トピロリック/24時間、尿酸マネジメントへ

24時間 尿酸マネジメントへ
痛風の既往又は合併症を有する高尿酸血症の患者さんに

▼尿酸とは?

“尿酸”は、ヒトの身体の中に常に存在している物質で、作り出される量と体外へ排泄される量のバランスによって、常に体内で一定量に保たれています。尿酸は生物の情報(DNA)とエネルギー物質の最終産物であると言われています。

遺伝子を構成するDNAとエネルギーが分解されると尿酸ができます。尿酸の材料となるのが“プリン体”と呼ばれる物質で、人体の情報やエネルギーを受け持つプリン体が分解されてできた老廃物(燃えカス)が“尿酸”ということです。

実は、尿酸はほとんどの生き物では分解され、身体には溜まりません。しかし人間(と一部の霊長類)は、尿酸を分解する酵素(尿酸酸化酵素)が遺伝的に欠落していて(遺伝子自体は存在しますが、壊れている)、尿酸がたまる傾向があります。

一般的に、ヒトの身体では一日約0.6gの尿酸が作られ、腎臓を介して尿として排泄されます。尿酸の産出が多くなったり、排泄量が低下すると尿酸は体内に蓄積し、痛風の発作を起こしやすくなります。

尿酸値を6.0mg/dL以下に保つと、身体にたまっている尿酸の結晶が減り、痛風の発作が起こりにくくなります。 また、高尿酸血症に合併しやすいと言われている生活習慣病、慢性腎臓病、心筋梗塞や脳卒中などのさまざまな病気(メタボリックシンドローム)を予防することへもつながります。

▼高尿酸血症とは?

高尿酸血症は、高血圧や脂質異常との関連性が指摘されており、放っておくとメタボリックシンドロームや動脈硬化のきっかけとなる症状です。主に、痛風関節痛や痛風結節の原因(尿酸塩の沈着に関わる症状)として認知されています。痛風を含めた高尿酸血症の患者は、国内では約1600万人と言われています。

高尿酸血症の治療は、尿酸生成抑制薬「フェブリク」(フェブキソスタット)や「ザイロリック」(アロプリノール)、尿酸排泄促進薬「ユリノーム」(ベンズブロマロン)を使用した“尿酸降下療法”が基本となっています。


▼トピロリックとは?

高尿酸血症治療薬「トピロリック」は痛風の治療剤で、尿酸生成を抑制する薬です。痛風患者の大半は高齢の男性ですが、閉経後の女性にも多いと言われています。「トピロリック」の競合品としては、「フェブリク」、「ザイロリック」、「ユリノーム」などがあります。

「トピロリック」は、「ザイロリック」などと同じく、キサンチンオキシダーゼ(XOD)を阻害することで尿酸生成を阻害する【尿酸生成抑制薬】と呼ばれる薬です。しかし「ザイロリック」とは違い、キサンチンオキシダーゼ(XOD)以外の核酸代謝酵素を阻害しないことから【選択的XOD阻害薬】に分類されています。【選択的XOD阻害薬】としては、2011年に発売され圧倒的シェアを誇る「フェブリク」と同じということになります。

「トピロリック」は、従来品の「ザイロリック」と「フェブリク」の両方の効果(尿路結石にも有効、腎機能低下でもOK)を持つハイブリッド型の尿酸生成抑制剤として開発された薬剤です。

痛風・高尿酸血症治療薬には、大きく分けて2種類あります。尿酸の生成を抑制するか尿酸の排泄を改善するかという2つです。つまり、入口を直すか出口を良くするかということです。「トピロリック」は“尿酸生成抑制剤”に分類されます。

痛風や高尿酸血症の患者は、身体の中で尿酸が作られ過ぎたり、不要となった尿酸がきちんと体外へ排泄されなくなることで、尿酸値が高くなっています。「トピロリック」は、身体の中で作られる尿酸の量を抑えることによって、結果的に尿酸値を下げる効果があります。尿に排出される尿酸が減少するので、尿路結石を合併している場合にも適しています。

「トピロリック」は肝代謝型(胆汁排泄)なので、腎臓が弱っている人にも使いやすいのが特徴です(糞中と尿中にバランス良く排泄される)。「トピロリック」は、1日2回投与で血中尿酸値を治療目標値まで低下させ、長期間血中尿酸値を維持することが可能で、軽度~中等症の腎機能が低下した患者にも、用量調節(減量)せずに通常用量で使えます。ただし、重度腎障害のある患者には安全性が確立していないので慎重に処方する必要があります。

▼トピロリックの副作用

「トピロリック」の主な副作用は、痛風関節炎(10.0%)、ALT増加(7.5%)、β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加(7.0%)、α1ミクログロブリン増加(5.9%)、AST増加(5.1%)です。重大な副作用として肝機能障害(2.9%)、多形紅斑(0.5%以下)が報告されています。

併用禁忌としては、同じ選択的XOD阻害薬の「フェブリク」と同様に、XOD阻害作用による骨髄抑制などの副作用増強が報告されているため、「ロイケリン」(メルカプトプリン)と「アザニン」「イムラン」(アザチオプリン)が併用禁忌薬剤です。

▼ウリアデックとトピロリック

「ウリアデック」と「トピロリック」は製品名は違いますが、“トピロキソスタット”という同じ有効成分の同じ薬(1物2名称製品)です。製造販売元が、ウリアデック=三和化学、トピロリック=富士薬品とファイザー(プロモーション)という違いがあります。

1物2名称製品は、医療用医薬品の世界では良くあることで、“併売品”と呼ばれています。なぜ一物二名称の医薬品が多く存在するのかという理由は、患者にとってのメリットはほとんどなくて、各社のビジネス的な思惑が大きいと言えます(販売経路や領域の得意・不得意など)。

「ウリアデック」「トピロリック」は、もともと富士薬品において創製されました。富士薬品は、配置薬の販売やドラッグストアを経営する企業ですが、医療用医薬品の研究開発を行っていました。新薬の開発というのは、何十年という長い開発期間と何百億円もの費用がかかる事業です。世界的な大企業でもなかなか新薬の開発が進まない中、配置薬の会社が創薬するというのは途方もない夢物語でした。しかし、“瓢箪から駒”という感じで、本当に薬が出来てしまったのです。それが、高尿酸血症治療薬“トピロキソスタット”(ウリアデック、トピロリック)です。

そのような経緯で開発された薬ですので、自社だけでは製品化が難しく、試験の段階から製薬企業の協力を受けることとなります。そうして、第Ⅲ相試験から開発に参加したのが「ウリアデック」の販売元である三和化学です。

富士薬品には、医療用医薬品の販売経路もプロモーションのノウハウもなかったので、「ウリアデック」という製品名で三和化学に製造販売を任せ、自社ではファイザーと提携して「トピロリック」という名称で製造販売を行うことになりました。このようにして、ふたつの製品が併売されることになったのです。

▼治療ガイドライン、8年ぶりに改訂(追記:2019年1月)

2018年12月末、⽇本痛⾵・核酸代謝学会が発行する「⾼尿酸⾎症・痛⾵の治療ガイドライン」が8年ぶりに改訂(第3版)されました。

近年のトレンドに合わせて、尿酸値だけではなく、“脳・⼼⾎管イベントの予防”や“腎機能障害への影響”などが盛り込まれています。

また、従来の病型分類は、【尿酸産⽣過剰型】【尿酸排泄低下型】の2つの型だけでしたが、改訂されたガイドラインには、腸からの排泄低下により⾎清尿酸値が上昇するという【腎外排泄低下型】が新たに追加されました。

今回の改訂で特に重要なポイントは、下記のクリニカルクエスチョン(第2章に掲載)です。

【1】 腎障害を有する⾼尿酸⾎症の患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?
【2】 ⾼尿酸⾎症合併⾼⾎圧患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?

⽇本痛⾵・核酸代謝学会は、“腎機能低下を抑制する⽬的での尿酸降下薬の使⽤”を条件付きで推奨しています。これは、欧⽶のガイドラインでは推奨されていない日本独自の推奨です。

⼀⽅、“⼼⾎管発症リスクの軽減を⽬的とした尿酸降下薬の使⽤”は、条件付きで推奨されません。降圧薬使⽤中の⾼⾎圧患者では、痛⾵や腎障害を合併しやすいため、痛⾵や腎障害の抑制を⽬的に尿酸降下薬の投与が推奨されています。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは“24時間、尿酸マネジメント”ということで、中年サラリーマン男性の1日の様子を描いています。“24時間”をテーマにして、出勤から犬の散歩、仕事や通院まで、仕事や趣味や飲み会を楽しむ姿が、映画のコマ送りのように描かれています。日常生活の一部として「トピロリック」を服用することによって、いつもの日常を過ごせるというイメージです。同一モデルで1日分のシチュエーションを撮影するのは大変なことだと思いますが、コマーシャルを視ているような気分にさせるユニークな広告です。同じような手法を使っている製品に「レルベア」があります。

一般名:トピロキソスタット
製品名:トピロリック錠20mg,40mg,60mg
高尿酸血症治療剤/非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤
痛風治療剤/選択的XOD阻害薬
富士薬品
ファイザー(プロモーション提携)

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