アイミクス/高血圧治療に愛を

高血圧治療に愛を

▼医薬品の広告計画

承認前なので製品名が出ていませんが、降圧薬の「アイミクス」のティザー広告です。映画の予告編のような期待感を煽る効果があります。

「ティザー効果」というのは、対象に少しずつ接することでいつの間にか親しくなる、という心理状態のことです。映画のプロモーションで頻繁に使われている心理学の手法です。「アイミクス」のビジュアルもそういった効果を狙っています。

なぜジャングルのシルエットが描かれているのかというと、承認後に手塚治虫先生の名作“ジャングル大帝”のキービジュアルへと繋がっていくからです。手塚治虫先生が医者(医学博士)だった、ということもあり、「鉄腕アトム(パリエット)」「ブラックジャック(プラザキサ)」など、手塚先生の存在は医療広告の世界でも重宝されている存在です。



通常、医薬広告の世界では【ティザー広告(製品名なし】」→【発売準備中(薬価未収載)】→【新発売(薬価収載)】→【投薬期間制限解除】→【記事広告など】→【1周年】→【規格追加、適応追加など】→…という流れが一般的です。なぜかというと、広告計画を立案するのには年間の総予算があり、新製品の上市の場合は、出稿時期など一年間の流れがあらかじめ決まっているからです。

効果的な広告効果を得るためには、媒体(専門誌や学会誌、webやダイレクトメールなど)のメディアミックスを考慮しながら、出稿時期や露出度、コストを調整していきます。

▼アイミクスとは?

「アイミクス」は、日本で高血圧治療に頻繁に使われているアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のイルベサルタン(アバプロ、イルベタン)と、持続性Ca拮抗薬のアムロジピン(アムロジン、ノルバスク)の配合剤です。ARB+カルシウム拮抗剤としては、国内で5番目の合剤ということで遅れを取り戻すためなのか、かなり派手に広告展開しています。“大型製品は通常の倍の予算を掛けろ”というセオリーに則り、特許の切れた「アムロジン」などの旧主力製品の売上をカバーする狙いです。

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬の組み合わせは重宝されていて、降圧効果の増強が見込まれます。イルベサルタンは長時間型が特徴で、降圧効果が24時間持続します。一方のアムロジピンは、非常に多く使われているカルシウム拮抗薬です。長時間作用型で、ゆっくりと安定した改善を得られるのが特徴です。合量の異なるLD(ロー)とHD(ハイ)の2種類の製剤が販売されています。LDはアムロジピン含量が5mgの低用量、HDは10mgの高用量です。

アムロジピンの「A」、イルベサルタン(アバプロ、イルベタン)の「I」をミックス。
アイミクス

合剤の場合、何と何の薬が使われているのかすぐに判ると良いですよね。「アイミクス」は、アムロジピンが高用量(10mg)なのが特徴です。中等度〜重度の患者に使用できます。

※「イルベタン」と「アバプロ」は、製品名は違いますが有効成分は同じです。
販売元が、イルベタン=塩野義製薬、アバプロ=大日本住友製薬

▼代表的なARB+Ca拮抗薬の合剤

ミカムロ」:ベーリンガーインゲルハイム/アステラス
「アイミクス」:シオノギ製薬/大日本住友
アテディオ」:持田製薬
エックスフォージ」:ノバルティスファーマ
ユニシア」:武田薬品
レザルタス」:第一三共/興和

高血圧症は世界で最も患者数が多い疾患であり、国内では約4300万人いると言われています。高血圧治療のガイドラインでは食生活の改善とともに薬物治療がメインとなっており、最近は作用機序の異なる薬剤を組み合わせた(高血圧の原因が複数存在するので)併用療法が推奨されていて、年々使用頻度が高まっています。


一般名:イルベサルタン/アムロジピンベシル酸塩配合錠
製品名:アイミクス配合錠LD,HD
長時間作用型ARB/持続性Ca拮抗薬配合錠
シオノギ製薬
大日本住友

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