ペグイントロン/週1回のインターフェロン

Pegintron

▼ペグイントロンとは?

「ペグイントロン」は、インターフェロン(IFN)製剤と呼ばれるC型肝炎を治療する注射剤です。

肝炎はウイルスによって発症する病気です。“ウイルスを肝臓から駆除する”方法として、インターフェロンという蛋白質を利用します。インターフェロンは、人が病原菌に感染した時に放出される物質のひとつで、ウイルス増殖を邪魔したり、ウイルスの合成を阻害したりします。

「ペグイントロン」は抗ウイルス薬とは違って、インターフェロンそのもので直接ウイルスを攻撃するわけではありません。ウイルスを駆除するための身体の仕組みをインターフェロンが補助して、免疫機能を活性化させるというイメージです。

▼ペグインターフェロンの誕生

インターフェロンという物質は蛋白質なので、身体の中で自然に分解されていきます。そのため、従来のインターフェロン療法では、毎日(週3日場合もあり)注射しなければなりませんでした。

そこで、薬の効果が持続するように、血液中のインターフェロン濃度が安定するように改良したのが「ペグイントロン」です。一般的に“ペグインターフェロン”と呼ばれています。インターフェロンの注射の頻度を週1回に減らすことで、患者の負担を大幅に軽減しました。

▼C型肝炎とインターフェロン療法

日本のC型肝炎患者のほとんどは、C型肝炎ウイルス(HCV)が発見される以前に、輸血や献血での注射針の使い回しで感染したと考えられています。予防接種の注射器の使いまわしは、1948年頃に始まり、1988年まで続いていました。そういった経緯で、50〜80歳代の患者が多いのが特徴です。現在では、日常生活でC型肝炎ウイルスに感染するリスクは、ほとんどないと言われています。

日本国内のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は、190〜230万人と言われています。C型肝炎は、血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染することによって起こる炎症性の病気です。C型肝炎ウイルスに感染した人の約70%が、持続感染に移行して、やがてC型慢性肝炎となります。C型肝炎が慢性化すると、感染に伴う炎症が続くことによって、最終的に肝硬変や肝臓癌へと進展してしまいます。

1992年頃から、インターフェロン療法が承認されて、治療が行われましたが、治療が完了してからもウイルスが陰性のまま潜伏するなど、薬が効果的だった割合はわずか数%という悲惨な状況が続きました。

21世紀に入り、インターフェロン製剤とリバビリンの併用が有効だということが判り、2004年には持続型のペグインターフェロンが開発されました。MSD社のペグインターフェロン製剤「ペグイントロン」と同社のリバビリン製剤「レベトール」との併用で、それまでわずか数%だったC型肝炎の著効率が約50%まで向上しました。

さらに、「ペグイントロン」「レベトール」に次ぐ薬剤としてDAA(Direct-Acting Antivirals)の開発が行われ、C型肝炎治療の効果はさらに高まりました。プロテアーゼ阻害剤である“テラプレビル”が2011年11月に発売、第2世代のプロテアーゼ阻害剤として、“シメプレビル”が2013年11月、そして“バニプレビル”が2014年11月に発売され、「ペグイントロン」「レベトール」の3剤併用療法が“ジェノタイプ1で、なおかつ高ウイルス量”の患者に対して可能となりました。また、2014年9月には注射不要で、飲み薬のみの治療も行えるようになっています。

【DAA:Direct Acting Antivirals】
C型肝炎ウイルスが増殖する時に必要な酵素の働きを阻害し、肝細胞の中でウイルスが増えるのを抑制する薬のこと。ウイルスに直接働くことから、「直接作用型抗ウイルス薬」と呼ばれる。

▼ジェノタイプとは?

C型肝炎治療薬には、“ジェノタイプ1型向け”“ジェノタイプ2型向け”が存在します。ジェノタイプというのは“遺伝子型”のことで、ウイルスの遺伝子(塩基配列)による分類のことです。日本人のC型肝炎患者の70%がジェノタイプ1型だと言われています。

しかし、インターフェロンやリバビリンを含む治療法では、副作用が高頻度で出現するため、患者にとっては身体的にも精神的にも重い負担となっています。

▼ペグイントロンの副作用

「ペグイントロン」は、使用方法や病気の種類によって、起こりやすい副作用や重篤な副作用に違いがあります。インターフェロン療法の開始直後は、発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、不快感、筋肉痛といったインフルエンザに罹ったような重い副作用があらわれます。副作用がひどくて、治療を断念する人もいます。

ペグイントロン単独で使用した場合の主な副作用 発熱、頭痛、倦怠感
レベトールと併用した場合の主な副作用 貧血、発熱、倦怠感、不眠症、そう痒感

▼主なインターフェロン・フリー製剤

現在では、インターフェロン不使用で副作用の少ない画期的なC型肝炎治療薬が登場しています。代表的な薬の「ハーボニー」は非常に優れた薬ですが、1錠当たり6〜8万円もする大変高額な薬剤です。




▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、ライトセーバー(光る刀)でアルファベットの“C”を切る女性。映画「バイオハザード」の主人公のようです。メッセージが非常に明快で、表現に力強さを感じます。



一般名:ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)
製品名:ペグイントロン皮下注用50μg/
0.5mL用/100μg/0.5mL用/150μg/0.5mL用
注射用ペグインターフェロンα-2B製剤/C型肝炎治療薬
MSD

関連記事

カテゴリー

スポンサードリンク