日本人のエビデンス
高血圧症は世界で最も患者数が多い疾患であり、国内では約4300万人いると言われています。高血圧治療のガイドラインでは食生活の改善とともに薬物治療がメインとなっており、最近は作用機序の異なる薬剤を組み合わせた(高血圧の原因が複数存在するので)併用療法が推奨されていて、年々使用頻度が高まっています。
「オルメテック」は、ARBと呼ばれる降圧剤です。血圧を上げる「アンジオテンシンII(ARB)」の抑制作用があります。血管が拡がり、心臓や腎臓の負担を軽くする効果も期待できます。高血圧の治療に使用されていますが、心不全や腎臓の病気にも有効と考えられています。いわゆるブロックバスターと呼ばれる薬で、たくさん売れている大型製品です。売れている薬なので、広告の露出回数もかなり多いですね。
「レザルタス」は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬の合剤の降圧剤です(この組み合わせは日本で良く使われています)。初めから投与するというよりは、単剤で効果不十分な場合に処方されています。
2種類の有効成分のひとつは、ARBことアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のオルメサルタン(オルメテック)。これは新しい作用機序の成分で、血圧を上げる「アンジオテンシンⅡ」という体内物質を抑える効果があります。もうひとつの成分は、持続性Ca拮抗薬のアゼルニジピン(カルブロック)。カルシウム拮抗薬は、心臓や血管を拡張して血流を促し、流れの抵抗を減らすことで血圧を下げます。心臓を休ませる働きもあるので、安全性が高く、高齢者にも使いやすい薬剤です。
ふたつの成分の相乗効果で、降圧効果が高まり、血圧が充分に下がるようになります。日常生活の血圧を適切にコントロールすることは、いつか発症するかもしれない脳卒中や心臓病、腎臓病のリスクを減らすにつながります。アゼルニジピンは作用がゆっくりなので、24時間にわたって持続的に血圧を下げることが可能です。そのおかげで、急激な血管拡張作用による顔面紅潮や火照りなどの副作用が少ないことが特徴です。
▼広告のキービジュアル
「オルメテック」と「レザルタス」のジョイント広告です。広告のキービジュアルは、CGで作られた宇宙と星です。「オルメテック」と「レザルタス」の世界観がお互いに“宇宙”として共通しているので、一体感のあるビジュアルが成立しています。後々の展開(ジョイント広告)を考えて、あえて同じモチーフを採用したのでしょうか? そうだとしたら、この伏線の回収はとても巧いですね。シリーズでビジュアルが共通しているというのは、医療従事者にとっても憶えやすくて効果的だと思います。
▼主なARB系降圧薬
・ニューロタン(一般名:ロサルタン):世界初のARB。尿酸低下作用あり
・ディオバン(一般名:バルサルタン):ARBの中で薬価が一番安い
・オルメテック(一般名:オルメサルタン):心臓腎臓など臓器保護作用あり。ARBのエース的存在
・ミカルディス(一般名:テルミサルタン):血中半減期がARB最長。24時間持続的に効く
・アジルバ(一般名:アジルサルタン):2013年承認の最新ARB。降圧効果が最強
▼代表的なARB+Ca拮抗薬の合剤
「ミカムロ」:ベーリンガーインゲルハイム/アステラス
「アイミクス」:シオノギ製薬/大日本住友
「アテディオ」:持田製薬
「エックスフォージ」:ノバルティスファーマ
「ユニシア」:武田薬品
「レザルタス」:第一三共/興和
一般名:オルメサルタン メドキソミル
製品名:オルメテック錠5mg,10mg,20mg~40mg、オルメテックOD錠10mg,20mg,40mg
降圧剤/A-II拮抗剤(ARB)/高親和性 AT1レセプターブロッカー
一般名:オルメサルタン メドキソミル/アゼルニジピン
製品名:レザルタス配合錠LD,HD
降圧剤/ARB・Ca拮抗薬配合剤/高親和性ARB・持続性Ca拮抗薬配合剤
第一三共