ガスター/低用量アスピリン潰瘍に新たな知見

低用量アスピリン潰瘍に新たな知見
FAMOUS Lancet 2009;374:119-25

▼ガスターとは?

「ガスター」は胃酸の分泌を抑える薬で、主に胃炎や胃潰瘍の治療に使用されていますが、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、急性胃炎など、幅広く用いられています。ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)と呼ばれる種類の薬で、日本人における有効性・安全性のエビデンスが豊富なことが特徴です(日本人は欧米人に較べて酸分泌能力が低く、ピロリ菌感染率が高い)。

1985年の発売から30年以上の実績があり、消化管疾患の治療に大きく貢献しています。現在ではOTC薬としても発売されて、一般的な認知度も高い薬剤です。

▼ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)とは?

H2ブロッカーの「ガスター」が開発される前は、消化性潰瘍に対する有効な治療が確立されておらず、胃潰瘍はストレスが原因とされて、心療内科的なアプローチが多かったり、手術で病因を摘出することが一般的でした。

1950年代に抗コリン薬が登場して、制酸薬と併用するようになりましたが、効果は限定的で、消化性潰瘍治療のエースとしては定着しませんでした。

1975年にアメリカのスミスクライン&フレンチ・ラボラトリーズ(現グラクソ・スミスクライン)が、胃の壁細胞のH2受容体に拮抗することで、強力な酸分泌抑制効果が得られることを発見し、世界初のH2受容体拮抗薬「シメチジン」を開発しました。それをきっかけに、1985年に日本で開発されたのが「ガスター」(ファモチジン)です。H2ブロッカーの登場で、消化性潰瘍で手術する時代は終わり、薬物療法中心の治療へと移行していきました。

ファシッド20mg(ガスタージェネリック)
ファシッド40mg(ガスタージェネリック)

▼ガスターの特徴

1990年代にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が登場し、ピロリ菌除菌療法が確立されたことで治療の主役が代わっていきましたが、「PPIは抗血小板薬クロピドグレル(プラビックスなど)との併用時に心血管イベントリスクが上昇する」という懸念があり、今でも「ガスター」は安全性の高い使いやすい薬として重宝されています。

「ガスター」は、他の併用薬の作用に与える影響が少ないこともメリットのひとつです。例えばプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、肝代謝を受ける薬剤の作用を阻害してしまう可能性がありますが、腎代謝される「ガスター」はそこでぶつかることがありません。

特に高齢者は、複数の薬剤を服用していることが多いので、主薬の作用を妨げずに消化管障害の副作用を抑制するという「ガスター」のような補助的な薬が求められています。

・日本人のエビデンスが豊富
・安全性が高い30年以上の実績
・薬物相互作用が少ない

▼低用量アスピリン潰瘍とは?

痛み止めや解熱剤として使われているアスピリン(非ステロイド消炎鎮痛薬)によって出来た潰瘍を、低用量アスピリン潰瘍と呼びます。

非ステロイド消炎鎮痛薬は胃粘膜を傷つけるだけでなく、胃を守る物質のプロスタグランジンを減少させたり、胃の胃粘膜の血流を悪くすることによって、潰瘍を起こすと考えられています。

胃潰瘍になりやすい患者が、どうしても低用量アスピリンを服用しなければならないケースでは、「ガスター」のような胃を守る薬を一緒に服用することが「胃潰瘍診療ガイドライン」で推奨されています。

▼主なPPI(プロトンポンプ阻害薬)



▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、Lancetに掲載された論文のイメージ。胃粘膜の血液の流れの良さをインパクトのあるCGで表現しています。

一般名:ファモチジン
製品名:ガスター錠10mg,20mg、D錠10mg,20mg、散2%,10%
消化性潰瘍用剤/H2遮断薬(H2ブロッカー)/受容体拮抗剤
/胃腸薬
アステラス製薬

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