ノイロトロピン/抗炎症薬と異なる作用機序

慢性化しやすい痛みに

腰痛症、頸肩腕症候群、変形性関節症、帯状疱疹後神経痛、肩関節周囲炎

▼ノイロトロピンとは?

「ノイロトロピン」は、神経痛を緩和させる薬です。1950年に注射剤がアレルギー性鼻炎などの適応で発売されましたが、1988年に疼痛の適応を持った錠剤を発売しました。1999年には帯状疱疹後疼痛の適応が拡大されました。

昔からある薬でジェネリック医薬品も販売されていますが、長い実績があるため、現場からの高い信頼を集め、切り替えは最小限にとどまっています。製造販売元の日本臓器製薬にとっては、高い売上を誇る主力製品とです。

“慢性疼痛”とは、3ヵ月以上続く非がん性の疼痛のことを指し、線維筋痛症、帯状疱疹後疼痛などが含まれます。

▼ノイロトロピンの特徴

「ノイロトロピン」は、【下行性疼痛抑制系賦活型疼痛治療薬】と呼ばれる薬剤(非オピオイド系、非シクロオキシゲナーゼ阻害薬)で、通常の鎮痛薬や抗炎症薬(NSAIDs)とは作用機序が異なるのが特徴です。

「ノイロトロピン」は、痛みの神経の感度を低下させることで、鎮痛効果を発揮します。得意な作用機序を持っているため、主に一般的な鎮痛薬が効きにくい神経性の痛みに使用されています。炎症などの急性の痛みよりも、慢性的な痛み(足腰や肩の痛み、しびれ、冷感、帯状疱疹後の痛み)などに適しています。

整形外科や麻酔科領域をメインとして、腰痛症や頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、帯状疱疹後神経痛といった治療に使用されることが多い薬です。

▼痛みには2種類ある

基本的に痛みは、急性疼痛と慢性疼痛に分類されます。通常、急性疼痛は組織の損傷による痛みで、慢性疼痛は組織が治癒しても更に継続する痛みとされています。国内では、2,200万人が痛みによる生活の質(QOL)の低下に悩まされており、社会生活に支障をきたしていると考えられています。

日本の疼痛治療では長年、抗炎症薬(NSAIDs)が汎用されてきましたが、「ノイロトロピン」はNSAIDsとは異なる作用機序によって、腰痛症、変形性関節症、関節リウマチ、帯状疱疹後神経痛などのさまざまな慢性疼痛症状(がんの疼痛は除く)に対して、改善効果が期待できます。

▼ノイロトロピンとリリカの違い

日本ペインクリニック学会は発表している「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」において、「リリカ」は第一選択薬、「ノイロトロピン」は第二選択薬と位置づけられています。

リリカ」も神経痛をやわらげる薬で、主に神経障害性疼痛に用いられます。痛みを伝える神経が傷ついていることで起こる痛みや、中枢性疼痛という脳や脊髄が要因となっている痛みに効果を発揮します。もともとは、けいれんを改善する薬でした。

「リリカ」は腎代謝のため、腎臓の機能が低下している患者は、注意が必要です。また、傾眠や眠気といった副作用の頻度が高いことが知られています。

「ノイロトロピン」は、帯状疱疹後神経痛に対するエビデンスが豊富というのが特徴です。腰痛症、変形性関節炎にも有効性が示されています。また副作用がほとんどないので、使い勝手の良い薬として重宝されています。

リリカ 神経障害性疼痛の第一選択薬。傾眠・眠気の副作用頻度が高い。
ノイロトロピン 帯状疱疹後神経痛に対するエビデンスが豊富。副作用がほとんどない。


▼神経性障害疼痛治療剤の売上

年度 2013年 2014年 2015年
リリカ 487億円 634億円 702億円
ノイロトロピン 198億円 191億円 188億円
サインバルタ 未発売 未発売 10億円

▼ノイロトロピンの副作用

「ノイロトロピン」は副作用がほとんどなく、高い安全性が認められている薬です。長期間の使用でも問題ないでしょう。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、適応を分かりやすくアイコン風のイラストで表現したビジュアルです。

モノクロの方(2010年の古いビジュアル)は、神経の上に音叉があり、そこに妖精が魔法をかけています。独特な作用機序をイラストで表現したビジュアルです。

一般名:ノイロトロピン
製品名:ノイロトロピン錠4単位、ノイロトロピン注射液3.6単位
慢性疼痛/解熱鎮痛消炎剤/下行性疼痛抑制系賦活型疼痛治療剤/非オピオイド系、非シクロオキシゲナーゼ阻害薬
日本臓器製薬


 

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