700億円の売上高があった主力製品です。

誰もが知っているアトムは身近な存在ですが、逆流性食道炎がどんな病気か知っている人は多くはないでしょう。知名度が高く、身近な存在である鉄腕アトムと一緒に、この病気をもっと広く知って欲しいという願いから起用されました。

手塚作品のキャラが漫画の世界を離れて医薬品広告と結びつき、人々の生活の中に入り込んでいるという事実は、作者と医薬品との素晴らしい関係性を表していると感じます。



一般名:テプレノン
製品名:セルベックスカプセル50mg、セルベックス細粒10%
消化性潰瘍用剤/防護因子増強薬/胃炎・胃潰瘍治療剤
エーザイ

一般名:ラベプラゾール ナトリウム
製品名:パリエット錠5mg,10mg,20mg
消化性潰瘍用剤/プロトンポンプ阻害剤/胃腸薬
エーザイ

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