リリカ・セレコックス/痛みの十年

▼セレコックスとは?

「セレコックス」は炎症を鎮めて、腫れ・発赤・痛みなどの症状を和らげる薬です。主に関節痛に使われています。以前はほぼ全ての関節リウマチ患者に投与されていましたが、現在では抗リウマチ薬が効果を発揮して関節炎が沈静化するまでの“補助薬”として使用されています。「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分類されます。

炎症反応に関与するCOX-2を選択的に強く阻害する(COX-2高選択的阻害薬)のが特徴ということで、「セレコックス」と命名されました。適応症は、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、外傷後・抜歯後における鎮痛・消炎です。

▼リリカとは?

「リリカ」は、神経痛を緩和させる薬です。2010年6月に帯状疱疹後の神経痛を適応として発売されましたが、その4ヵ月後に末梢神経障害性疼痛を含む適応症としたことで、売上を大きく伸ばしました。主に神経障害性疼痛に使用されています。

痛いときにだけ服用する薬ではなく、一定期間服用し続けることで効果を発揮する疼痛治療薬です。そのため、25mg、75mg、150mgと多くのラインナップが存在します。医師の指示に従って、服用量や服用回数を調整することを想定しています。

身体に薬の成分を慣れさせるために、使い始めは少量から開始するのが一般的です。身体が慣れてきたら、痛みが緩和されるまで少しずつ投与量を増やしながら、その患者に適した服用量を見つけていきます。

薬の効果が表れるまでには、時間がかかることがあり、体格や年齢などによって効き目に個人差もあります。少しずつコツコツと治療を続けて、痛みの軽減とともに、痛みによって制限されていた生活の質の向上を目指してゆく、という薬です。

“慢性疼痛”とは、3ヵ月以上続く非がん性の疼痛のことを指し、線維筋痛症、帯状疱疹後疼痛などが含まれます。線維筋痛症においては、「リリカ」が第一選択薬となっていることから、今後も売上の拡大が見込まれています。

▼リリカの後発品(ジェネリック)

2019年1月現在、「リリカ」の物質特許はすでに切れています。しかし、「リリカ」の後発品(ジェネリック)は日本国内では未だに発売されていません。用途特許が2022年まで残っているからです。

2017年1月、「リリカ」の用途特許に対してジェネリックメーカーが意義を申し立てて、特許無効審判が請求されました(現在も審議中)。もし、用途特許が無効ということになると、2019年12月頃には後発品の発売が可能になります。しかし、用途特許が有効となると、「リリカ」のジェネリック発売は用途特許が終了する2022年以降まで引き伸ばされることになります。

リリカジェネリック(プレガバリン)150mg

▼神経性障害疼痛治療剤の売上

年度 2013年 2014年 2015年
リリカ 487億円 634億円 702億円
ノイロトロピン 198億円 191億円 188億円
サインバルタ 未発売 未発売 10億円


▼痛みの種類

痛みには大きく分けて2種類の痛みがあります。怪我や打撲などの“炎症の痛み”と神経が圧迫されたり、何らかの神経障害によって起こる“神経の痛み”です。「リリカ」は、神経の痛みに対して使用される治療薬で、過剰に興奮した神経から出てくる“痛みのシグナルを抑える”という効果があります。

▼痛みの十年

2001年、米国連邦議会がバイオメディカル振興政策として、2001年からの10年間を“痛みの10年”とする宣言を行いました。背景には、痛みによって甚大な社会経済の損失がある、ということが挙げられます。 1991年~2000年までの“脳の10年”政策が輝かしい成果を上げていたので、“痛みの10年”も国家戦略として大々的にスタートしました。米国のこの宣言が発端となり、世界中で痛み(特に慢性疼痛)に関するさまざまな調査と研究が開始されました。日本でも2009年から厚生労働省が「慢性の痛みに関する検討会」を設置し、慢性疼痛に対して現状の課題や今後について検討する取り組みが始まりました。その後、痛みに関連する医薬品が数種類承認されています。

基本的に痛みは、急性疼痛と慢性疼痛に分類されます。通常、急性疼痛は組織の損傷による痛みで、慢性疼痛は組織が治癒しても更に継続する痛みとされています。国内では、2,200万人が痛みによる生活の質(QOL)の低下に悩まされており、社会生活に支障をきたしていると考えられています。日本の疼痛治療では長年、「セレコックス」などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が汎用されてきましたが、近年は医療用麻薬とよく似た理屈で作用する薬(中毒性はない)が登場し、腰痛症、変形性関節症、関節リウマチ、帯状疱疹後神経痛などのさまざまな非がん性慢性疼痛症状に対して使われています。

▼広告のキービジュアル

「リリカ」の広告のキービジュアルは、雷雨のあとの虹です。この“雷と虹”というコンセプトは、おそらく十年以上変わっていないと思います。雷が痛みのイメージで、虹が寛解した様子を表しています。

一方、「セレコックス」のキービジュアルは白馬。水辺を躍動する白馬がカッコイイですね。おそらく主な適応の“関節”のイメージだと思います。

馬は400~500kgの体重の割に四肢が細く、中でも競走馬は極限までスピードを出して走るため、肢にかかる負担は計り知れません。その結果、関節炎の発生率は他の病気に比べて高く、競走馬の病気の全体の55%前後を占めると言われています。白馬が自由に疾走するビジュアルは、関節痛が治まった後の解放感を美しく表現しています。

キービジュアルの手法に“メタファー分析”というものがあります。「セレコックス」という製品の特性を言葉で説明するのは難しいけれど、動物でなら簡単に伝えられる! というテクニックです。製品に見立てたビジュアル(ここでは白い馬の写真)を用意してあげれば、広告を見た人がその製品の特性を自分なりに補完して想像してくれるというわけです。

一般名:プレガバリン
製品名:リリカカプセル25mg,75mg,150mg
疼痛治療剤(神経障害性疼痛・線維筋痛症)/末梢性神経障害性疼痛治療剤
ファイザー
エーザイ

一般名:セレコキシブ
製品名:セレコックス錠100mg,200mg
解熱鎮痛消炎剤/非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤)
ファイザー
アステラス

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