1日1回で目標値へGo down
高尿酸血症治療はフェブリクで
2012年4月1日投薬期間制限解除
▼フェブリクとは?
「フェブリク」は、尿酸値を下げる薬です。痛風・高尿酸血症治療薬は、大きく分けて2種類あります。尿酸の生成を抑制するか、尿酸の排泄を改善するかという2つです。つまり、入口を直すか出口を良くするかということです。「フェブリク」は“尿酸生成抑制剤”に分類されます。
痛風や高尿酸血症の患者は、身体の中で尿酸が作られ過ぎたり、不要となった尿酸がきちんと体外へ排泄されなくなることで、尿酸値が高くなっています。「フェブリク」は、身体の中で作られる尿酸の量を抑えることによって、結果的に尿酸値を下げる効果があります。
▼尿酸値とは?
“尿酸”は、ヒトの身体の中に常に存在している物質で、作り出される量と体外へ排泄される量のバランスによって、常に体内で一定量に保たれています。ちなみに、尿酸の材料となるのが“プリン体”と呼ばれる物質で、尿酸はプリン体を代謝した際に生じる老廃物(燃えかす)です。
尿酸値を6.0mg/dL以下に保つと、身体にたまっている尿酸の結晶が減り、痛風の発作が起こりにくくなります。 また、高尿酸血症に合併しやすいと言われている生活習慣病、慢性腎臓病、心筋梗塞や脳卒中などのさまざまな病気を予防することへもつながります。
痛風発作は尿酸値が高いときもそうですが、急激に下がったときにも起きやすくなります。そこで、「フェブリク」を飲み始めるときは、痛風発作を避けるために少ない量から始め、目標の尿酸値に下がるまで段階的に投与量を増やしながら、ゆっくり下げていきます。
▼治療ガイドライン、8年ぶりに改訂(追記:2019年1月)
2018年12月末、⽇本痛⾵・核酸代謝学会が発行する「⾼尿酸⾎症・痛⾵の治療ガイドライン」が8年ぶりに改訂(第3版)されました。
近年のトレンドに合わせて、尿酸値だけではなく、“脳・⼼⾎管イベントの予防”や“腎機能障害への影響”などが盛り込まれています。
また、従来の病型分類は、【尿酸産⽣過剰型】と【尿酸排泄低下型】の2つの型だけでしたが、改訂されたガイドラインには、腸からの排泄低下により⾎清尿酸値が上昇するという【腎外排泄低下型】が新たに追加されました。
今回の改訂で特に重要なポイントは、下記のクリニカルクエスチョン(第2章に掲載)です。
【1】 腎障害を有する⾼尿酸⾎症の患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?
【2】 ⾼尿酸⾎症合併⾼⾎圧患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?
⽇本痛⾵・核酸代謝学会は、“腎機能低下を抑制する⽬的での尿酸降下薬の使⽤”を条件付きで推奨しています。これは、欧⽶のガイドラインでは推奨されていない日本独自の推奨です。
⼀⽅、“⼼⾎管発症リスクの軽減を⽬的とした尿酸降下薬の使⽤”は、条件付きで推奨されません。降圧薬使⽤中の⾼⾎圧患者では、痛⾵や腎障害を合併しやすいため、痛⾵や腎障害の抑制を⽬的に尿酸降下薬の投与が推奨されています。
▼フェブリクの特徴
「フェブリク」は高尿酸血症改善薬の中で、尿酸産生過剰型に適しています。尿中に排出される尿酸が減少するので、尿路結石を併発している場合にも効果的です。また、尿酸産生過剰型以外の病型に対しても有効で、副作用を増加させることがないと報告されています。痛風関節炎や痛風結節のほか、まだ具体的な病状がない無症候性高尿酸血症(8~9mg/dL以上)にも適応します。
「フェブリク」の有効成分フェブキソスタットは、キサンチンオキシダーゼ(XOD)を阻害して尿酸の産生を阻害する性質を持っています。従来の痛風治療薬は、腎臓から排泄されるために、腎機能が低下している場合は、皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死症という致死性の深刻な副作用が起こる可能性がありました。
「フェブリク」の主な代謝経路は腎排泄ではなく、胆汁排泄です。胆汁排泄と腎臓の複数の排泄経路を有する【多排泄経路】で、糞中と尿中にバランス良く排泄されるため、腎機能が低下した患者にも使えるというメリットがあります。つまり、中等度までの腎障害例において、“用量調整(減量)の必要なく使用可能”ということです。相互作用が少ないことも特徴です。
1.「高尿酸血症」を適応症とする本邦初の薬剤です。
2.血中尿酸値を治療目標値まで低下させ、長期に維持することが可能です。
3.軽度から中等度の腎機能低下例においても、通常用量で有効性と忍容性が示されました。
4.新しい阻害機序を有する、1日1回投与のキサンチンオキシダーゼ阻害剤(XOI)です。
5.承認時までの安全性評価対象1,027例中228例(22.2%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められました。
「フェブリク」を服用したばかりだと、逆に痛風発作を起こしてしまうことが報告されています。尿酸の結晶が関節から溶け出す影響です。この発作は尿酸値が改善する過程ですから、ある程度我慢してもらうしかありません。その後は、自然に発作が起こらなくなります。
▼フェブリクの副作用
「フェブリク」の副作用として、倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる、全身の皮疹や発疹、動悸、多汗、下痢や便秘などが報告されています。
男性として気になる副作用は「脱毛」ですが、これは“頻度不明”ということで、それほど心配は要りません。添付文書の改訂(2016年5月)で追加された副作用です。【頻度不明】は分かりにくい表現ですが、ここではあまり見られない副作用として分類されています。
重大な副作用 | 悪心、過敏症、肝機能障害、筋肉痛、傾眠、口渇、紅斑、心電図異常、白血球数減少、発疹、皮膚そう痒症、頻尿、腹痛、腹部不快感、浮動性眩暈、手足のしびれ感、血中クレアチニン増加、血中トリグリセリド増加、血中尿素増加、血中カリウム増加 |
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主な副作用 | 下痢、倦怠感、四肢不快感、四肢痛、発疹、肝機能検査値異常、関節痛 |
その他の副作用 | 蕁麻疹、頭痛、脱毛、動悸、尿量減少、貧血、浮腫、味覚異常、血小板数減少、γ-GTP増加、ALT増加、AST増加、GOT増加、GPT増加、尿中β2ミクログロブリン増加、CK増加、CPK増加、CRP増加、TSH増加、全身性皮疹、β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、痛風関節炎 |
▼高尿酸血症治療剤・痛風治療剤の市場
高尿酸血症治療剤・痛風治療剤の市場は、全体で350億円を超えると言われています(2016年現在)。「フェブリク」は、その中でも230億円を超える圧倒的な売上を誇り、痛風市場で独り勝ちの状態が続いています。
世界的に治療薬の種類が少なかった高尿酸血症・痛風治療の領域において、約40年ぶりに日本発の革新的な新薬が誕生したということで、「フェブリク」は伝統と権威のある“第64回大河内記念賞”を受賞しています。
フェブリク | 2016年度売上:230億円 |
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ザイロリック | 2016年度売上:46億円 |
ウリアデック&トピロリック(併売品) | 2016年度売上:20億円 |
ユリノーム | 2016年度売上:14億円 |
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、【エスカレータ】です。記された数字は、“血清尿酸値”ですね。中年男性がエスカレータで“目標値(6mg/d)”まで降りている様子を描いています。上にいる人ほど、太っているように見えます。とても分かりやすくスマートにまとまった広告だと思います。エスカレータや階段というアイテムは、使い古されたビジュアルで全体が古臭くなりがちですが、CGの処理で巧くカバーしています。
一般名:フェブキソスタット
製品名:フェブリク錠10mg,20mg,40mg
痛風治療剤/非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤/尿酸生成抑制薬
帝人ファーマ