ボトックス/毒素を使った筋弛緩薬

BOTOX

▼ボトックスとは?

「ボトックス」は、ボツリヌス菌と呼ばれる毒素を精製して造った毒薬(A型ボツリヌス毒素)です。眼の痙攣や顔面の痙攣、斜視など、ボツリヌス神経毒を応用し、神経と筋肉の間の伝達物質の放出を阻害することで、筋肉の過緊張を和らげる注射薬です。骨格筋弛緩剤であり、発汗抑制作用も有しています。

「ボトックス」の適応症は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上・下肢の痙縮、小児脳性麻痺による尖足で、健康保険が適用されています。講習・実技セミナーを受講して、認可を得た専門医のみが注射出来ます。

▼ボツリヌス菌とは?

1895年、ベルギーでソーセージ(ラテン語でボツルス)の中に食中毒を起こす細菌が発見され、ボツリヌス菌と命名されました。ボツリヌス菌は神経毒を分泌し、筋肉の麻痺を起こします。この菌から精製したボツリヌス毒素を使って、1970年代後半から海外で、斜視の治療などへの応用が始まりました。

1989年には米国食品医薬品局(FDA)の承認を得て、現在では臨床薬として世界70ヵ国以上で広く普及しています。日本国内では、1997年4月に製品名「ボトックス」(A型ボツリヌス毒素)として発売され、2000年に片側顔面痙攣、2001年に痙性斜頸への適応が追加されています。

さらに、2010年10月に上肢痙縮および下肢痙縮、2012年11月に重度の原発性腋窩多汗症、2015年6月には斜視の追加効能が承認されました。

▼ボトックス注射と美容

「ボトックス」は、“しわ取り”などの美容目的の使用が有名ですが、これは本来の保険適応疾患ではありません。「ボトックス」を美容目的で使用する場合は、保険適応外で自費治療となります。

▼ボトックスを使った治療(ボツリヌス療法)

「ボトックス」を使った治療を“ボツリヌス療法”と呼びます。対症療法なので、基本的には継続的な投与が必要になります。眼瞼痙攣および痙性斜頸は、寛解例も報告されています(ほとんどが再発し、完全寛解率は数%)。

投与の回数や間隔は患者の症状によって異なりますが、およその治療時間は、10~30分程度です。初回の注射前には、文書を使った説明があり、ボツリヌス療法への同意書が必要となります。

基本的には入院する必要はなく、すぐに帰宅することが出来ます。ただし、注射直後に体調が悪くなっていないか、必ず確認してください。

▼治療後の日常生活で注意する点

注射の翌日以降は、特に日常生活上の制限はありませんが、当日はいくつか注意点があります。

眼瞼痙攣、片側顔面痙攣の治療では、顔面に直接注射しますので、注射当日の洗顔と化粧は出来ません

痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症では、注射部位を掻いたりもんだりすることは避ける必要があります。入浴と激しい運動は禁止です。

また、「ボトックス」はアルカリで活性化が失われるので、注射部位を石鹸で洗わないように注意してください。

▼ボトックスの副作用

「ボトックス」の副作用は、いずれも軽度から中等度で、主な症状に、下肢の脱力、下肢の疼痛、注射部の痛み、筋肉痛、発疹があります。これらのほとんどの症状は、注射の効果が弱まるにつれて改善されていきます。

海外で実施された臨床検査における副作用発現率は31%(67/215例)でした。主な副作用としては、転倒(9%)、下肢の疼痛(2%)、下肢の脱力(2%)、全身の脱力(2%)が報告されています。

▼ボトックスのキービジュアル

「ボトックス」のビジュアルは、扉と風船。扉(治療)の向こうに青空(希望)が待っている、というイメージです。風船の登場は、気分を軽くするような明るい印象を受けます。

製品名:ボトックス注用 50単位,100単位
一般名:A型ボツリヌス毒素
A型ボツリヌス毒素製剤/骨格筋弛緩剤/筋弛緩薬/生物由来製品
グラクソ・スミスクライン

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