ジプレキサ/双極性障害における躁症状の改善での最初の非定型型抗精神病薬

双極性障害における躁症状の改善での最初で唯一の非定型型抗精神病薬(2010年10月現在、本邦において)

【双極性障害における躁症状の改善】の効能・効果が追加されました。

▼ジプレキサとは?

「ジプレキサ」は、心をおだやかにする薬です。統合失調症や双極性障害など、心の病気の治療に処方されています。別用途として、抗がん薬による悪心・嘔吐に対する標準薬としても使われています。とくに遅発性嘔吐に有効性が高いと言われています。

「ジプレキサ」は、従来の定型抗精神病薬に比べ、陰性症状に対する効果に優れています(一方、陽性症状に対する効果は低いので、急性増悪例には不向き)。

抗ドーパミン作用を主とする定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用が比較的少ないです。不安やうつ症状の軽減、再発予防効果なども期待できるので、長期の維持療法に適しています。

※双極性障害は、躁うつ病とも呼ばれる疾患で、症状として躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。

脳内のドパミン(D2受容体)を遮断することで、ドパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状を抑制します。また、セロトニン(5-HT2受容体)を遮断することで、ドパミン神経系の動きが活発になり、陰性症状の改善が期待できます。

さらに、アドレナリンやヒスタミン、ムスカリンなど、様々な受容体に作用することから、多受容体作動薬(MARTA:Multiacting Receptor Targeted Antipsychotic)と呼ばれています。

オランザピン10mg
オランザピン10mg(ジプレキサのジェネリック)

オランザピン20mg
オランザピン20mg(ジプレキサのジェネリック)

▼双極性障害の躁症状、その他の薬


▼ジプレキサの特徴

「統合失調症」の効能に加え、2010年に「双極性障害における躁症状の改善」の新効能が承認されました。2012年には「双極性障害におけるうつ症状の改善」の適応も追加。2017年には「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果を取得しました。

「ジプレキサ」は、セロトニン受容体とドーパミン受容体の他、様々な神経伝達物質の受容体に働くことで、躁症状とうつ症状の両方に適応する国内唯一の治療薬です(2012年現在)。効き過ぎによる【躁転】【鬱転】が少ないことも報告されています。

非定型抗精神病薬 躁症状とうつ症状の両方に適応
副作用が比較的少ない 長期の維持療法に適します
陰性症状:◎、陽性症状:△ 陽性症状に対する効果は低いので、急性増悪例には不向き
その他の効能・効果 抗がん剤が誘発する嘔吐に対する標準薬として推奨

▼ジプレキサの副作用

「ジプレキサ」の主な副作用は、眠気、立ちくらみ、めまい、口の渇き、便秘、動悸、体重増加、脂質異常症などです。飲み始めの頃は、強い立ちくらみに十分注意が必要です。女性の場合、高プロラクチン血症にともなう生理不順や乳汁分泌が現れることが報告されています。

従来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用(ふるえ、こわばり、ひきつけ、無表情、よだれなど)は少ないのですが、服用量が増えると、どうしても、錐体外路系の副作用(パーキンソン病のような症状)がでやすくなります。

滅多に起こりませんが、抗精神病治療薬には「悪性症候群」という注意が必要な副作用があります。また、長期服用時には「遅発性ジスキネジア」に注意が必要です。高齢者、身体の弱い方、薬の量を増やす時などは、事前に医師に相談してください。

重い副作用 高血糖、糖尿病性昏睡、低血糖、悪性症候群、肝臓の重い症状、遅発性ジスキネジア、痙攣、横紋筋融解症、麻痺性イレウス、無顆粒球症、白血球減少、静脈血栓症、肺塞栓症、遅発性の重い過敏症状
その他の副作用 錐体外路症状、眠気、傾眠、不眠、頭痛、めまい、不安感、興奮、抑うつ、幻覚の顕在化、食欲亢進、吐き気、食欲不振、口が渇く、便秘、目のかすみ、鼻づまり、立ちくらみ、動悸、不整脈、体重増加、脂質異常、高プロラクチン血症、生理不順、乳汁分泌

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、女性と暗い部屋。複数のブラウン管が不気味さを醸し出しています。幻覚妄想状態で顕在化した心象イメージです。

抗精神病薬の広告は、とにかく暗い印象になりがちですね。近年、ようやく明るさが感じられる前向きなデザインが増えてきました。


一般名:オランザピン
製品名:ジプレキサ錠2.5mg,5mg,10mg、細粒1%、ザイディス錠2.5mg,5mg,10mg
多受容体作動薬(MARTA)/非定型抗精神病薬/抗精神病薬・双極性障害治療薬
日本イーライリリー

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