新・メトホルミンはじまる。
2型糖尿病の基礎治療薬
▼メトグルコとは?
「メトグルコ」は、1961年から発売されている糖尿病治療薬です。「メルビン」という品名で発売されていましたが、2010年からメトグルコに名前が変わりました。インスリンに頼ることなく血糖を下げる「ビグアナイド(BG)系経口血糖降下薬」です。
ビグアナイド系経口血糖降下薬は、肝臓での糖が出来るのを抑制し、抹消組織で糖の取り込みを促進します。さらに小腸で行われる糖の吸収を抑制しながら血糖を降下させる薬です。
「メトグルコ」はメトホルミンの中でも、維持量750〜1500mg/日、最高投与量2250mg/日が認められた国内で唯一のメトホルミン製剤です。
2型糖尿病に薬を使う場合、まずメトホルミンを検討し、それがダメなら他の薬で代用する、というのが欧米のスタンダードとなっています。
▼糖尿病とは?
糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は遺伝性の疾患で(遺伝なので痩せている人や若い人もなります)、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。インスリン注射を打って、治療します。
一方で2型糖尿病は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「メトグルコ」は、2型糖尿病に対して使用する薬です。2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「メトグルコ」のような2型糖尿病治療薬が処方されます。つまり基本は食事+運動で、ダメなら投薬ということです。
▼良い糖尿病治療薬とは?
そもそも、良い2型糖尿病治療薬とは何でしょうか。血糖値を下げること? 血糖値を下げることは手段であって、最終的な目的ではありません。最終的な目的は、合併症のリスクを下げることです。糖尿病が原因で、末梢血管に障害が起こって足を切断することになったり、失明したりすることもあります(私の父親は糖尿病が原因で、足の小指と左目の視力を失いました・・・)。
更に、血液中で過剰になった糖分が血管にダメージを与えるせいで、動脈硬化が起こりやすくなります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中など、命を落とすリスクが高くなります。これらの病気は何としても避ける必要があるのです。つまり、糖尿病治療薬の最終目標は【QOLの維持と死亡率を減らす】ことなのだと云えます。
▼メトグルコの特徴
「メトグルコ」(メトホルミン)は2型糖尿病の治療薬の中でも50年以上の歴史を持つ古い薬です。従って、安全性・有効性のデータが豊富に存在します。既存のメトホルミン製剤は1日最高投与量が750mgですが、「メトグルコ」は1日最大2250mgまで投与可能なのが特徴です。
臨床研究の結果では、2型糖尿病に最も効果の高い薬はメトホルミンである、と言われています。日本で普及していない理由のひとつとして、副作用の“乳酸アシドーシス”が指摘されていますが、死亡率は10万人で年0.3人とかなり低いです。
2017年現在、米国内科学会(ACP)の発行するガイドラインでも、「メトグルコ」(メトホルミン)はいまだに第一選択薬として支持されています。しかし、日本ではDPP-4阻害剤が実質的な第一選択薬となる一方で、欧米ではSGLT2阻害剤の評価が高まっており、将来ガイドラインでメトホルミンが第一選択薬の座を明け渡す日も遠くないのかもしれません。
▼メトホルミンの禁忌が見直し(追記:2019年7月)
2019年6月、厚生労働省はメトホルミン含有製剤について、製品添付文書の「使用上の注意」を改訂するように通知しました。それによって、従来【禁忌】だった“腎機能障害”の患者にも状態によっては使用可能となります。
具体的には、いままで軽度〜中等度以上で【禁忌】とされていた腎機能障害を「重度の腎機能障害(eGFR 30mL/分/1.73m2未満)は【禁忌】」という内容に改められます。今回の改訂で、中等度の腎機能障害は【慎重投与】となり、1日の最高投与量の目安を設けることでカバーしていきます。
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、白いシャツとジーンズ姿の中年男性。非常にさわやかな印象を受けます。動きやすいジーパンは、糖尿病治療の基本である「適度な運動」を表現しています。
製品名:メトグルコ錠250mg、500mg
一般名:メトホルミン塩酸塩
ビグアナイド系経口血糖降下剤
大日本住友製薬