ポテリジオ/ATL治療に有効な抗体医薬

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ATL治療に広がる新たな可能性

▼ポテリジオとは?

「ポテリジオ」は、“成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)”の治療薬です。有効成分モガムリズマブは、ATL細胞の表面に存在するCCケモカイン受容体4(CCR4)を標的とし、抗体依存性細胞障害(ADCC)活性により抗腫瘍効果を示します。

「ポテリジオ」は協和発酵キリンが初めて遺伝子組換え技術で開発したヒト化モノクローナル抗体で、ポテリジェントという最先端の技術を応用した世界で初めての医薬品です。適応は“再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫”。厚生労働省より、希少疾病用医薬品の指定を受けています。

「ポテリジオ」の発売と同時に、コンパニオン診断薬として、「ポテリジオテストIHC」「ポテリジオテストFCM」も発売されています。この診断薬は、組織・細胞中や血球細胞表面上に発現するCCケモカイン受容体4(CCR4)というタンパク質を検出することを目的とする検査薬で、「ポテリジオ」の適応を判定するために補助的に使用される診断薬です。「ポテリジオ」は、細胞にCCR4が確認出来なければ効果がない薬です。なお、CCR4はALT患者の約90%に発現していることが報告されています。

【コンパニオン診断薬】:医薬品の投与前に効果や副作用を予測するために行なわれる臨床検査のこと

▼抗体医薬とは?

抗体医薬とは、免疫反応が起こるタンパク質(抗体)を人為的に造ったもので、抗体を利用して標的を攻撃する医薬品のことです。遺伝子組換え技術などを応用して、病気に関連する分子だけに結合する抗体を作製します。

抗体医薬はがん細胞にある標的(抗原)にくっつき、攻撃担当の免疫細胞を呼び寄せて標的を殺傷します。標的が限定されるので副作用が軽い(他の細胞に影響を与えにくい)という特徴があります。しかし、効力が充分とは言えず、効果を高めるために様々な工夫が試みられています。

▼ポテリジェント技術とは?

ポテリジェント技術とは、抗体を構成する鎖をひとつ減らすことで、免疫細胞とのくっつきやすさを高め、細胞殺傷能力を従来の100倍以上に強化するという技術です。副作用はそのままで、極めて少ない投与量で治療効果を上げることが可能と言われています。細胞殺傷能力が低い従来の抗体医薬では効かなかった難治性の疾患にも効くのではないか、と期待されています。

▼成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)とは?

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、腫瘍ウイルスであるHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)感染を原因とする白血病、もしくは悪性リンパ腫のことを指します。ATLの治療では、一般的に多剤併用療法が行われていますが、骨髄移植(同種造血幹細胞移植)以外に、いまだに標準的な治療法が確立していません。

HTLV-1が発見されたのは1980年と比較的最近ですが、ウイルス自体は古くから人類と共存しているものです。日本では縄文時代以前からHTLV-1への感染があったと言われています。

2008年度の厚生労働省の調査によると、HTLV-1感染者は全国で約108万人。これはB型肝炎やC型肝炎に匹敵し、少なくない数の感染者ですが、HTLV-1に感染していても約95%は生涯病気を発症しません。HTLV-1感染者で、に 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)になる確率は約4〜5%と言われています。

▼ポテリジオの副作用

「ポテリジオ」は、承認時までに全例で何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められています。主な副作用は、リンパ球減少、急性輸液反応、発熱、白血球減少などで、重大な副作用として、急性輸液反応、重度の皮膚障害、感染症、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎、腫瘍崩壊症候群、重度の血液毒性、肝機能障害などが報告されています。

▼その他の抗体医薬






▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、土手でタンポポの種を眺める祖母と孫。アルファベットの“Y”のように見えるタンポポの種は、ここではヒト化モノクローナル抗体に見立てられています。風に舞ってどこまでも飛んでゆくタンポポの姿で、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)治療の可能性が広がっていく未来を表現しています。

また、ATLは、血液中に花の形が見える異常リンパ球(フラワー細胞)が表れるのが特徴なので、フラワー細胞の意味もあるのかもしれません。ATLの潜伏期間は40年以上と言われており、比較的年配の方に多い病気ということで、登場人物にはシニアの女性を起用しています。隣のちいさな孫と対比させることで、未来や新しい可能性を感じさせる効果を狙っています。

誰もが一度は、タンポポの綿毛を摘んで「ふーっ!」と種を吹いた経験があると思います。この“誰でも一度は経験したことがある”というのがポイントで、シリアスになりがちなテーマを親しみやすく、温かみのあるビジュアルにする効果があります。

なお、タンポポは、アメリカ原住民の医療やアラビア伝統医学など古くから伝統的な民間医薬として親しまれていますが、タンポポの有効性に医学的・科学的な根拠はありません。

一般名:モガムリズマブ
製品名:ポテリジオ点滴静注20mg
抗悪性腫瘍剤/ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体/成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)治療薬
協和発酵キリン
2012年5月29日発売

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