サインバルタ/慢性腰痛症も承認された抗うつ薬

▼サインバルタとは?

「サインバルタ」は、憂鬱な気分を改善して、やる気を高める抗うつ薬です。うつ病のほかに神経の障害に関係する痛みの緩和にも使われています。ひとつは、糖尿病が原因で起こる“糖尿病性神経障害”です。神経を伝達する細胞の動きが悪くなると、手足が痺れたり、慢性的に痛みが取れません。「サインバルタ」は、そのような痛みに効果があり、糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対しては、世界中で第一選択薬(ファーストチョイス)として推奨されています。

神経系障害の痛みに関しては、2015年に“線維筋痛症に伴う疼痛”、2016年に“慢性腰痛症に伴う疼痛”とその後も適応が拡大しています。市場規模が大きいアメリカでは、「サインバルタ」の処方数のうちの50%以上がうつ病ではなく“疼痛”として使われているということです。

「サインバルタ」は、国内で2番目に開発されたSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる薬で、セロトニン系とノルアドレナリン系の神経にだけ作用するのが特徴です。新しいSNRIに分類される薬で、三環系抗うつ薬と比較して安全性は高いと言われています。セロトニン系とノルアドレナリン系の神経にだけ作用することで、一般的なうつ病の薬に多い“口渇”“便秘”といった副作用が軽減されました。成分が身体の中でゆっくりと代謝されるので、1日1回の服用で済むというメリットもあります。

効果は比較的マイルドで、強くはありません。そのため、他の薬で副作用が懸念されるケースや思った効果が得られないケースの第二選択薬として処方される場合が多いようです。

サインバルタ30mg
サインバルタ60mg
サインバルタジェネリック40mg
サインバルタ30mg

▼神経性障害疼痛治療剤の売上

年度 2013年 2014年 2015年
リリカ 487億円 634億円 702億円
ノイロトロピン 198億円 191億円 188億円
サインバルタ 未発売 未発売 10億円


▼パキシルとの違い

「サインバルタ」も「パキシル」も同じ抗うつ薬で、「サインバルタ」の方が新しく開発された製剤です。「サインバルタ」は、SNRIと呼ばれる種類でセロトニンとノルアドレナリンの機能を高めます。「パキシル」はSSRIと呼ばれる種類でセロトニンの機能を高めます。機序の違いは、ノルアドレナリンに作用するかしないかということです(セロトニンには気持ちを穏やかにする効果があると言われ、ノルアドレナリンには意欲を高める効果があると言われています)。効果や副作用は、人によって千差万別です。「サインバルタ」が合う人もいれば、「パキシル」の方が合う人もいます。

▼その他のSNRI

▼適応追加:慢性腰痛症に伴う疼痛(2016年3月追記)

「サインバルタ」は、2016年に“慢性腰痛症に伴う疼痛”の適応が追加となりました。「サインバルタ」は本来うつ病の薬として開発されましたので、重篤な副作用として、自殺念慮や自殺企図、敵意や攻撃性などといった精神神経系のリスクが懸念されています。そういった経緯から、厚労省は適正使用への留意を求める通知を出して、注意を呼びかけています。

※「サインバルタ」を投与する際の留意点
1.最新の診断基準に基づき慢性腰痛症と診断した患者に限定して投与すること。
2.精神神経系の副作用発現リスクを考慮し投与の適否を慎重に判断すること。

▼再審査期間が2年延長(2017年9月追記)

厚生労働省は、「サインバルタ」の再審査期間を2020年1月まで2年延長すると通達しました。主な理由は、“うつ病についての小児の用法・用量の設定を見極めるための措置”ということです。これによって、再審査期間は当初の2018年1月までの8年から10年間へ延長となりました。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、笑顔の女性。日常のスナップ写真で、“憂鬱な気分から笑顔になってゆくストーリー”を紙芝居のように表現しています。

患者の行動をストーリーで考え、製品の特徴をより深く理解してもらう、という手法です。製品名の認知だけでなく、使ってもらった場合の道筋をイメージとして示すことで、「サインバルタ」の価値を伝え、行動を誘発していく狙いがあります。

一般名:デュロキセチン塩酸塩
製品名:サインバルタカプセル20mg,30mg
神経系用剤/抗うつ剤(SNRI)/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤/慢性腰痛症に伴う疼痛
シオノギ製薬
日本イーライリリー

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